人工衛星になるにはどんな条件が必要か?

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ロケットの軌道

 昨年世の中をさわがせた、近所のある国が発射した人工衛星かもしれない ロケットですが、さて人工衛星打上げロケットと、弾道ミサイルは それほど区別しにくいものなのでしょうか?
 そう、テレビの軍事評論家の皆さんのおっしゃるとおり、非常に 区別しにくいです。だって宇宙ロケットは、 つまり弾道ミサイルの速度の速いやつで、

  1.弾道軌道(大気圏外にでて飛行。7.9km/sより遅いが、近い速度)
   ↓
  2.地球周回軌道(第1宇宙速度7.9km/sより速い)
   ↓
  3.地球重力圏離脱の軌道(第2宇宙速度11.2km/sより速い)
   ↓
  4.地球周回(7.9km/s以上)+トランスファー軌道移行用ロケットつき
   
 という感じで、打上げ燃料が少ない順に並ぶのです。
 アメリカの古い大陸間弾道核ミサイルには、アトラスやタイタン2が あります。名前のとおり、今衛星打上げに利用されてるロケット・アトラス2や タイタン3、4の前身なのです。

 人工衛星が周回する高度や傾斜角は、最終段ロケットを燃焼させる時間や角度などで 調節できます。衛星軌道は速度ベクトルですべて記述ができますので、 最終的に希望どおりの速度ベクトルをもつように調整されます。

 7.9km/s前後の速度をもつロケットは、打ち上げるのがかなりたいへんで、 燃料をうんとつんだタンクをつけて打ち上げられ、使い切ったタンクを 次々切り離す方法がとられます。
 通常大気圏内で第1段をきりはなし、周回軌道に入る前あたりで 第2段をきりはなし、第3段は周回軌道上できりはなします。
 つまり、弾道ミサイルにしろ人工衛星打上げロケットにしろ、第1段は きりはなされて落下するのです。これが非常に危険なので、人工衛星を うちあげる射場をつくるには、第1段が落下しても大丈夫そうな孤島とか 砂漠が選ばれるのです。
 衛星打上げ関係者の方は、北朝鮮のミサイルか?ニュースをきいたとき、 皆「ああ、第1段が切り離されて落下したのね」と思ったことでしょう。 分裂したわけじゃないですよ。

 日本の場合、衛星打上げの日は第1段が落ちそうな海域の漁船が操業停止します。日本海にあげる なら、一応警告くらいしないと(漁船にぶつかる確率はすごく低いにしろ) マナー違反というのが世界の常識です。イスラエルなどは、地球の自転を利用できる東に 打ち上げると、第1段が中東諸国に落下してしまって都合が悪いため、燃料がすごく 多く必要になるのを覚悟で西に打上げ(逆行衛星)ております。

人工衛星はどうやって検出されるか

 人工衛星になったからないか、これはすぐわかります。北米防空司令部 (NORAD)の衛星レーダーは、夏ミカン大以上の大きさのある人工衛星を全部自動で探知し、 すべてに識別番号をふっています。その軌道要素は毎日観測され、数時間 おきに発表されています。
 ゴミもふくめて今8000個くらいあるんですが、それを全部探知?とは不思議 に思われる方も多いでしょう。NORADのレーダーは電波をぶつけてその反射で 瞬時の衛星の位置&速度ベクトルを測定します。位置と速度ベクトルが あれば衛星の軌道は確定されるため、1つの衛星についてはほとんど一瞬の うちに、軌道が測定できるのです。

 このNORADの衛星軌道測定システム、他に国にはないのでしょうか? ハイ、ほしくてたまらないシステムでしょうが、どうやら製作不可能のようです。 ですので、ロシアがその衛星の打上げを確認した、というニュースは、 宇宙開発関係者だれも相手にしてないわけです。今のロシアに、あのような 小さな衛星を広大な空と膨大な時間、さらに数千デブリの中から「これだー」 と探知する技術がある可能性はほとんどないので....。
 で、私たちが、今晩見える人工衛星の予報などを計算するさいも、すべて NORADのデータを無料で使用させていただいているのです。感謝しております。 (ただしアメリカの軍事衛星の軌道要素は抜かされてます。他国のは 入ってるようです。バブル時代の大国の軍事衛星は、スペーステレスコープみたい なずうたいをしてて、軌道傾斜角が大きくて日本上空も通ってくれて、 さらに驚異的な低軌道を回っているので、観測するのにはとっても いい衛星ばかりだったのですが....軌道要素がないんじゃ、お手上げです)

 宇宙開発界における人工衛星の定義は「地球を最低2周する」なので、 2周できないで落下したものは、識別番号はふられず、無視されます。 NORADの衛星データをもとに、米空軍が「本日新しく打上げられた衛星」 リストみたいなものを逐次発表しています。北朝鮮の人工衛星?かもしれない ロケットが人工衛星を正しく打ちあげていたとしたら、そのNASA発表のリストに のるはずですが、ありません。(9/5の公式発表では、8月29日 に打ち上げられたアストラ2A衛星以降、打ち上げられた人工衛星はない、とのこと)

 従って、北朝鮮のあげた衛星?らしきロケットは、人工衛星を予報する 側からみますと、「失敗して2周もまわらないで落下した(ど、、どこに?) 人工衛星」か「弾道ミサイル」のどちらかでしょう。

弾道ミサイルの速度

 弾道ミサイルが、戦闘機などから発射するミサイルと違うのは、すごーーく 速いことです。7.9km/s弱とは、時速2万8000km。マッハ1が時速約1000kmです から、かなり速いF4ファントム戦闘機(マッハ2.4)のざっと10倍以上の速さ。迎撃が難しいのはよくわかるでしょう.ただしこっちからミサイルで迎撃以外にも防御の方法はあるようです.

最終報告が発表されました

 この弾道ロケット?問題の最終報告が,先日防衛庁より発表されました.。 結論として弾道ミサイルと思われるが,人工衛星の失敗の可能性もある, ということだそうです。

 さて、ご存知のようにこのミサイルか衛星ロケットの打ち上げは 北朝鮮が打ち上げ時の映像を発表しています。専門家がその映像を みたところ、フェアリング(ロケットの頭部分、衛星か弾頭が入る)の 形状からして、ミサイルではないようだ、との見方が あるそうです。詳しくは
スペースサーバーの過去のニュースをご覧下さい。

 このフェアリング部分が専門家がみて弾頭用ではないという問題があるのに、 なぜミサイル実験という結論になったか、という点は不明ですが、 衛星の写真まで公開したところみると、本当に衛星打上げだったんじゃ ないのかな、という見解をもつ宇宙開発関係者も少なくないのです。

関連リンク

Missile.index 世界中のミサイルが図入りで詳細に紹介されている。日本語。
Launchspace.com 最近の衛星やミサイル打上げニュース。
SPACEWARN Bulletin 最近打ち上げられた衛星リスト。NORADのレーダーによる情報をもとにしたもの。
Thanks To:Flowers for the web materials.


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