NASA/JPL/Caltech

火星リンク集もごらんください
番組で投影されるコンピューター・グラフィックス映像の一例
★★ 投影の前半は、プラネタリウム生解説による『今夜の星空』です ★★
●企 画 :(財)横浜市青少年科学普及協会 (以下、敬称を省略します)
脚 本 :山田陽志郎
録 音 :(株)サウンドクラフト
制 作 :(株)五藤光学研究所 ソフト企画
演 出 :奥木 晋
●ミキサー :波田野宏之
選 曲 :大竹真由美
●声の出演
ナレーター:野田圭一
レポーター:宮田浩徳
レポーター:中村伸一
レポーター:松下美由紀
(レポーターA)
通常の番組をここで中断し、臨時ニュースをお伝えします。昨夜、東部標準時2
2時52分ニュージャージー州に落下した2つの物体は、火星から飛来したもので
あるとの見解が示されました。火星にあらわれた異常な光との関係を調査している
アリゾナ州月惑星研究所が、昨夜正午すぎの記者会見で明らかにしたところ..
(レポーターB)
ニュージャージー州のものと類似の物体が、各地で目撃されているほか、アジ
ア、ヨーロッパ方面からも同様の報告がはいっています。プリンストン全市にわた
り住民避難命令が出され、未知の兵器による攻撃がはじまっている、という信じが
たい情報がはいりました。まもなく大統領の非常事態宣言が ....
(レポーターC)
火星人の大軍がプリンストン防衛ライン間近まで迫っています。市内の混乱は深
刻さを増しており、地上の幹線道路や地下鉄は、避難する市民でパニック状態に
なっています..
空からの攻撃のため、グリフィス空軍基地からとびたった攻撃ヘリがようやく到着
しました...
火星人の兵器の前にまったく歯が立ちません! こちらは、アネット・ゴールドマ
ン、現場からの中継を...
(テレビ局)
どうしたゴールドマン! 応答しろ!..
(以下、ナレーター)
これは、イギリスの作家、H.G.ウェルズが、1898年に書いた空想科学小説
「宇宙戦争」に基づく一場面です
1938年10月30日、アメリカのCBSラジオは、この小説の舞台を、イギリスから
アメリカへ移し、実況中継という形で放送したのです。
日曜日の夜、ラジオの前でくつろいでいた人々は、本当に火星人が攻撃してきた
のかと勘ちがいし、アメリカ中が大騒ぎになってしまいました。今出ているのは、
当時のパニックを伝える新聞です。
同じような事件が、1949年、南米エクアドルでも起こっています。
地球以外にも生物がいるのではないか、そうした希望や恐怖が、当時、私たちの
すぐお隣りの赤い惑星に向けられていたからです。
一体、どうして『火星に生物が、それも高等な生物がいる』などという考えが広
まっていたのでしょうか?
ウェルズの『宇宙戦争』が出版される3年前、パーシバル・ローウェルというアメ
リカ人が、アリゾナ州フラグスタッフという、星の観測に適した所に自分の天文台
を建てました。
口径61センチの大屈折望遠鏡が専ら向けられたのは、赤い惑星でした。ローウェ
ルは火星のとりこになっていたのです。その原因は、さらに17年前にさかのぼります。
1877年、火星は世紀の大接近を迎えていました。
当然、多くの天文学者が火星を観測したわけですが、イタリアのスキヤパレリも
そのひとりでした。
ミラノのブレーラ天文台で、できて間もない口径22センチの屈折望遠鏡を使って、
注意深く火星を観察したのです。彼は数多くの新しい模様を発見し、火星が複雑な
網目模様に包まれていることを発見しました。
スキヤパレリは、こうした直線状の模様を『カナーリ』と呼びました。これは
イタリア語で『溝』そして『運河』の両方の意味を持っています。
ところが、フランスの天文学者フラマリオンが、スキヤパレリのイタリア語の論文を
フランス語に翻訳するとき、『カナーリ』をフランス語の『カナル』、運河と訳し
てしまいました。
これがそのまま英語の運河に直訳されたため、スキヤパレリは火星に運河を発見し
たと、世界中の目が火星に注がれるようになり、火星熱はヨーロッパだけでなく、
アメリカにも広まっていったのです。
ローウェルのノートには、彼が見たと思ったもので満たされています。ローウェルは
400もの運河と、運河が交わる所にある黒い斑点を200も記録しています。
彼は、かんがい用の水路が、火星全体にはりめぐらされていて極地の雪どけ水を
赤道地方に住む火星人のもとへ運ぶのだと信じるようになっていました。
『火星人による運河』というローウェルの主張に反対する者もいました。実際、
多くの天文学者が、運河と呼ばれる模様を確かめようとしましたが、見たという
人は非常に少なかったのです。
ところで、皆さんは火星についてどんなことを知っているでしょうか。
火星の直径は、地球の約1/2。
火星の重さは・・・ 地球の約1/10しかありません。
火星は、金星に次いで地球に最も近づく惑星です。
惑星が太陽と反対側に来たとき、このような惑星の位置のことを
『衝』(しょう)といいます。
火星は、衝の頃に地球に近づくわけです。ところが火星の軌道をよく見て下さい。
まん丸ではなく、楕円という少しつぶれた円になっているのがわかりますか?
このため火星には、太陽に最も近づく所と、太陽から最も離れる所ができます。
それぞれ、『近日点』(きんじつてん)、『遠日点』(えんじつてん)と呼んでい
ます。
今年のように近日点近くで衝になると、火星と地球の間の距離が特に小さくなり、
『大接近』というわけです。
反対に遠日点近くで衝になる1980年の時などは『小接近』と呼んでいます。
今年の大接近ほど火星が地球に近づいたのは1924年以来であり、今後は2208年ま
でこれほどの接近はありません。
わずかの差ですが、今年は、過去7万3千年で、最も火星が近づくという計算結果も
あるほどです。(関連する情報)
2年前の4月1日から今年8月27日までの地球と火星の動きを再現してみましょう。
このように、2年前の2001年6月22日、そして今年の8月27日に接近することがわか
ります。約2年2ヶ月ごとに衝になりますが、衝になる軌道上の位置はこのようにず
れていきます。
火星人や運河をめぐる謎も、結局、宇宙船を火星に送ってみなければわかりません。
初めて成功した火星探査機は、1964年にアメリカが打ち上げたマリナー4号です。
翌年7月14日には火星から9844キロの所を通り、そのテレビカメラは初めて火星の
近接撮影を行いました。
何と、そこには月と同じような沢山のクレータがあったのです!
その後もこうした探査機が打ち上げられ、火星の調査が進められていきました。
こうして得られた数多くの写真に、はたして運河らしきものは写っていたでしょうか?
1974年、アメリカ、コーネル大学のカール・セーガンとポール・フォックスはロー
ウェルの描いた火星の地図と、マリナー9号による火星の写真を比較しました。
マリナーの写真では、ローウェルの使った望遠鏡より1千倍も細かい部分が見えて
いるはずです。
運河らしき地形が見当りません。風によって運ばれる砂ぼこりの模様を、直線模様
として結びつけてしまったのではないでしょうか。
1976年7月20日、アメリカのバイキング1号着陸船が火星に無事着陸しました。
火星の周りを回るバイキング1号軌道周回船は、着陸船からのデーターを地球に中継
するほか、上空から火星の写真撮影や赤外線観測などを行いました。遅れて到着した
バイキング2号とともに詳しい火星の調査が始まったのです。
軌道上から慎重に調べ、比較的平らで、着陸に安全だと思われた場所でも着陸し
てみると、大きな石がごろごろしています。
火星のこの赤い色は、土に含まれている鉄の酸化物、つまりさびの色です。
そして、淡いピンク色の空。これも赤い色の細かい塵が、風によって空高く吹き上
げられているためです。大気のほどんどが二酸化炭素であることもわかりました。
バイキング軌道周回船やその後の探査機により、大昔の、河の流れたような跡が
あちこちに見つかりました。
このクレーターは、横浜市並みの大きさです。クレーターのすぐ内側をよく見て
ください。雪の塊におおわれたところ(矢印出る)や、雪の塊が一部とけていると
ころ、そして、すっかりとけて、雪解け水が流れた ような跡が見られます。
海や湖の底で、砂や小石が降り積ってできたような地形も、火星のあちこちで見
つかっています。
さて、今年の火星、横浜の空でも探してみましょう。火星は夏が来るまでは、夜中、
あるいはもっと遅くに昇ってきます。
夏休みが始まる頃、明け方の南の空に見えています。夏休みが終る大接近の頃には、
真夜中近く、南の空に、赤く明るい姿を見せているでしょう。
星座を背景に、なぜ火星がこのような動きをするのでしょうか。
外側を回っている火星を、地球が追い抜いていくため、火星が逆もどりして見え
たのです。この図からわかるように、地球から火星までの距離は大きく変化してい
ます。
夏休みの間、100倍の倍率で火星を見ると、肉眼で見た月の大きさ以上に
見えています。表面のかすかな模様がわかるでしょう。
1997年7月5日に火星に到着したマーズパスファインダー。着陸したのはバイキング1号
着陸地点から約600kmの地点です。
着陸地点から撮影された、まわりの景色です。
『ソジャーナー』と名づけられた小型の探検車が周囲の岩や土などを調べました。
この、アレス渓谷は、昔大量の水が流れていたとされる場所のひとつです。水で運
ばれたのでしょうか。ごらんのように、多くの岩石がころがっています。
カール・セーガン・メモリアルステーションと名づけられた着陸船です。
ソジャーナーが火星に降りるために使われたスロープが見えます。
着陸するときのショックをやわらげるため、エアバッグが初めて使われました。
しぼんだエアバッグが広がっています。高く伸びているのは、カメラのマストです。
現在、日本の火星探査機『のぞみ』が火星に向かっています。
今年はヨーロッパ宇宙機関とアメリカが、それぞれ火星探査機を打ち上げ、火星の
水の存在や気象などの調査を進めます。(最新情報)
アメリカのケープカナベラル。今年の5月と6月に、それぞれ同じ探査機が出発し
火星へ向かいます。
1997年に火星に着陸した『マーズ・パスファインダー』と同じようにエアバッグを
使って着陸します。
パノラマカメラによって周囲の様子を調べます。赤外線で周囲を調べる装置もあ
り、鉱物の種類を識別します。機械の腕もあり、岩石や土を調べます。岩石の表面
を削る装置や顕微鏡も用意されました。
みなさんの子孫が将来火星を訪れる頃、水素ガスを満した飛行船や大きな翼を持つ
グライダーが使われているかもしれません。
宇宙は、私たち人類にとって、もはや空想や研究だけの対象ではありません。
皆さんと、皆さんの子孫が、宇宙の可能性を切り開いていくことでしょう。