鏡と太陽・月
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[天文民俗学]
古代の鏡
古代の鏡はご存じのように、青銅鏡です.最も古い金属鏡は、 B.C.4000頃、後ペルシャとよばれた地方の都市スーサ出土の丸い鏡と 言われています.また、中国では紀元前2世紀の前漢の時代から 多くの青銅鏡が作られていました.
中国大陸の鏡は、「光輝象夫日月」などの銘文が 刻まれているところから、顔を見るなどの実用の他に、太陽や月を表すものと考えられていたようです.また、鏡の裏には丁寧な装飾がほどこされ、中央が少し 高くなっており、その周囲に中国の四神が配置されているものがよくあります. このことから宇宙をも表していたのかもしれません.中央は須弥山ですね.
韓国や中国の考古学では、日本では出土のたびに注目される銅鏡が,あまり 気にされていません.それは,1つの遺跡から200も300も出てきて、 もう有り余っており、そう重要なものだという感覚がないらしいと、韓国の 事情に詳しい方が書かれていました.その木箱に無造作にほうりこまれて いるという大陸鏡、日本産とは技術の差が歴然、精巧で見事なものです.
卑弥呼の鏡?
日本に鏡が伝わったのは紀元後と考えられますが、有名なのは 魏志倭人伝に記録されている、邪馬台国の卑弥呼女王に、 大陸の魏の国から最低100枚プレゼントされたという 卑弥呼の鏡でしょう.
日本では邪馬台国時代に文字は無かったとされるので、漢字が刻まれて いれば大陸産(あるいは大陸の技術者が作った)と考えられてきました.
ちょうどその頃の年号が刻まれた,精巧な鏡が日本で数多く出土して います.それが卑弥呼の鏡ではないかと論争が続いている、三角縁神獣鏡という 鏡です.日本向けに朝鮮半島で作られた卑弥呼の鏡 であるとする説、大陸の鏡だが年代が50年〜100年ずれているので違うとする説、 大陸の技術者が日本にきて作った説、などなど.
三角縁神獣鏡は限りなく卑弥呼の鏡に近い位置にあります.しかし、 最大の問題が、この鏡は1面も朝鮮半島で出土していないということです. サイズも半島のものより一回り大きい. 賛成派は,これはプレゼント専用で全部日本に送ったからないのだ、と いっています.
今のところ,ああいえばこういうでどの説も説明がつくので、当分は決着はしない話と思われます.しかしこれってそんなに史学上重大な問題なのでしょうか.
月宮鏡
卑弥呼の鏡から時代が過ぎて唐の国.青銅鏡は動物や葡萄や花を ほった芸術品となっていました.周囲に干支をほるのも流行ったそうです. その唐の鏡に「月宮鏡」というのがあるのです.
つまりこの項目を作ったのはその月宮鏡が何か知りたいためだったり、 しちゃったりするのですが、中村潤子「鏡の力、鏡の想い」大巧社 によれば、 月宮鏡は鏡全体が月を表しており、不老長寿の薬を盗んで月に逃げた蟐娥 という女神がおり、臼で仙薬をつくウサギ、そしてヒキガエルが描かれて いるそうです.この伝説から月中水には不老の力があるとされます. その水を鏡で受け止め、不老長寿を願ったものなのでしょう.
この月の水(月中水)は中国では歴史を通じて尊ばれていました.仙人の参考書 「抱朴子」には、夕月から水をとるところを見た、などという記述が 出てきます.日本の神話でも、月の神である月読 は若水(月中水)をもっているとされています.
※蟐娥のじょうの字が違ってますが、どうもその字がないので、ご了承下さい.ほんとは女編に常です.