
はまぎんこども宇宙科学館/(財)横浜市青少年育成協会
2003年6月11日02時58分47秒に打ち上げられた火星探検車「スピリット」は、
約4億8700万kmの道のりを飛行したのち、火星大気圏に突入しました。1600℃以上もの高温にさらされ、
大気による強烈な減速により、最大で地球上の 重力加速度の約6.2倍もの加速度が 加わりました。
2004年1月4日13時25分(地球での信号受信時刻では約10分後の13時35分)に、直径約165kmの
グーセフ・クレーター内、
に着陸しました。57秒間にわたりエアバッグで
28回はずみ、最初の落下地点から約300m転がったのち止まりました。
地球に向けて信号が発せられ、着陸成功が判明しました。
(資料 /着陸後の最初の信号に喜ぶスタッフたち)
着陸後、1週間以上かけて機器のテストなどを行い、着陸地点から出発する準備をします。 その間に、着陸地点周囲の撮像も行い、周囲の調査地点を選び出します。 (打ち上げから火星探査までのアニメーション)
スピリットやオパチュニティは、周囲をよく観察しながら太陽電池で動いているため、昼間活動し、夜は休みます。このため、地球にいる科学チームや エンジニアも、 探査機の活動にあわせ、1日が24時間39分35秒(この「火星世界の1日」を1ソル(sol)といいます)という火星時間にあわせて 生活しなければなりません。 こうした生活が4ヶ月くらい続きそうです。人間の体にどんな影響がでるのでしょうか? そんな研究も同時進行になりそうですね。 火星時間を示す特製の時計も使用されます。 (資料:1 2 )
火星での1日 : 火星世界における「平均太陽日」24時間39分35.244秒 を sol(ソル)といいます。 この「ソル」という単位は、 バイキング計画の頃から 使われています。 (資料:1 2 )
火星に到着した「マーズ2003」火星探検車(想像図)
構造図
例えば、 Display を Mollweide にし、Center on を Olympus Mons に、 そして Landers と Sun/time points をマークしてみましょう。 今の火星の昼夜の領域や、着陸地点、太陽が真上に見える地点 がわかります。Display を Orbital Position にすると軌道上の 位置関係が表示されます。あなたのパソコンの時計が今の時刻に 合っていないと正しく表示されません。

Credit: NASA/JPL/ARC/New Mexico State University
グーセフ・クレーターの地上1mの予想気温(着陸1日目と100日目)
Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems

Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems
マーズ・グローバル・サーベイヤーがあらかじめ撮影した、「スピリット」の着陸地点付近。楕円の中、あるいは矢印の先に着陸。
直径約165kmの
グーセフ・クレーターに、南南西(下のほう)から入り込む谷は
「マアディム谷」
(関連ページ:
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
)
グーセフ・クレーター内に暗くなっている場所は、明るく見える細かい砂が風で取り除かれた場所。
(記入のない同じ画像/立体画像)
Credit: NASA/JPL/MSSS
マーズ・グローバル・サーベイヤーが2004年1月19日に
軌道上からとらえた画像です。縦1km横1.3kmの範囲です。
立体画像は、スピリット降下中にスピリットから撮影された画像(約1.4kmの高さから撮影)と合成して作成されました。
左赤・右青のセロハンを通して見ると、立体的に見えます。
スピリット降下中に切り離した バック・シェル (写真)とパラシュートが左上に写っています。 First Bounce に落下し、Second Bounce, Third Bounce ... とはずんでいき、Lander/Rover のところで止まりました。 パラシュートやスピリット本体は太陽の光をよく反射するため明るく、画像では白くなってしまっています。 そのそばにある Surface Feature Localization という場所は、着陸地点周囲の景色から当初推定された着陸場所です。 四角で示された場所は、降下中にスピリットから撮影された画像から推定されていた落下地点です。 右のクレーターの上には、 熱シールド (写真)の衝突跡と見られるものが写っています。これは着陸の前にはなかったものです。
降下中にスピリットから撮影された画像のほう(立体写真にて合成されていますので立体写真を見てください)には、 降下中に開いていたパラシュートの影が地面に映っています。スピリットから約600m離れて落下中であった熱シールドも写っています。 (立体画像の右のほうに Parachute Shadowや Heatshield とあります)
マーズ・グローバル・サーベイヤーからスピリット着陸地点を撮影するにあたっては、 地形の撮影時、マーズ・グローバル・サーベイヤー自身の軌道運動や火星の自転によって、調べたい地形が動いていくため、 細部まで明瞭な画像を得るのが困難です。そこで、地形の動きを追いかけるようにカメラの向きを変えてやれば、 細部まで明瞭な画像が得られます。今回のスピリット着陸地点の撮影では、2003年に開発されたそんな技術が使われました。 通常マーズ・グローバル・サーベイヤーからは、火星上1.5mの物体の識別がせいぜい なのですが、この技術によって、方向によっては約50cmまで識別することができるようになりました。
(5.6MB MPEG動画)
Credit: NASA/JPL/Analytical Mechanics Associates
降下中のデータから作成された降下アニメーションです。着地直前の30秒間です。横風の影響がわかります。

Credit: NASA/JPL/MSSS
マーズ・グローバル・サーベイヤーによる軌道上からの画像と、スピリットが降下中に
撮影した画像から、着陸地点周囲の山々までの距離が求められました。黄色の線が交わっているところが着陸地点で、
黄色の線がのびている先に山があります。黒い矢印で示した範囲に、スピリットが目指す場所の候補になっている、東方の山並みがあります。
(2MB大判画像)

Credit: NASA/JPL/Arizona State University
当初目標とされていたのが青い楕円の範囲です。降下中の電波による追跡で求められた着陸地点が黒い点です。
さらに、その後の測定では白い点の位置となっています。(南緯14.5718度、東経175.4785度)
着陸地点を選ぶ際には、着陸に
危険とみられる地形をさけました。そうした危険な地形が赤やオレンジで示されています。
(着陸地点の拡大:1 2)
この地図は、 マーズ・グローバル・サーベイヤーと
マーズ・オデッセイによるデータから作られました。

Credit: NASA/JPL(1月4日公開)
着陸直後に、周辺確認のための「ナビゲーション・カメラ」
で周囲を撮影し1枚に合成したもの。
スピリット着陸地点周囲360度がわかります。
大きな岩の少ない、平坦な場所におりることができたようですね。
いかにも、昔、湖底だったところのようです。
左のほうに突き出ているのは、火星をまわる探査機を経由して地球と通信するアンテナです。
次に2枚は、上の立体画像作成のもとの画像です。
犠牲になったスペースシャトル・コロンビアの7名の乗員を
記念し、スピリットが着陸したこの場所は、「コロンビア・メモリアル・ステーション」
Columbia
Memorial
Station
と名づけられました。(資料:
1
2)
DVDは、プラスチックではなく石英ガラスでできています。これは、地球の微生物を火星に
DVDは、花びらのように展開する台座のひとつにボルトで取り付けられています。
DVD中央部には、アストロボットという小さなロボットの絵が
取り付けられています。スピリットに
取り付けられたDVDには「ビフ・スターリング」、あとから火星に到着するオパチュニティには
「サンディ・ムーンダスト」という
名前がつけられました。
(アストロボットの宇宙日誌)
(資料:1
2
3
)
デザインには、アメリカ中の学校から寄せられたアイデアが生かされました。
中心を取り囲む2つのリングは、地球と火星の軌道を表しています。
今回の探査計画に、専門家とともに参加している13歳から17歳までの
国際学生チームが火星日時計の画像処理をしています。
マーズ・パスファインダーによる火星表面

Credit: NASA/JPL(1月4日公開)
同じく、ナビゲーション・カメラで周囲を撮影し1枚に合成したものですが、
スピリットを見下ろすような位置で見たように画像合成したものです。
突き出ているのは、火星をまわる探査機を経由して地球と通信するアンテナです。
その付け根近くには、地球と直接通信できる高性能アンテナも見えています。
ふわっとしたエアバッグも、周囲にはみ出るように見えていますね。
(1月5日公開)
Credit: NASA/JPL
マスト上、左右2つあるナビゲーション・カメラで撮影された、最初の立体画像です。
左赤・右青のセロハンを通して見ると、立体的に見えます。
中央やや左に直径約9mほどのくぼみがあります。スピリットからは北へ12mほど離れた
場所です。このくぼみには、長時間ほとんど休まず画像を調べていた睡眠不足気味のスタッフたちから
「スリーピーホロウ」
"Sleepy
Hollow" という
愛称がつけられました。隕石が落ちた穴か、風で削り取られてできたものと見られます。
(参考ページ:映画「スリーピーホロウ」と
その原作 / 資料:
1
2
3
4)
右のナビゲーションカメラによる画像
左のナビゲーションカメラによる画像
Credit: NASA/JPL/Cornell
(1月6日公開)
Credit: NASA/JPL
2003年2月1日、地上へ帰還する途中で悲劇にみまわれたスペースシャトル・コロンビアの7名の乗員
を記念した、直径約15cmのアルミ製記念銘板が、高感度アンテナの裏面につけられています。
スピリットをつくったエンジニアらがデザインしたものです。ケネディ宇宙センターで、
2003年3月28日に
取り付けられました。
(1月6日公開)
Credit: NASA/JPL
ナビゲーション・カメラが、土で汚れたエアバッグをとらえています。
(1月6日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
マスト上、左右2つある
「パノラマ・カメラ」
がとらえた火星の地面です。
しぼんだエアバッグを回収するときに、エアバッグが地面につけた跡がわかります。(右上)
同じマスト上にある、広角のナビゲーション・カメラは短時間に周囲の状況を見るため、
白黒画像しか撮影できませんが、パノラマ・カメラは解像度が高く14種類ものフィルターを
もっており、カラー画像が得られます。
(1月6日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
風に運ばれる砂塵のせいでしょうか、岩の方面がわりとなめらかですね。
(パノラマ・カメラによる)
(1月6日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
岩の周囲の砂塵のつもりぐあいから、強い風の向きがわかります。
(パノラマ・カメラによる)
(1月6日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
パノラマ・カメラによる最初の画像です。地平線が写っています。
(1月7日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
塵におおわれた岩の立体画像です。
左赤・右青のセロハンを通して見ると、立体的に見えます。
(パノラマ・カメラによる)
(1月7日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
パノラマ・カメラによる最初の画像の一部です。
しぼんだエアバッグを回収するときに、エアバッグが地面につけた跡がわかります。
(1月7日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
周囲の立体画像です。
左赤・右青のセロハンを通して見ると、立体的に見えます。
(パノラマ・カメラによる)
(1月8日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
「火星にあなたの名前を送ろう」というキャンペーンで集められた400万人
ちかい名前を
記録したミニDVDです。縁のほうには磁石が取り付けられており、鉄分を含む砂塵を
集めることができます。(パノラマ・カメラによる)
もちこまないよう滅菌するときの高温に耐えるようにするためです。 (関連記事)
この特製DVDは市販されているDVDよりずっと長持ちで、500年以上はもつでしょう。
着陸地点に残された「タイムカプセル」のようです。(資料)

(取り付け部写真
)
そのボルト、積み木おもちゃのブロックの形になっていますね。
DVD周囲に黒い模様のようになっているのは
暗号です。
(DVD拡大写真
DVDのCG画像)
(1月8日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
後部太陽電池板の上に取り付けられた
日時計です。(パノラマ・カメラによる)
最初の画像の左は、火星の正午近く。最初の画像の右は午後遅い時間です。

Credit: NASA/JPL/Cornell University
1辺が7.6cmの日時計の周囲には、英語や
シュメール語を含む
17カ国の言語による、「火星」を意味する文字が書かれています。
四隅には、撮影された画像の色補正に使う「色の基準」が設けられています。
影の長さ(太陽高度)は、画像の明るさ補正に役立ちます。
(1月8日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
火星到着5日目に撮影されました。(パノラマ・カメラによる)
スピリットがのっている台座が数度傾いているため、地平線が傾いてみえます。
着陸地点の北側です。左のほうに直径約9mほどのくぼみ「スリピーホロウ」
があります。
「スリピーホロウ」は、スピリットから北へ12mほど離れたところにあります。
暗い斑点のような場所が何個所もみえますが、火星に落下後、エアバッグであちこち
転がったあとではないでしょうか。着陸時には28回バウンドしたそうです。
(資料)
正面に、土に汚れたエアバッグがもりあがった状態になっています。
右のほうには、小さな砂丘のような地形が見えています。
(1月10日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
南東方向の丘が見えています。(パノラマ・カメラによる)
大気中の塵のために、遠くの景色がかすんでみえています。
右のほうの丘までは、左のほうの丘の2倍ちかい距離離れています。右のほうがよりかすんでいますね。
左側は(火星の)午前中遅くに撮影され、右は午後はやくに撮影されました。
(1月10日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
南西方向が写っています。(パノラマ・カメラによる)
右手、7〜8km先に山が見えます。「スリピーホロウ」と似た地形も
見えていますが、全体的には岩もまばらで、平坦な土地です。
ヴァイキング1号着陸機による火星表面1
火星表面2
ヴァイキング2号着陸機による火星表面と比べてみましょう。
(1月10日公開)
Credit: NASA/JPL
周囲の立体画像です。
左赤・右青のセロハンを通して見ると、立体的に見えます。
(パノラマ・カメラによる)
(1月10日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
火星の正午から夕方の太陽の画像。
大気中の塵の影響がよくわかります。
(パノラマ・カメラによる)
(1月11日公開)
Credit: NASA/JPL
ナビゲーション・カメラがとらえた、真上から見たスピリットです。
スピリットはほぼ南方向(写真の下方向)に向いていますが、南東方向にエアバッグのふくらみが
あり、南側から地面に降りようとすると、太陽電池板がエアバッグにひっかかる心配があります。
そこで、3段階、2日ほどかけて、時計まわりに115度機体の向きを変え、方位角286度の北西
方向(矢印の方向)から降りる予定です。ちょうど「スリーピーホロウ」のある方向です。
(資料)
(1月12日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
エアバッグがひきずられた跡です。右の画像は、立体的に表示されたもので、左上角の三角形の岩は高さ約20cm。
右上の角のまるい岩は高さ約10cmです。暗くなっている「ひきずり跡」の深さは1cmに達するところがあります。
土が寄せられ、しわになっているようすから「マジック・カーペット」(魔法のじゅうたん)と愛称がつけられました。
(拡大像:1
2
(パノラマ・カメラによる)
(1月12日公開)
Credit: NASA/JPL/Cornell University
火星に到着して3,4,5日目(火星の1日は 24時間39分35秒で、これを1ソル(Sol)といいます)に
撮影された画像225枚(縦3コマ横75コマ)を合成してこの360度パノラマ写真が作られました。(13MB大判とQuicktimeVR版)
着陸地点からもっとも近い山はこの画像に写っているもので、東に2〜3kmいったところにあります。
(パノラマ・カメラによる)
(1月13日公開)
Credit: NASA/JPL/MSSS
火星をまわる軌道にある探査機からも、容易にわかる地形が書き込まれています。
(パノラマ・カメラによる)
(1月13日公開)
2MB大判画像
Credit: NASA/JPL/MSSS
マーズ・グローバル・サーベイヤーによる軌道上からの画像と、スピリットが降下中に
撮影した画像から、着陸地点周囲の山々までの距離が求められました。黄色の線が交わっているところが着陸地点で、
黄色の線がのびている先に山があります。黒い矢印で示した範囲に、スピリットが目指す場所の候補になっている、東方の山並みがあります。
(1月14日公開)
Credit: NASA/JPL
左は機体前方についている広角の
安全確認用カメラ
によるもの。右はナビゲーション・カメラによるものです。
左は機体の向きを115度回転のうち、95度回転させたとき。右は115度回転が終了したときのもの。
いよいよ火星の土の上に降りるわけです。