はまぎんこども宇宙科学館/(財)横浜市青少年育成協会
月面「X」
2009.5.30更新
月面に「X」の文字が浮かび上がる!
Copyright by David Haworth www.stargazing.net/david/
Credit: Denis Fell(この写真では、上が南)
月の欠けぎわ (Joe Roberts Astrophotographyより) を見てください。月面に、影が長く伸びることで、地形の凹凸がよくわかります。 (夜道を歩いているとき、近くの地面を、遠くの車のヘッドライトが照らすと、 地面のでこぼこがよくわかるのと同じです)また、こんなことにも気づきます。 欠けぎわ をよく見ると、明暗の境目をこえて、 山の頂上やクレーターのふちのてっぺんだけが 照らされています。
このようにして、月の境目付近に冒頭の写真のようなものが見えることがあります。
月面の南緯25.5度、東経1.1度の地点が明暗境界線 (太陽光のあたっている面とあたっていない面の境) となる頃の1時間ほど 見られるのが、この「月面X」です。望遠鏡で見て、 月の南端から北へ1/3ほどいったところに 隣接する2つ並んだ クレーター、 アリアケンシスとヴェルナー (それぞれ約80km、70kmの直径)が みつかります。その2つ並んだクレーターの、並んだ延長方向に「X」が見つかります。
ブランキヌス、 ラカイユ、 プールバッハの 3つのクレーター壁によってできた地形です。
「X]の文字が 暗い月面に浮かび上がっているのは1時間ほど。 「月面X」は、 上弦の半月の頃になれば、かならず見られるわけではありません。1度観察に成功したときから、29.27〜29.83日ほどで、月は再び同じ 上弦の半月になります。
月が同じ欠け方(たとえば、満月から次の満月)になる周期を 朔望月といいます。
ちょうど29日や30日ではないため、 前回と同じ時間帯では月が見えません。上弦の半月が空に昇っていない 時間帯にずれこんだり、昼間の時間帯にずれこんだります。
したがって、「月面X」を観察するのに適した日時はかなり限られてしまいます。
これまでの観測報告に基づき、 月の暗界線の経度を 約358度に設定し、さらに、 ヴェルナークレーター(南緯28.1度、東経3.3度)において太陽高度が1.4度になる頃を設定すると、 日本で今後(2009年5月以降)、夕方〜夜にかけて見る条件が良さそうなのは、
2009年5月31日(21時前後)、11月24日(19時前後)
2010年4月21日(19時前後)、12月13日(18時前後)
2011年2月10日?、10月4日?
2012年1月1日(18時前後)、2月29日?、4月28日?、6月26日?、 8月24日(19時前後)、10月22日(20時半前後)
などです。(?は、夜遅くなり、月の高度が下がり、観察条件がよくないもの。 資料:1 2 3 4 5 6 )
1時間で、月面の明暗境界線は経度の0.5度しか変わりません。 (月面で見る太陽の動きは、地球上での太陽の動きの約30倍もゆっくりです)
上記の日の夜、予報時刻を目安に、 気長に「X」が見えるかどうか観察してみましょう。見えるはずの日時と、月面のその場所さえ知っていれば、小型望遠鏡でも 確認できるでしょう。
1時間程度の現象であること、しかも、見られる機会がかなり限られることから、 繰り返し観測されるということもなく、ほとんど報告されてこなかったのでしょう。
しかし、2004年にカナダのアマチュア天文家らが、たまたま月面「X」を 目撃し、そのことを雑誌や会誌、インターネットで報告したことから しだいに注目されるようになりました。 (資料)
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