天文民俗学ページ ヨーロッパの星の民話
メキシコのナワ族は、金星をさまざまな呼び名で呼んだ。 シトラルポル(大きな星)、トラウィスカルパンテクトリ(曙の主)等。
ある遺跡の広場にイルウィラカン(空中)という柱があり、 その上に金星の象徴の模様が描かれていたという。メキシコ絵文字の金星は、 白い体に赤筋が何本も入っている図柄である。
(松村武雄編「マヤ・インカ神話伝説集」現代教養文庫他より)
昔、グルースキャップの地に、星を見るのが好きな姉妹がいた。 ある日姉妹は森で迷子になり夜になった。星をみると2つとても 明るい星があった。姉妹の1人は星の中に鷲をみつけ、1人は星の中に 鷹を見た。姉妹はその2羽の鳥に空に運ばれていった。
天上で姉妹はさびしかった。グルースキャップに地上に返してほしいと 祈った。グルースキャップは「地上につれていってあげるが、けして 後ろをふりかえってはいけない」といったが、妹が姉が後ろにいるか 確認するためふりかってしまった。妹はたちまち炎にかえられた。
今でも妹は、空にいる。そして地上にかえろうとする。それが 流星なのだという。
(インターネットのWWW「ミクマク族の伝説」より)

昔地上はとても寒かった。1匹のテンは、リスに教わった方法で クロアナグマたちと暖かい気候をとりもどしにでかけた。
まず空と大地が一番近づいている場所にいき、力の強いクロアナグマが 空に開けた穴から、テンが天上の国にもぐりこんだ。天上の国はとても 暖かく植物や動物にあふれていた。テンたちは天上の国の地面にこっそり 穴をあけた。その穴から天上の暖かい気候が地上におちていった。
しかし、穴が天上人たちにみつかり、テンは追いかけられて高い 木の上にのぼった。天上人は魔法の矢をいかけ、テンは地上にむけて 落ちていった。しかしギッチー・マニトウが彼を救い、天の星の中に 加えた。北斗七星が勇敢なテンの姿なのだ。
星になったテンは、冬は地上に近づき、天上人の矢をいかけ られるので背をむけている。しかし春になると上にあがり、矢をいかけ られないので、天上の温かさを地上へと送りはじめるのだ。

日蝕はヒキガエルが太陽を食べるために起こる。セミノール族の狩人は 日蝕や月食が起こらないように、ヒキガエルはみつけしだい矢で射るという。
昔、息をつくりだす者が、空にふっと息をふきかけたところが 天の川である。天の川は死者の魂がいく「西の都」へと続いている。
(WWW「キャンプファイヤーストーリーズ」他より)
昔、シノーという山に住む羊にナガーという息子がいた。ナガーは 勇敢で、力強く、恐れを知らなかった。シノーは息子が自慢でたまらず、 大きなイヤリングを頭の両側につけてあげた。
ナガーは山にのぼるのが好きで、高い山を見つけては登った。あるとき、 とても高い山を見つけたが、どうさがしても山頂に登る道がみつからな かった。探し回ってやっと岩の割れ目をみつけ、中に入ると暗い中に 登る道があった。すると岩がくずれて入り口がふさがり、ナガーは 先に進むしかなくなった。
長く暗いトンネルをぬけると、高い山の山頂にでた。山頂には せまい場所しかなく、周囲は絶壁で下におりることはできなかった。 山頂の草をたべて暮らしているナガーを発見したシノーは、そこで 死ぬであろう息子を星に変えた。これが北極星である。

ある大きな熊が、天の洞窟(北のかんむり座)で冬眠をしていた。 インディアンの3人の狩人が、その熊を狩りにいったところ、熊は 気が付いてすごい早さで逃げた。3名も後を追い、今でも空で追いかけっこ をしている。これが北斗七星である。
最も有名なインディアンの星伝説である。
昔は月があったが、太陽がなく、世界は暗かった.人間は寒くてたまらず、メントリ(月)に うったえた.メントリは「だれかが犠牲にならないと太陽は誕生しない」と言った.人間たちは死ぬのは いやだったので,だまってしまった.するとメントリはナナワトルという人をとらえ,犠牲とした.
ナナワトルは仕方なく従い、燃えさかる薪の山に投げ入れられた.それを見ていたメントリは「おまえだけ を犠牲にはしない」と自分も火の中に飛び込んだ.
人々が2人の死を悲しんでいると、東の空が明るくなり、太陽が現れた.人々は喜んで踊った.
(松村武雄編「マヤ・インカ神話伝説集」現代教養文庫)

巨人シパクナとカブラカンは、山を作り地震でそれを揺り動かすので、人々は困っていた.双子の 神フン・アプとシュバランケは、まずシパクナを倒すことにした.400人の若者にたのみ,シパクナを 大穴にさそいこみ、上から大きな石をたくさん落とした.
ところがシパクナは穴の窪みに逃げて無事であった.大岩の上では,シパクナを退治できたと 思った人間が、家をたてて宴会をしていた.シパクナは頃合をみて立ち上がると、家も大石も人間と いっしょに空に吹き飛んで、星になってしまった.私たちが七曜星と読んでいる星たちは,空に飛ば された若者たちが、天に座り込んで、地上に帰れる時を待っているのだという.
さて巨人シパクナであるが、若者たちが天に飛ばされたのを申し訳なく思ったフン・アプとシュバ ランケが、苦労の末に石にして退治した.
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村祭の日、母親が息子といっしょに観覧車にのる.母はうさぎを1匹連れていた.観覧車にのれなかった 者が妬んで、母子に向かって石を投げたら、母親の目にあたった.観覧車はくるくると回って上に登り、 母子を天につれていった.息子は太陽に、母は月になった.母は目に石があたったので、太陽ほどは 輝かない.
神々の中で、ナナワツィンとテクシステカトルの2名が、太陽と月になることになった.空が朝焼けに そまり、太陽が東から誕生し、続いて月が登場した.ところが月は太陽と同じくらい明るかった.これでは 区別がつかないので、ある神が月の顔にうさぎを投げつけた.すると月はうさぎをぶつけられたあとが黒く 残り、暗くなった.
(「月のうさぎ」)
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昔、月(スノクオーム)は天界の酋長であった.ある日、月は雲に「ヒマラヤ杉の皮でロープを作り、 天から地上までのばすように」といった.
ロープが地上につくと、それを見つけた狐とカケスがのぼってきて,天までやってきた.カケスは 空をつついて穴をあけ,狐はビーバーにばけて天の湖にかくれた.これを知った月はワナをしかけて ビーバーをとらえると,皮をはいで,中身は薫製室にいれた.月が眠りこけるとビーバーは逃げだして 皮をとりかえし,火を作る道具を見つけ、月が自分の家にかくしていた太陽をみつけた.ビーバーは 狐の姿にもどると,それらを持って地上におりて,太陽を空におき人々に火を与えた.
ビーバーが太陽を盗んだことを知った月は,ロープをつたって後をおった.しかし、ロープが切れて しまい,月とロープは地上におっこちてシイ山になった.月の顔はビョウブ岩とよばれる部分である.
(クラーク「アメリカインディアンの神話と伝説」)
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2人の姉妹が家族のためにシダの根をほっており、夜もふけたので野宿をした.星空を眺めて2人で 星の国の話をした.妹が「どの星と結婚したいか」と聞いたが,姉はばかなことを,と答えた.妹は めげずに「私はあの輝く星と結婚する.お姉さんは小さい赤い星とすればいい。」と言った.
翌朝2人が目をさましたら,星の国にきていた.姉は小さい赤い星の美しい若者と、妹は大きく 輝く星の白髪の老人と結婚した.姉妹は同じくシダの根をほって暮らした.
夫らは深い根を掘るな,と戒めていたが,ある時深い根をほっていたら穴があいて,地上がみえた.
2人はヒマラヤ杉の小枝でロープをつくって地上にもどってきた.2人の家族はとても喜んだ.
人々は,天からおりているロープで遊びに,姉が生んだ星の子をみにやってきた.
ある日,姉の赤子が北の人間に盗まれた.村じゅうの者が捜したがみつからず,あきらめた. 家族は残されたゆりかごから弟をつくり,育てた.
何年もたって,大カケスが北の方にいる青年をみつけた.青年は盗まれた赤子の成長した姿で, 野菜のたね,魚のワナ,カヌーや弓矢とその製作方法などをたずさえて村に帰ってきた.青年は 生活に変化をもたらしたので「変化する者」と呼ばれた.
変化する者は,例のロープをたどって天に帰り,弟をよんで太陽とした.自分は夜の太陽(月) となり,変化する者が作った大袋を運ぶことができるカエルの娘を空に呼んで妻とした.
というわけで,月には,変化する者と妻の蛙と大きい袋がみえる.

星の世界に7人姉妹がすんでいた.彼女らは,1人1人自然界にある何かを愛していたが,けして口に 出さなかった.下から2番目の妹は,「違った瞳の色」と呼ばれていた.彼女が愛しているのは1人の 人間の男性で,彼の死後もずっと愛していた.彼女がその話を他の姉妹にすると,姉妹は死んでしまった 者を愛してどうなると笑った.「違った瞳の色」の妹は悲しみ、その悲しみを恥じて,空のベールを はずしてかぶって,姿を消してしまった.今はすばるは6つの星だけ見ることができる.
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ラプッシュに5人兄弟が住んでおり、末の弟以外の4人が,大鹿を狩りにホークス平原にいった.
そこにいた男が,値打のない者を兄弟の弓矢と交換しようと話かけ,だまして交換すると,男は 大鹿にばけて4人を角でつき殺してしまった.
末の弟トスコブクは,兄たちがもどってこないので,平原までいってみると,例の男がまた矢を 交換しようとやってきた.しかし兄達の精霊のアドバイスで,男の出すものが値打がないと知ると、 トスコブクは断わり,木の影にかくれた.やがて大鹿がやってきた.トスコブクは4本の矢を射こみ, 大鹿の首をきりさいて倒した.大鹿の皮をはぐと,ホークス平原よりも大きかったので, 皮を空に投げた.これがカシオペヤ座で,皮を広げた時にくいをうった後が星らしい.

北極の光(オーロラ)は,はるか北方に住む小人たちが作るとされている.小人たちが,氷の上で 鯨の油を蒸してとりだすため,燃やす火がオーロラだという.また星たちは,人間やすべての動物の 精霊である.特に流星と彗星は死んだ酋長の精霊だという.
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グアダルーペのマリアと呼ばれる女神は,アステカの女神トナンツィンとキリスト教の聖母マリア が習合したものとされている.この女神は,褐色の顔に星をちりばめた青のコート,薄い赤の服(白?) をきて,背景には太陽の光輪を背負い,三日月の上に立っている.19世紀には天の女王としての冠も つけていた.
(「フェエスター南米の祭」)
