Making of Astrolabe Papercraft

アストロラーベを作ってみよう

--構造と使い方、ペーパークラフト--
[天文民俗学のページ] [はまぎんこども宇宙科学館]

■アストロラーベの概要


↑アストロラーベと同時代の航海グッズ。

 天文アストロラーベは、航海用品に分類されることがあります。 海外で調べるならマリタイムミュージアムがおすすめです。

●左上・アストロラーベ1
 プラネスフェリック・アストロラーベ。私たちが普通アストロラーベ と呼んでいるのものです。写真のものは簡易型アストロラーベの復刻版。 航海アストロラーベとともに船に積んでありました。

●右上・ノクターナル?
 ノクターナルは、北天の北極星周辺の星の位置から、時刻を求める 円盤です(後述)。船用の時計が発明されるのは18世紀で、それ以前は 太陽のない夜間の時計として便利なものだったと想像されます。
 さてノクターナルには、ゼロ調整用の円盤がついている はずなのですが、これにはないのです。従って使えません。 謎の機器です。

●左下・日時計つきコンパス
 方位磁石に日時計がついている、ポータブルの航海用品です。南の方角に日時計を 合わせればだいたいの時刻が分かります。
 船には、どんなに船がかしいでも水平が出せる大型のコンパス が積んでありましたが、色々なことが起こる海上では船員にとって携帯型は重要なものだったと 思われます。このコンパスは復刻ものですが磁石が大きく見やすいです。 隣にある方位版のようなものはこれのフタです。

●右下・船用の望遠鏡
 コンパスに海図、時計、六分儀があっても、航海で最も確実な運行上の目印は、 遠くにみえる陸地や灯台です。さらに海賊船を、むこうより早く発見しなければ なりません。4段式の船用の望遠鏡は、船の展望台から遠方を見るためのもので、 18-19世紀にヨーロッパ各国で無数といっていいほど作られました。
 いずれも正立像が見られるガリレオ式です。ターゲットは水平線上と決まっている ので視野はそれほど必要ないのです。


■アストロラーベとは?

 アストロラーベ、この名前はだれがつけたのでしょう。生まれたのは、 アラビアです。
 アストロラーベは大きく航海用と天文用、そして四分儀の3タイプがあります。 ここで扱うのは天文アストロラーベです。直径10-30cmくらいの真鍮の 円盤数枚がとじられた、平たい天体用の計算装置です。(まれに天球儀のような3次元型の アストロラーベもあります)

 天文アストロラーベはひとくちでいうと、ある場所における、好きな日の 太陽・明るい恒星、黄道12宮の出没や高度方位を計算する、 主に占星術師のための計算機、となります。(月、惑星は計算できません)

 少なくとも10世紀にはイスラムで誕生して使われており、10世紀の有名な天文学者 アル・スーフィはアストロラーベの使い方を1000種類も書いた著作を残しました。 日の出日の入り、一等星の見える高さなど、イスラム関係の行事に役立っていたようです。 その後、数世紀にわたりイスラムで発展し、ルネサンスの頃ヨーロッパに伝わりました。
 ヨーロッパで製造された最古のアストロラーベは15世紀リスボンのものと 言われていますが、 14世紀のイギリスの作家チョーサーがアストロラーベの使い方を 書いているので、実際はもう少し前からつくられていたと想像されます。
 ヨーロッパでは星占いが流行っていたこともあってすぐに広まり、アストロラーベは ほぼ発明された時の形のまま、 イスラム・ヨーロッパ双方の占星術師・天文学者・航海関係者らに、19世紀ごろまで 長く使われました。

 アストロラーベは、今まではよく航海アストロラーベと混同されて 「天体の高度を測る機具」とされたり、「昔の星座早見盤のようなもの」と紹介されたり していました。 そういった機能もあることはあるのですが、主要な用途ではありません。
 太陽や天体の高さは、裏面で、360度目盛りとアリダードという両端に穴のあいた棒で 測定できます。しかし天体の高さを測るだけなら、表はいりません。
 また、アストロラーベは、星座早見盤のような実際に見える形の星座ではなく、 東西に反転した「裏返し」の星座を使っています。星座早見盤とちがって 北天を中心としていて、南天は非常にみにくい、というより投影できません。

 星座早見盤は、全天の星座をそのまま丸く描いただけなので、ゆがんではいますが 南天の地平線の下まで星座がわかります。しかし、アストロラーベの投影方法は 球を平らにのばすような方法なので、黄道の南はしくらいが限界で、横浜の南の 地平線近くの星座を入れようとすると同縮尺で何倍も大きい円になってしまいます。
 アストロラーベで星座は探せません。アルデバランやベガなどの明るい星の高度や方位が わかるだけです。

 占星術師たちがほしい情報は、「○年×月△日の*時に、太陽は黄道12宮の どこにいて、東の地平線には何座宮がのぼろうとしていたのか」などです。 答えは、アストロラーベを回して目盛りを よむとわかるのですが、アストロラーベの素晴らしい点はその結果が視覚的に 表現されていることです。天文学者でも、天体の位置関係は数字だけではぴんとこず、図をかいて 調べますからね。
 こういった星占いのこと以外にも、色々な天文計算ができる、大変よくできた装置でした。


↑近年の美術オークションで落札されたアストロラーベの一部。

■現存するアストロラーベ

 アストロラーベの魅力は、見た目の美しさ、そして構造のシンプルさ ではないでしょうか。 1つあれば、それを参考にしてコピーも作れるくらいのものなので、 多くの職人が腕をふるっていて、ヨーロッパでは様々な町の 博物館で陳列されているアストロラーベをみることができます。

 英国マリタイムミュージアムやオックスフォード大学 のように数十個以上もっている博物館もあり、また 個人収集家、個人の骨董店に多数流れており、今も時々、ヨーロッパの 骨董・美術品オークションに本物が登場しています。
 ヨーロッパの大きいオークションだけでも、ざっと調べて 過去5年で5-60個ほどのアストロラーベが出されていました。 これらを追跡すると、少なくとも1000個以上は、 本物が世界各地(特に個人のコレクション)に残っていると思われます。

 各都市の海事博物館のアストロラーベや、オークションに登場するものを 調べていると、まったく同じデザインのものが 見つからないことに気がつきます。細部まで丁寧に装飾されている ものが多く、作り手は美術品としてこだわって作っていたのでしょう。
 ビクトリア朝時代のものはリートが唐草模様になっているし、 中東やインドで使われたものは、黄道12宮も目盛りもアラビア語で 書かれていて、異国情緒あふれています。

 さてこういった本物のアストロラーベのお値段は...? ロンドンのサザビーズ、パリのクリスティーズ等では、 安めの品で数十万円、 多くは数百万〜一千万円ほどで落札されています。 Yahoo!やeBayなどの庶民派ネットオークションに慣れた私たちには、ビックリする お値段ですが、骨董美術としては普通の価格のようです。
 本物はちょっと手が出ませんので、ここでは現代のレプリカを使って解説 しています。



↑アストロラーベ2.本物のアストロラーベと同じ構成のレプリカ。
マーテルが本体で、それに各円盤をポストというくいで止めます。 ホースとはポストに差し込んで止めるピンです。


↑アストロラーベ3、本物と同じ構成のレプリカです。


↑この項の一番上の写真のものを組み上げたところ。表です。このアストロラーベは、 目盛りが金属面を彫って描かれているので、写真では読み取りにくい です。


↑裏面。アンティーク仕上げなので年代ものにみえますが 最近のものです。大きさはジャストCDサイズ。


■アストロラーベの構造と部品名

 アストロラーベの部品は、どうもよい邦語訳がありません。ここでは、ラテン語と 思われる原語そのままで表記します。

●マーテル(Mater)
 アストロラーベのオモテ面は、円周にぐるりと24時間の時刻目盛と、360度の角度目盛りが ふられたマーテルという土台が一番下にきます。外側以外は通常、 何も書かれていません。

●ティムパン(Tympan)
 マーテルの上に、その場所の高度方位の座表線が入ったティムパンという 円盤がのります。ティムパンは、その土地の緯度ごとに違うので、入れ替えて使います。

●リート(Rete)
 さらにティムパンの上に、星図を表すリートという、あちこちくりぬかれた円番が のります。リートには、黄道12宮のほか、シリウスやアルクトゥールスなどの目立つ 恒星も描かれています。
 しかし、このリートの星を、南を下にしてよく見てください。
 オリオン座はベテルギウスが右上、リゲルが左下にきます。そしてオリオン座の 右側、つまり西にシリウスがきます。普通に夜空をみた様子と、東西にひっくり かえっているのです。
 アストロラーベの特徴の1つは、星空が東西反転で表現されていることです。 (ティムパンもよくみると、実際の夜空と地平線の東西がひっくりかえってます。) 実際の星空と照らしあわさず、あくまで出没計算機と思えば、何とか 慣れてきます。古い西洋星図はこのように東西反転で描いているものも多く、 19世紀以前のヨーロッパの天文関係者にとっては特に問題なかったようです。
 さて、リートの装飾や作り方はとても種類が多く、アストロラーベの美術品としての 価値を高めています。数個の星を記載したシンプルなものから、100近い恒星を描いた サイエンス性の高いものまで、色々あります。

●ルール(Rule)
 以上で、アストロラーベ表面としての機能ははたせますが、さらにリートの上に、 太陽の位置を固定するためのルール(定規)がついているものが多いです。

●裏面
 裏面は、表面のマーテルの裏が土台になります。裏の円周には、360度目盛りと 黄道12宮、そして何月何日という、1年の日付目盛りが並んでいます。
 日付の目盛りから、調べたい日を探し、その部分の黄経目盛りをよめば、 それが太陽の黄経、つまり黄道上の太陽の位置が出ます。

 裏面の中央部分は、上が太陽高度から時刻を導く曲線、下半分は三角関数計算用の グリッドが描かれることが多いですが、特に何もない場合もあります。

●アリダード(Alidade)
 裏面にリートのようなものはなく、アリダードという、直径分の長さの定規のような棒が ついているだけです。アリダードは上下が折れ曲がり、そこに丸い穴があいています。 それで、アストロラーベをひもでつりさげ、陰を利用し太陽の高度を測定するのです。 方法は、アリダードの上下の先にあいた穴の影が地面に投影されるように、 アリダードを回し、固定します。そのアリダードの傾きが太陽の高度です。

 ところが星などの天体は、太陽のように影ができません。影ができないものは、 アストロラーベを眼の高さにつって、アリダードのへりにそってちょうど視線の延長上に その星が見えるところまでアリダードを回して測定します。
 ここでは、アストロラーベは手でにぎって観測してはいけません。 必ずヒモで吊り下げて下さい。ぶら下げることで水平を出しているのです。

●ポストとホース(Post,Horse)
 各部品を止め、回転させる中央のくいがポスト、ばらけないようにポストに 差し込んで止めるピンがホースです。このポストがつまり北極星なのです。 ホースには、馬の顔が描かれているものもあります。


■アストロラーベの使い方の例
←マーテルとティムパンを重ねた図

←リートの図


↑マーテルにティムパン、リートを重ねたオモテ面の図。
よくわからない方は、 1つ前のマーテルとティムパンだけの図とリートだけの図を、まずごらんください。


↑オモテ面の実物はこんな感じ。 簡易型アストロラーベです。


↑同じくオモテ面。
本物と同じ構成のアストロラーベのものですが、10cmと小さいもの なので読み取りに拡大鏡が必要....。


↑裏面の説明です。黄経目盛りが反時計まわりになっています。


↑ウラ面の実物。簡易型の方。


↑本格派の方。


■アストロラーベの使い方

★目盛り:表と裏は、まったく別の物と思おう

・アストロラーベの表側と裏側は、ともに24時間の目盛り、360度の目盛り、黄道12宮 が描かれてあるので、一見似ています。しかし、まったく別のものと、認識しましょう。
・おおざっぱに言って、おもて面は、地面と夜空(ただし東西が反転)、うら面は1年分の太陽の位置表です。
・表の中心は北極星ですが、裏は中心はあんまり関係ありません。

・おもて面は、リートとマーテルに大きく分かれます。
・最も外側のマーテルに描かれている、時計回りに増えていく 24時間の目盛りは、1日の時刻を表しています。どの国もおおむね、 太陽が真南にきた時が昼の0時、その12時間前が午前0時というシステムですので、 地方の時刻と思ってよいです。世界時ではありません。
・マーテルの内側のリートの縁にもまた24時間表記があります。 ところが、リートの24時間表記は、反時計まわりに増えていきます。マーテルと 逆なのですが、これは星図の赤経を表しています。

・うら面は、外側に、向って右からはじまって反時計まわりに増える360度 (物によっては0〜24時)の目盛りがふってあります。 これは太陽黄経をあらわしています。(太陽黄経は24時間表記ではなく、360度表記 にするのが通例です。)その内側か外側に、1月1日から12月31日までの日付が ふってある、日付ダイヤルがあります。調べたい日の太陽の黄経をそれで調べる のです。

☆太陽黄経と太陽赤経
・うら面で、調べたい日時の太陽黄経を調べますが、おもて面の星図は赤経座標です。 日づけからいきなり太陽赤経を求めれば楽なのではないか?と思われるかもしれません。 しかし、それはコンピュータがない時代、かなりめんどうなことだったのです。
・太陽の通り道、黄道は、赤道に対し23.5度ほど傾いています。太陽は赤道ではなく 黄道上をほぼ同じスピードで移動しています。太陽黄経は日付に対しほぼ等間隔で 増えていきますが、赤経は季節によって大きく増えたりちょっとだけ増えたりと 同じスピードでは増加しないのです。
・太陽黄経の目盛りダイヤルは簡単に作れますが、太陽赤経ダイヤルを作ることは 至難の業だったので、とりあえず太陽黄経を求めていると思われます。
・おもて面のリートの黄道リングも、よく見ると12宮の境界線が赤経のライン から少しづれている部分があるのがわかります。

演習1.5月5日の太陽は何時に上るか、調べてみる
・裏面の円周の内側の日付目盛りから、5月5日を選びます。
・その5月5日の位置の、黄経目盛り(360度の目盛)を読みます。 だいたい44度ですね。これが5月5日の太陽の黄経です。
・ついでに5月5日の位置の黄道12宮を見ます。おうし座宮ですね。 この日誕生日のひとはおうし座生まれとわかります。
・さらについでに、5月5日がおひつじ座宮の区間のどの辺かを見ます。 みたとこ、区間中の真ん中くらいですね。 アストロラーベの目盛りは一癖あるので、これが重要なんです。
・次に、表にして、リートの内側に、中心がずれた円で描かれている 黄道リングを見ます。おうし座宮を探して、その中の黄経44度の 位置を探します。そこが5月5日の太陽の位置です。
・しかし、リートの黄道リング上の黄経44度は、なかなかみつからないと思います。 非常にサイズが小さいので数字が読み取れないのです。またモノによっては黄経目盛り が無いリートもあります。そこで、おひつじ座宮をさがし、その真ん中に付近 を44度、太陽の位置とします。
・そこに○印を描けばわかりやすいですが、そうもいかないので、 「5月5日の太陽の位置」にルールをまわしてもってきて固定します。 このルールが太陽の位置の目印です。
・ルールを固定した状態でリートを回し、東の地平線に、「5月5日の 太陽の位置」がぶつかったところで止めます。  東西が星座早見盤と逆なので、東は向かって左です。
・ルールの先がさしている、一番外側の24時間目盛りを読みます。 その時間が、日の出の時刻になります。4時50分くらいでしょうか。
・西の地平線に、5月5日の位置の黄道リングがぶつかった時の ルールの先が、日の入り時刻となります。

・アストロラーベで使う時刻は、太陽が真南にきた時を12時とする、 日本標準時などの、場所ごとの個別の時刻です。世界時ではありません。

演習2.自分の誕生時刻の上昇宮を調べてみる
・裏面から、誕生日の12宮や太陽黄経を調べます。
・表面のリートの中の黄道リングをみて、誕生日の太陽の位置を決め、 そこにルールをもってきて固定します。
・リートを回し、一番外側の24時間目盛りをみて、ルールの先端が自分の 誕生時刻にくるようにして止めます。
・そこで、東の地平線とクロスしている黄道リング上の星座宮が、 上昇宮です。

演習3.シリウスと太陽が同時にのぼる日時を調べてみる
・表面のリート上にあるシリウスを探します。
・リートを回し、シリウスが東の地平線にきたところで、止めます。
・その位置で、黄道リングが東の地平線を横切っている場所を調べ、 そこの黄経を読みます。
・裏面の円周にある目盛りで、今調べた黄経に対応する日付を読みます。 その日が、太陽とシリウスが同時にのぼる日です。
・この計算だけは、ルール(オモテ面の棒のこと)は使わないのがミソ。

演習4.太陽の高度から、現在の時刻を調べてみる
・裏面のアリダードを使い、太陽の高度を調べます。
・裏面から、その日の太陽黄経を調べます。
・2,3番と同様に、表面のリートの黄道リング上の太陽の位置にルールを固定します。
・ティムパンの高度方位目盛りを見ながら、リートを回していき、 黄道リング上の太陽が、先ほど測定した高度の目盛りの場所にきたところで 止めます。
・その位置のルールの先がさしている、一番外側の時刻目盛りが、おおまかな 現在時刻です。なお、同じ高度では2か所ぶつかりますが、太陽の方位をみて、 午後か午前かを推測して、どちらかの時刻を採用しましょう。

☆実際のところ、この方法は、リートの黄道リングに隠れて、 ティムパンの高度方位目盛りがめちゃくちゃ 見にくいので、よい使い方とはいえません。

演習5.三角関数コサイン38度を計算する
・裏面の下半分のシャドウスクエアという部分を使います。 シャドウスクエアは正方形が2つくっついた形です。正方形の一辺の 長さを「A」とします。
・水平を0度、垂直を90度として、アリダードを回して38度のところで 止めます。
・シャドウスクエアとアリダードがぶつかるところ に印をつけ、アリダード中央からの長さを測り「B」とします。 (アリダードに目盛りがついている場合が多いです)
・A÷Bがコサイン38度です。0.85くらいでしょうか。<
・天体軌道論で、三角関数は山のようにでてくるので、シャドウスクエアはとても 便利なものだったと思います。
・サイン、コサインだけでなく、タンジェントもシャドウスクエアの短辺上の 長さを図るだけで簡単に計算できます。

演習6.その他の使い方
・遠方の建物の高さを測る。建物の上から下までの角度と、建物までの距離が わかれば計算できます。
・地方恒星時を求める。地方恒星時とは、春分点の時角(真南から何度西に離れて いるか)であります。昼間は太陽の位置を調べてリートをそこまで回し、おひつじ座宮の一番 前との真南との角度を求める。夜はもっと簡単で、南中している明るい星を調べ、 それと、リート上でその星を探し、おひつじ座宮の一番前との角度を調べればよい。
・etc.他はまだ調査中。

演習?.月や惑星の位置を計算する....
計算できません。従って、アストロラーベ単独ではホロスコープは 作れないのです。

☆13世紀、カスティリア王アルフォンソ十世がアルフォンソ星表という たいへん詳しい天体の位置表を作りました。この有名な星表は、17世紀のケプラーが「間違い が多い」と怒っていたので、そうとう長く広く使われたようです。
 ルネサンスの占星術師は、こういった惑星表をみながら月や5惑星の位置を アストロラーベに書き込んでは消し...ホロスコープを作った...のでしょうか?



↑普通のノクターナルは、持ち手部分があり、手鏡のように北の空に かざして使います。これはキーホルダータイプで小さいので、ぶら下げて 使います。


■アストロラーベと似てる別の科学機器・ノクターナル

 アストロラーベが使われていた時代、ノクターナルという、北極星周辺の星の位置から 時刻を調べる円盤がありました。夜専門の時計です。
 ノクターナルを北の空にかざし、こぐま座の2等星コカブを時計の 短針にみたて、北極星に対しどの位置にいるかで時刻をみたようです。

・しかし、北極星をまわる星の位置は、同じ時刻でも、年周運動のため、 季節によってまったく異なります。 たとえばコカブがある時刻に北極星の真上に見えていても、半年後の同じ時刻には、 正反対の場所にみえるのです。
 そのため、ノクターナルは、計算する日付によって、時計の文字盤にあたる時刻ダイヤル の「ゼロの位置」を変えて、ゼロ調整して使うものでした。このノクターナルは、外側の 日付リングで観測日の日付を探し、そこに内側リングのゼロ点をもってきてスタンバイ。 北の空にむかってつるし、コカブの位置に大きな「針」をもってきます。その針のさす 内側リングの時刻目盛りが現在の時刻となります。

★その他のアストロラーベの時代(15-19世紀)の天文機器
 アストロラーベと似た天文機器、というのはノクターナルだけではありません。 ざっと調べただけですが、次のものがあります。
・万能リング式日時計(吊り下げるタイプで、コンパスなし、どの季節でもOK、 太陽光線だけで時刻がわかるすぐれもの。)
・月齢計算機(グレゴリオ暦用。年初の月齢でアジャストし、月ごとに目盛りを合わす ことで1年分の月齢を計算する。当間でもワークショップで工作したことがあります)
・潮汐計算機(かつてのを再現したらしいモデルをイギリスから購入してみましたが、 .....いまいち使い方がわからない)
・惑星運行儀(オーラリィと呼ばれるもの。太陽月地球だけ、7惑星あるものなど 色々つくられました。)
・恒星時時計(自動で回るアストロラーベがついている時計。ヨーロッパ各国で 時計師の知恵比べのように作られました。自動にするには24時間ではなく、23時間 56分で回さないと実際と合わなくなります。24時間の普通の時計の機能も同時にあり、 ゼンマイ式、歯車だけで作られていて、いずれも見事なものです。)
・他に惑星運行時計など。


■アストロラーベを作ってみよう


■アストロラーベのペーパークラフトを作ろう


★用意するもの

・薄くて丈夫な厚紙、はさみ、ラジオペンチ、のり、がびょう、左の型紙

★作り方

1.はさみやがびょうなど、自分で責任をもって注意してとり扱ってください。小学生以下の方は 大人といっしょに作ってください。

2.左の型紙をA3の紙にきれいに印刷し、のりでボール紙にはります。
 (紙は大きければ大きいほど作りやすいので、できればA2くらいがよいです)

3.はさみで、型紙をはったボール紙を切り抜きます。

4.型紙に描かれた説明図のとおりに重ねて、画鋲でとめます。

5.がびょうの先が危ないので、ペンチでまげて、完成。

★この型紙について

・この型紙は数年ほど前に作ったものです。そのため、裏面の黄経目盛りが時計回りになっているなど、本物のアストロラーベとは少し異なっています。使う上では問題ないと思います。
・表面のマーテル&ティムパンは、北緯35.4度の緯度の場所用に計算したものです。 それ以外の緯度の町、特に日本の北と南では若干太陽の出没時刻がずれるかもしれません。
・裏面に太陽高度から、おおまかな時刻を求める曲線がおまけでついております。 通常のアストロラーベにはこれはありません。
・裏面のアリダードは太陽観測用の穴がありません。というより、紙なので ペラペラです。あくまでこれは使い方を理解する手助けのペーパークラフトで、 実際に使うものではありません。

★旧バージョンの型紙について

 このページができた1997年頃から約10年間、このページには別の型紙が 掲載されていました。コンピュータ出力そのままで、3種類の緯度に対応したものですが、 それをお持ちの方がおられましたら、できれば新しい方を使用くださると いいかなあと思います。
 旧型紙は、リートの星図が、本物の星空どおりの見え方になっているのです。 このページの記述にあるように、実際のアストロラーベは、星座は裏焼きになっています。 つまり間違いなのです。
 ただ、現代のアストロラーベを表示するコンピュータソフトなどは、星座を見たとおりに わざと表示しているものもあり、実際使用する場合、旧型紙の方が理解しやすいです。
 旧型紙をご使用の場合、「本物はこれと違って星座が裏焼きである」点を認識して いただければ、問題ないと思います。
 私が3年前くらいまで、リートの星座の表示をかんちがいしていたので、 こうなりました。申し訳ありません。











■このページの画像等について

ペーパークラフトの型紙は、非営利目的のご利用でしたら、どうぞご利用ください。 ただ、使用のさいは、加工なしでこのままお使いください。 クレジットの文字は消さないようお願いいたします。 (拡大縮小などはもちろんOKです。)

・このページのその他の画像、写真や図は、個人の著作物を、はまぎんこども宇宙科学館が 許可をえて掲載しているものです。使用や転載はどうかご遠慮下さい。

・このページの文章の利用については、はまぎんこども宇宙科学館の規定に従って ください。


■使用したレプリカ・図版など

アストロラーベ1
 スペインのヘミスフェリウム社の美しい量産型アストロラーベの1つで、 マーテルとティムパンがいっしょになっている簡易型です。 たいへん見やすく、使いやすくできています。
 ヘミスフェリウム社は、これの他にも、ティムパンが交換できるタイプ、 作図が複雑なユニバーサル型(どの緯度でも使えるもの)、 小さなキーチェーン型など、多数のアストロラーベを出している 本格派の古天文機器専門メーカーです。 しかし取扱い店が日本、アメリカになく、ヨーロッパの取扱店は アジア出荷をしていないため、入手が非常に難しいところです。
アストロラーベ2
 インドのハンドメイド風レプリカで、Astrolab_Antiqueという名の工房による 重厚なアンティーク仕上げです。真鍮の板に、シャープなエッジで刻みつける形で 文字や線を描いていますが、19世紀以前の本物は この方法で作られていたと想像されます。 このアストロラーベの海外への販売ルートはオークションのみで、 これまた日本で入手しにくい商品です。
アストロラーベ3
 コレクター向け企画販売で知られる米フランクリン・ミント社の商品で、 すでに販売終了しています。
 10cmと小さいのですが、ちゃんとした鋳型を使った完成度の高い品で、 精密に設計されています。アメリカの有名なアストロラーベ研究家・製作者の ノーマン・グリーンが監修したもののようです
ノクターナル?らしきもの
 復刻版の古科学機器を販売しているスタンレー・ロンドンの商品 で、現行販売されています。しかしこれは何に使うものなのでしょうか。
本物の19世紀のスタンレー・ロンドン社はロンドンにありましたが、 ここは、その商標を買ったのか移転したのか不明ですが、アメリカの会社です。 現スタンレー・ロンドンは、船舶用のコンパス、日時計、六分儀、船用の ブラスの望遠鏡、天球儀と広く販売していますが、 実用というよりギフト・インテリア用です。
ノクターナル
 キーチェーンタイプで小型ですが、使いやすいアジャストダイヤルがついた、 精巧で美しいノクターナルです。こぐま座のコカブの方位で時刻がわかります。 ヘミスフェリウム社の商品です。
日時計つきコンパス
 古科学機器のレプリカを作っているカナダのオーセンティックモデル社の 商品です。日時計つきコンパスのレプリカは多くの会社が 出していますが、中でも アンティーク仕上げで雰囲気たっぷりの一品です。
船用望遠鏡
 銘文によれば、英国ヴィクトリア女王の科学好きの夫君アルバート卿の光学技師だった チャールズ・チャドバーン氏の作品で、約150年前のものです。 マリングッズらしく、対物レンズと アイピースの両方に金属のシャッターがついています。 像は150年の時をへて、実用になるほどシャープです。 これだけはレプリカではない本物なのですが、 写真の中のグッズ中、最も価格が安かった という事実が、いかにこの手の望遠鏡が多く作られたかを物語っております。
説明図
 型紙以外はすべて新しく書き下ろしました。レプリカの実物を参考に した他、用語等はJohn Nocke"Understanding The Astrolabe"を参考にしています。

   《 文章・写真・図版:出雲晶子 協力:Studio BirdLand 》


Hamagin Space Science Center
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