★★ 投影の前半は、プラネタリウム生解説による『今夜の星空』です ★★
●企 画 :(財)横浜市青少年科学普及協会 (以下、敬称を省略します)
脚 本 :山田陽志郎
録 音 :(株)サウンドクラフト
制 作 :(株)五藤光学研究所 ソフト企画部
演 出 :奥木 晋
●ミキサー :波田野宏之
選曲 :本間美江子
●ナレーター
一郎 :野沢雅子
友子 :冬馬由美
大神博士 :永井一郎 … 以下、「博士」と省略します
ロボット :龍田直樹 … 〃 「ロボ」 〃
郵便配達員 :龍田直樹 … 〃 「郵便」 〃
テレビ局員A:龍田直樹 … 〃 「局A」 〃
テレビ局員B:冬馬由美 … 〃 「局B」 〃
ナレーター :真中 了 … 〃 「ナレ」 〃
アナウンサー:東風 静 … 〃 「アナ」 〃
−−− リズミカルなBGMとタイトル −−−
−−− 正面にガードレールと道路が現れる。
左遠方よりワゴン車の接近する音。
急ブレーキの音と共に、ビームライトが左から右上へ流れる。
車のドアが開く音。靴音(2種類) −−−
局A「ダメだよ、こんな所に寝転がってちゃ! いやー、危ないところだった!」
局B「ダメよ、道路で流星観測なんかしちゃ」
一郎「うーん。頭がぼんやりする」
友子「わたしも・・」
−−− ドアの閉まる音。再び開く音 −−−
局B「あなたたち、変なものを見なかった?。オレンジ色の?・・
とにかく、道でボーッとしてちゃダメよ。早く家にお帰りなさい。」
−−− ドアが閉り、車が去る(後方、右の方へ) −−−
一郎「なぜ、ここにいるのか解らないよ」
友子「思い出せないわ。でも、この道、大神先生の家の向こう側じゃない」
一郎「そうだ。確かに」
友子「崖から落ちちゃったのかな、私達」
一郎「とにかく家に戻るついでに、大神先生の所へ寄って行こうよ」
ナレ「大神博士は、街外れの小高い丘の上に住む科学者である。
研究所を兼ねた家からは、時々煙が立ち昇ったり、大きな音が聞こえたりするため
街の人から変人扱いされていた。しかし、この二人だけは違っていた」
−−− 大神博士の研究所。門の前。
バイクの音が右手後方から聞こえてくる −−−
郵便「ああ、君たち、ここの家の人だね。はい、これ郵便物」
友子「あの私達・・。あー、行っちゃった」
−−− 左手へバイクが遠ざかって行く −−−
一郎「絵葉書だね、これ」
−−− ドアフォンを押す(何度も) −−−
友子「誰もいないのかなぁ・・。わ! 鍵がかかってないわ!」
一郎「不用心だな」
−−− 居間 −−−
一郎・友子「先生! 誰かいませんか?!」
一郎「しばらく待ってようよ」
友子「そうね。ところで、その絵葉書、変わってるわね」
一郎「うん、ほら、ここにボタンみたいな・・」
−−− SE:眩しい閃光とともに、ロボットが現れる −−−
一郎・友子「キャー! なにこれ?!」
ロボ「あー、心配しないで下さい。今、私は村林博士の所から電送されてきました」
友子「電送? あなた、電波に乗ってここに届いたの?」
ロボ「はい。生き物では危険なので、私が実験台になりました」
一郎「勇気あるね」
ロボ「大神博士にお知らせ下さい。実験は成功したと」
友子「いないのよ、どこにも。一緒に待ちましょう」
一郎「この絵葉書に写っているの、何だろう?」
友子「不思議な写真ねぇ」
ロボ「エー、これは、ペガスス座にあるアインシュタイン・クロスです。
村林博士が撮影したものです。写真の角を指で押してみて下さい。」
−−− SE:ピコン −−−
ロボ「これが観測施設です。そして、望遠鏡」
一郎「この人が村林博士だね」
ロボ「はい」
友子「ねえ、ところでロボット君、アインシュタイン・クロスって何?」
ロボ「ご説明したいのですが、ビデオ入力のあるテレビはありますか?
私のデーターバンクと接続します」
一郎「地下の研究室に大きなテレビがあるよ」
−−− 研究室内。機械音 −−−
友子「えーっと、あ、これだわ。このケーブルでいいわね?」
−−− SE:テレビにスイッチが入り、画面の出る音 −−−
アナ「・・次は今月に入り各地に出没している、未確認飛行物体のニュースです」
一郎「未確認飛行物体?!」
友子「しー、黙って!」
アナ「今日、午後4時半頃、伊豆半島北部の上空に現れた謎の物体は、時速2千キロ
以上のスピードで、東北東へ向かった模様です。
鎌倉市で多くの市民がオレンジ色の光を目撃していますが、その後の行方が
明らかではありません。山中に落下したのではないかとの見方も出ています。
次は天気予報のコーナーです。森田さんお願いします・・。」
一郎「テレビ局の人は、あれを探してたのか」
ロボ「さて、アインシュタイン、アインシュタイン・・。どこからお話しましょう」
友子「私達に解るようなところから頼むわ」
ロボ「了解しました。南ドイツの小さな田舎町「ウルム」で電気工事店を営んでいた、
ヘルマン・アインシュタインとパウリーネの間に生まれた、初めての子が
アルベルト・アインシュタインでした。1879年3月14日のことです」
ロボ「5歳の時、病気で寝ていたアルベルトは、方位磁石をおもちゃに貰ったそうです。
見えない力に動かされているような不思議な針の動きに、アルベルトは大変驚き
ました。その体験は一生忘れられないものとなったようです。
おじさんが教えてくれたピタゴラスの定理を、12歳の時には自分の力で証明して
いました」
一郎「すごい!」
ロボ「1896年から、スイスのチューリヒにある、連邦工科大学に入学しますが、
アルベルトは興味のある授業だけ出席し、他の時間は下宿で物理学の本を読み
ふけっていました。
この写真の、左から2番目がアルベルト・アインシュタインで、その左にいる
のが、親友のマルセル・グロスマンという人です」
ロボ「サボり魔のアインシュタインが何とか試験に合格出来たのも、グロスマンがノート
を貸してくれたからです。
卒業後、仕事に就けず困っていたアインシュタインを助けたのも、グロスマン
でした。『アインシュタインはいつの日かきっと偉大な人物なるでしょう』と
グロスマンはアインシュタインの母親に言っていたそうです」
友子「いい友達ね」
ロボ「グロスマンのおかげで、スイス連邦特許局に勤めるようになったアインシュタイン
は、大学時代、彼の良き理解者であったミレーバと結婚します。
特許局の仕事の合間をぬって、アインシュタインは自分の研究を続けていました」
ロボ「1905年には三つの論文を書きました。その一つが特殊相対性理論の論文です」
一郎「いよいよ本題だぞ」
友子「そうね」
ロボ「イギリスの科学者で、マックスウェルという人がいます。
電気や磁気についての論文を、1864年に完成させたのですが、その理論では、
『光や電波などは、いつでも同じ、光の速さで進む』ということになっています。
これって、ちょっと変なんですよね」
一郎「どうしてさ?」
ロボ「考えてみて下さい。ボールを投げる時、じっとしたまま投げるのと、走りながら
投げるのとでは・・」
友子「走りながら投げるボールの方が速いわ」
一郎「どこが変?」
ロボ「光や電波は、いつも同じ光の速さで進むんですよ」
友子「あー! そうか!
走りながら懐中電灯を点けても、光の速さは速くならないってことよ!」
一郎「その、マックスウェルって人、間違ってない?」
ロボ「精密な実験をしても、いつも同じ速さ。つまり秒速30万キロなのです」
友子「一秒で、地球七周り半ね」
ロボ「光の速さは、『誰から見ても、光の速さは同じ』ということを出発点に、
アインシュタインが考えたのが、特殊相対性理論なのです」
一郎「見る人によって、時間が遅れるって聞いたことがあるよ」
友子「私も」
ロボ「相対性理論では、時間も私達の常識が通用しなくなるのです。
走っている電車を考えて下さい。床に備え付けたライトから、天上に付けた鏡に
向けて光を発したとしましょう。当然真下に反射して来ますね」
一郎「そうだね」
ロボ「では、電車の外の人から見ると、どうなるか」
ロボ「光の道筋はこうなるね。電車の中で見た、光の道筋と比べてみよう」
友子「誰から見ても、光の速さは同じ・・」
一郎「でも、進んだ長さは、電車の外から見た方が長いよ、ほら」
ロボ「同じ速さで長い距離を進むわけですから、時間は・・」
一郎「時間が余計にかかったんだ!」
友子「そうかぁ。電車の中では、もし一秒で終わっているとすれば、外から見ると
それ以上かかるってことね!」
一郎「外から見ると・・走っている電車の中の時計がゆっくり進む・」
ロボ「実際には光のスピードの半分で走る電車でも、時間は15%しか遅くなりません。
注意して欲しいのは、特殊相対性理論というのは、外から何も力が働いていない
場合の理論なのです」
友子「えー!」
一郎「僕らだって地球に引っ張られるし、力が何も働いていないものなんて無いよ!」
ロボ「確かに厳密に言えばそうかもしれません。特に、地球だの太陽だのが引っ張る重力
というものはやっかいです。
宇宙のどこでも、多かれ少なかれ重力が働いていますから」
友子「でも、アインシュタインは考えた」
ロボ「そ、その通りです」
友子「力を消してしまう魔法を考えた!」
一郎「ブー!」
ロボ「えーと、実はその様なことなのです」
友子・一郎「えー?!」
友子「冗談で言ったのに」
ロボ「重力が働いているような場所でも相対性理論が使えるように、アインシュタインは
重力を『力』と考えずに、『空間の曲がり』と考えたのです」
一郎「空間の曲がり?」
友子「それって、良く解らないわ」
ロボ「光は空間を真っ直ぐに進みますね。ところが、空間が曲がっていたら、そこを進む
光も曲がってしまうはずです」
友子「それは実際に確かめられたの?」
ロボ「アインシュタインが1916年に、この新しい相対性理論、一般相対性理論を発表
すると、世界中の物理学者や天文学者は、1919年の皆既日食を待ち構えること
になったのです」
一郎「そうか! 太陽のそばを通る星の光を観測するんだ」
友子「太陽のそばなら重力も強いわ」
ロボ「イギリス、ケンブリッジ天文台のアーサー・エディントンは、一般相対性理論の
予言を確かめるため、1919年5月29日、西アフリカと南米ブラジルで見ら
れる、皆既日食に観測隊を送りました。
写真を撮り、太陽のすぐそばに写った星の位置を、正確に測定するのです」
一郎「結果は?」
ロボ「アインシュタインの予測と良く一致したのです」
友子「一般相対性理論の正しさが証明されたのね」
一郎「太陽みたいな星が、たっくさん集まったものだったら、もっとよくわかるのかな」
友子「うん、銀河とか」
一郎「そうだ! 銀河みたいなものなら、もっと光が曲がるはずだよね」
ロボ「えーっと・・。あ、ありました。
これは銀河の集団が作り出す強力な重力によって、はるか彼方の銀河の形が細長く
変形して見えている例です」
友子「グラヴィテーショナル・レンズって書いてあるわね」
ロボ「重力がまるでレンズのように、光を曲げてしまうというので、日本語では
『重力レンズ』と呼ばれています」
ロボ「遠くの天体と私達の間に、かなり正確に重力の強い天体が並ぶと、遠くの天体が
リングのように見えます。
重力の強い天体が少しずれると、二つの弓形の像が見えます」
ロボ「ちょっと、食堂からワイングラスを一つ持ってきて下さい」
一郎「OK!」
友子「あなた、ロボットなのに、お酒飲むの?」
ロボ「いえいえ、ワインを飲むのではありません」
一郎「はい、ワイングラス!」
ロボ「このペンライトで、ワイングラスの底を照らしてみて下さい」
友子「何だろう?」
一郎「ああ! 重力レンズと同じだ!」
友子「え! どこどこ?」
一郎「ほら!」
ロボ「ワイングラスの底は、単純な重力レンズと同じ様に光を曲げるのです」
友子「単純って言ったけど、複雑な重力レンズってどんなの」
ロボ「銀河のように不規則に広がっている天体が重力レンズとなる場合では、三つ以上
の像が出来ることがあるのです。
これはペガスス座にある『アインシュタイン・クロス』という重力レンズ像です」
友子「絵葉書の天体ね」
一郎「うわー! 地震だ!」
友子「ここにいると危ないわ、外に出ましょう!」
ロボ「変です! 裏庭から強い磁力が発生しています」
一郎「姉さん大変だ! ほら、こっち!」
博士「君たちー、そこにいるのかぁー」
友子「今の、大神先生の声だわ!」
一郎「行ってみよう」
ロボ「ま、また地震、地震です・・。 あ、宇宙船が、宇宙船が・・」
−−− 飛行する宇宙船 −−−
博士「そういうわけで、庭に落ちた宇宙船を調べておったら、急に動き出したんだ」
友子「誰も乗ってないみたいね」
一郎「見て、土星だ!」
博士「いつのまに! いったいどのような方法で飛んでるんだ」
友子「土星の形が! つぶれていく!」
博士「この宇宙船のスピードのせいだ。光の速度に近づいているんだ・」
一郎「目眩がしてきた」
友子「私・も」
三人の悲鳴
−−− ☆ 結末は? ☆ −−−
.....
.....
.....
−−− クレジット −−−
−−− おわり −−−