こちらこそ銀河系で最も重い星!?
ハッブルがとらえた「ピストル星雲」と「ピストル・スター」(中央)
(写真解説(英文))
(赤外線像:写っている範囲は4.8光年)1990年初期に発見された「ピストル・スター」(その星を囲む星雲の形がピストルの形に似ていることからその名がついています)は、いて座の方向約25000年光年彼方、銀河系の中心近くにある天体です。
1997年9月13日になされたハッブル・スペーステレスコープから赤外線観測がなされ、星雲との関係など詳しいことがわかってきました。太陽が1年かかって出すエネルギーを6秒で出すという(太陽のおよそ1千万倍に近いエネルギーを放射している)天体ですが、地球とこの天体の間の空間にある星間塵による吸収で、可視光では(地上の最大級の望遠鏡ですら)観測することができません。
赤外線は可視光ほど、星間塵の影響をうけにくく、「ピストル・スター」から出る赤外線の10%が地球まで届いています。(発見時も地上からの赤外観測でした) もし、星間塵がなかったら、「ピストル・スター」は4等星にみえることになります。
いまから100万年〜300万年前に生まれたと見られているこの星は、生まれた頃は太陽の200倍くらいの重さであった可能性があります。あまり重い星であるため、不安定で何度か爆発を起こし、数千年前の爆発で、現在見られる「ピストル星雲」ができたと考えられています。星雲の大きさは約4光年もあります。
爆発や強烈な恒星風によってかなりの物質を放出したため、現在は太陽の重さの100倍くらいになっているようです。「ピストル・スター」自体の大きさもたいへんなもので、地球の軌道がその中におさまってしまうほどです。
重い星ほど、猛烈な勢いでエネルギーを消費しているため、この星の寿命はあと100万年〜300万年くらいと見られ、超新星となり、はなばなしくその最期をかざることでしょう。
(Credit: Don F. Figer (UCLA), and NASA)
(資料源: http://www.stsci.edu/)
☆ 銀河系で最も重い星!のニュースもごらんください。
太陽の内部を探る
太陽の内部
(写真解説(英文))
SOHO(ソーホー Solar and Heliospheric Observatory 太陽・太陽圏観測機)はESA(ヨーロッパ宇宙機関)とNASAが共同で進めてきた計画です。
SOHOには太陽大気や太陽風を観測するための12の観測機器が積まれています。1995年12月2日に打ち上げられたSOHOは、1996年2月14日、地球から太陽方向へ150万kmいったところにある(太陽-地球系の)L
1 ラグランジュ点近くに到着しました。(このL1 点では、太陽と地球による重力と、太陽-地球を固定した回転座標系における遠心力とが釣り合っています)太陽面の上下動を精密に観測する装置(MDI)によって、太陽内部のようすが調べられています。これは、地震波によって地球内部を探る場合と似た方法で行われています。(スイカをたたいて中身を調べるようなかんじです)
上の図は、その観測データから計算された、「太陽内部のガスの流れ」を示したものです。赤は青より速いことを示しています。線は、あなたが太陽の緯度30度付近に立って見た場合のガスの動きを示しています。
(Photo Credit: Stanford University and NASA)
(資料源: Goddars Space Flight Center - News Flash; SOHO Homepage)
☆ こちらにも詳しい資料・情報があります。
☆ 日震学への招待★ 太陽についてもっと詳しく知りたい人のために → 太陽活動情報のページ
ふしぎな「ミラ」
1596年、ドイツの牧師ファブリチウスは、くじら座に 明るさを変える星を発見しました。明るさを変える星を変光星とよんでいますが、 その第1号でした。
くじら座のこの星は、ラテン語で「ふしぎな」という意味の「ミラ」とよばれるようになりました。くじら座になっている海の怪物の首あたりに「ミラ」があります。
これまでの観測から、332日周期で3等〜9等星の明るさに変化していること、その原因は、この巨大な星が不安定な状態にあり膨らんだり縮んだりしているからであること、そのたびに表面からガスや塵が流れ出しているらしいことなどがわかってきました。今世紀にはいって、「ミラ」の周囲を回る伴星(お供の星)があることも判明しました。この伴星は、「ミラ」のような赤色巨星ではなく、密度が大きくコンパクトな天体「白色わい星」であると考えられています。
1995年12月11日、地球を周回するハッブル・スペーステレスコープから「ミラ」が観測されました。
ハッブルがとらえた「ミラ」
(写真解説(英文))
写真の上は、「ミラ」(右)とその伴星(左)です。角度にして0.6秒しか離れていません。地球からの距離が約400光年ですから、この2星は約70天文単位離れていることになります。(1天文単位は、太陽-地球間距離)色彩は実際とは異なります。写真下の左は、「ミラ」の拡大像です。あまり丸くない形です。膨らんだり縮んだりする活動と関係があるのかもしれません。
写真下の右は、紫外線での観測です。「ミラ」からフックのような形のものが出ています。ちょうど伴星のあるほうにのびていることから、ガスや塵が伴星にひっぱられているのかもしれません。 ハッブルを使った測定では、「ミラ」の大きさは太陽の700倍もあるということです。
Photo Credit: Margarita Karovska (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics), and NASA
(資料源: http://www.stsci.edu/; 岡崎彰「奇妙な42の星たち」(誠文堂新光社))
シューメーカーさんの死去
木星に衝突した シューメーカー・レビー第9彗星 の発見者のひとりでもある、アメリカの地質学者であり天文学者のユージン・シューメーカーさんが、1997年7月18日午後、オーストラリアのアリススプリングスから480km離れた高速道路で車同士の衝突事故で亡くなりました。69歳でした。オーストラリアへは、隕石孔の研究のために来ていました。同じ車に乗っていた夫人のキャロリン・シューメーカーさんも肋骨を折るけがを負いましたが、助かりました。7月24日には退院しています。
(資料源: ユージン・シューメーカーさんのページ / Comet Shoemaker-Levy 9)
ハッブルがとらえたイオの火山噴出
イオの火山噴出
(写真解説(英文); 8時の方向に噴出が見える。背景は木星)木星の衛星イオには火山が見つかっています。これまでは、木星に接近した探査機からしか火山の噴出が観測されませんでした。
地球を周回するハッブル・スペーステレスコープからも初めてイオの火山噴出を観測することができました。上の写真は1996年7月に撮影されたイオの火山のひとつ「ペレ」からの噴出をとらえたものです。
400kmもガスやチリが噴き上げられています。イオの火山は地球上の火山より強力であり、しかも表面重力が地球上の約6分1で、大気も希薄なため、ガスやチリが高くまで上がるのです。 色彩は実際のものとは異なります。
Credit: John Spencer, Lowell Observatory, and NASA
(資料源: http://www.stsci.edu/)
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☆ 木星の今夜の出没時や星空での位置を知りたい人のために→<オンライン天体暦>
☆ 木星探査機「ガリレオ」についてもっと詳しく知りたい人は こちら。
地球に付きまとう小惑星
小惑星3753番の現在の楕円軌道
(オレンジ色の円が火星軌道) (xephem で作図)
立体軌道図 カナダのオンタリオにあるヨーク大学の研究者がフィンランドの大学の研究者と共同で、地球に付きまとうような珍しい軌道をもつ小惑星を発見しました。
小惑星登録番号3753番になっているこの小惑星は、1986年10月7日(日本時間)に、オーストラリアでD・ウォルドランらが発見しました。公転周期は1年で、1〜10km程度の大きさと見られています。
コンピューターを使ってこの小惑星の軌道の変化を追跡した結果、地球に接近しすぎることもなく、離れすぎることもない、なんとなく地球に付きまとっているかのような奇妙な軌道であることがわかったのです。
太陽の重力と地球の重力の影響を大きく受けている小惑星3753ですが、太陽-地球を結ぶ線を固定して考えると、3753の軌道はふくらんだ「まゆ」に似た形を描きます。 しかも、軌道は地球軌道に対し傾いており、「まゆ」がしだいにずれていくのです。
最も地球に近づいたとき(385年ごとに起きる)で、月までの距離の約40倍、もっとも離れたときで約1000倍(太陽-地球間は月-地球間の約400倍)です。
小惑星3753番の軌道の変化(MPEG動画 4.6MB)
太陽のまわりを地球といっしょにまわりながら見たようすです。(青い)地球は止まって見えます。粒が円を描いてまわっているところが地球の軌道です。小惑星3753の軌道が「まゆ」のような形になり、「まゆ」が地球から遠ざかったり近づいたりするようすがわかります。「ます」が移動しながら、まるでΩ(オメガ)というか馬蹄形(ばていけい)のような形をつくります。Ωのすきまのところに地球があるわけです。
http://www.astro.queensu.ca/~wiegert/3753/3753.html より。
このような動きをする軌道を「馬蹄形軌道」とよぶことがありますが、実際の軌道は楕円(だえん)です。地球に対する運動が馬蹄形に似たパターンを示す、ということです。馬蹄形軌道が実在するかもしれないということは、1911年にブラウンという研究者が理論的に示しましたが、太陽系で実際に見つかったのは比較的最近のことです。(資料)馬蹄形軌道を持つ天体としては、土星の衛星「エピメテウス」がありますが、3753のような複雑な馬蹄形軌道を持つ天体は太陽系で初めてです。地球に接近する小惑星で、馬蹄形軌道をもつものとしてはこれが最初の発見になります。
小惑星登録番号3753番になっているこの小惑星には、Cruithne クルースン という固有名が付けられました。ゲール語でピクト人のことをさすことばです。(ピクト人について:1 2 3)
(資料源: IAUCs No.4262, No. 4266; THE EARTH HAS A COMPANION: YORK UNIVERSITY ASTRONOMERS AND FINNISH COLLEAGUE ANNOUNCE MAJOR NEW DISCOVERY; Near-Earth asteroid 3753 Cruithne; (3753) Cruithne Orbital Elements & Ephemeris)
関連ページ3753 Cruithne
地球と軌道がそっくりな小惑星!その奇妙な軌道の性質とは?
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小惑星の衛星
小惑星「ディオニソス」の楕円軌道
(オレンジ色の円が火星軌道) (xephem で作図)
チリにあるヨーロッパ南天天文台で1997年5月31日(日本時間。以下同じ)から6月8日に 行われた観測で、小惑星「ディオニソス」の明るさが1.155日の周期で、 約0.08等暗くなっていることがわかりました。
この小惑星のまわりを公転する衛星があり、小惑星の光をときどきかくすのではないかと推測されました。 確認のため、衛星があると仮定して減光予報時を計算し観測したところ、予報どおりの時刻に減光が起こりました。衛星の存在が確認されたのです。
小惑星「ディオニソス」の変光曲線
(図の英文解説)
横軸が時間、縦軸が明るさ(等級)です。
上の曲線は6月1日〜16日の観測から得られた変光のようす。
いびつな形の「ディオニソス」が自転するために明かるさが変わって見えます。
中央は、6月8日に衛星が手前を通り、小惑星の一部をかくした時の減光です。
下は、衛星にかくされた時の曲線から通常の曲線(自転による減光)を引いた曲線です。
すなわち衛星にかくされた現象だけによる減光を示しています。
(Credit: ESO)国際天文連合では、この衛星に 「S/1997 (3671) 1」 という暫定符号を与えました。正式な名称はまだついていません。
衛星の軌道や大きさを求めるため、1997年9月〜10月まで観測が続けられる予定です。
「ディオニソス」の大きさは約2km。自転周期は2.705時間。公転周期3.25年。 1984年5月27日に、アメリカのシューメイカー夫妻によって発見されました。 ディオニソスとはギリシャ神話の酒の神の名です。 1997年7月7日に、地球に0.1145天文単位まで接近し、明るさは14.9等になる見込みです。(1天文単位はほぼ太陽-地球間距離)小惑星に衛星が見つかった例としては、1993年にガリレオ探査機が観測した小惑星「イーダ」があります。(英語では「アイダ」という発音)
(資料源: IAUCs No.3953, No. 6680; The Dionysus Occultation Page; (3671) Dionysus Orbital Elements and Ephemeris (小惑星センターによる); ヨーロッパ南天天文台広報資料)★ 小惑星についてもっと詳しく知りたい人のために→<ザ・ナイン・プラネッツ - 小惑星のページ>
カイパーベルトの新天体
木星から冥王星の軌道と新天体 1996 TL66 の楕円軌道
(xephem で作図)
海王星軌道以遠に、短周期彗星(周期200年以下の彗星)の源として「カイパーベルト」という領域が考えられています。軌道の計算から、短周期彗星はこの領域からやってくると考えられています。そして、1992年以降、カイパーベルトに属すると見られる天体が次々に見つかっています。
これらカイパーベルト天体は現在1100個以上にのぼっています。分布図(外側の円が海王星軌道。その外側に多くの天体が分布しています)
これまで発見されてきたカイバーベルト天体は海王星軌道の外側付近をほぼ円軌道を描いて回るようなものでしたが、1996年10月9日にハワイ、マウナケア山頂、ハワイ大学の口径2.2m望遠鏡で発見されたカイパーベルト天体(約21等星)の軌道は相当な楕円であることがわかりました。
1996年10月15日にハワイ大学の2.2m鏡で撮影された 1996 TL66
5時間27分の間隔を置いた2枚の写真で、この天体が移動しているのがわかります。
他のカイバーベルト天体との軌道比較
4本の青い軌道が木星〜海王星。群をなしているのがこれまで発見されたカイパーベルト天体の軌道。(以上の2枚は 1996 TL66 のページ から)
1996 TL66 の軌道図(大) (小惑星センターによる)
軌道上、太陽に最も近づく所で太陽から約35天文単位、最も離れた所では約130天文単位(太陽-冥王星間のおよそ3倍)です。500kmほどもある巨大な彗星のようなものと見られるこの天体(1996 TL66)は約800年で太陽を一周します。(1天文単位は、ほぼ太陽-地球間の距離です)同様な天体が多数存在すると見られ、カイパーベルトは従来考えられていたよりも遠方に広がっているものということになりそうです。
(資料源: M.P.C.E. 1997-B18, 1997-C12; CNN科学技術ニュース; Nature; 1996 TL66 のページ; ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの広報資料)
大きなカイバーベルト天体の発見 アリゾナ大学、月惑星研究所の、地球に接近する天体を調査するプログラム「スペースウォッチ計画」の口径0.9m望遠鏡で、2000年11月28日に発見された 2000 WR106 という天体があります。(立体軌道図)
正確な軌道を求めるには、数ヶ月以上にわたる位置観測が必要ですが、円軌道と仮定して 計算すると、この天体は太陽から43天文単位離れたところにあることになります。 (太陽から冥王星までの平均距離は39.5天文単位)
こんなに遠方にあるのに、明るさは20等級もあります。ということは、比較的大きな天体のはずです。今回発見された 2000 WR106は、650km〜1300km程度の大きさと見られています。冥王星(直径2370km)と比べて1/4〜1/2ということになります。(より新しい観測によりますと、約900kmという見積もりがでています)☆ カイパーベルト天体、冥王星(Pluto)・その衛星カロン(Charon)、いくつかの小惑星(左側)の大きさ比べ
(資料:New Spacewatch Discovery - Minor Planet 2000 WR106; MPEC 2000-X02; Just Discovered: Minor Planet Brighter than All Others; New Solar System object detected)
捕捉
この天体 2000 WR106 は、インド神話の宇宙の支配者の名から、「ヴァルナ」と名づけられました。
わずかな観測から計算された「とりあえずの軌道」を過去にさかのぼって、過去の観測記録を調べると、計算された位置近くにその天体がたまたま撮影されていることがあります。そのような丹念な調査も行われ、なんと1954年にすでに撮影されていたことがわかりました。
長い期間の観測があれば、それだけ正確な軌道が求められます。こうして「ヴァルナ」の正確な軌道が求められました。
2000年12月30日〜31日には、ハワイ、マウナケア山頂、ハワイ大学の口径2.2m望遠鏡と、同じ山頂にあるジェームズ・クラーク・マックスウェル望遠鏡(直径15mの電波望遠鏡)が同時観測を行い、これらによるデータから「ヴァルナ」の直径と表面の明るさを求めることに成功しました。直径は約900kmで、これまで見つかっているカイパーベルト天体で最大です。冥王星の衛星カロン(直径約1200km)と比べてもひけをとりません。
「ヴァルナ」表面の光の反射率は7%ということで、30%以上のカロンに比べるとだいぶ暗い表面です。
2001年4月24日と25日に観測された 「ヴァルナ」 の画像。
中央左で移動している像です。
ハワイ、マウナケア山頂、ハワイ大学の口径2.2m望遠鏡で観測。Images by Scott Sheppard.
冥王星(Pluto)とその衛星カロン(Charon)、ヴァルナ(Varuna)、他のカイパーベルト天体の大きさ比べ
以上2点は、http://www.ifa.hawaii.edu/faculty/jewitt/varuna.html より。
「ヴァルナ」 の軌道(木星から冥王星の位置とともに)
(3D orbit visualization tool で作図)
(資料: JCMT Observations of the Largest Kuiper Belt Object yet seen; Kuiper Belt Page; Pluto's little brother; Hindu god points way to 10th solar planet)
さらに巨大なカイパーベルト天体発見!
火星から冥王星までの惑星位置と新天体 2001 KX76 の軌道
(3D orbit visualization tool で作図)
発見時の 2001 KX76
中央に水色・赤のペアがありますね。この写真は時間をおいて撮影した2枚の写真を合成したものです。その間に移動した 2001 KX76 の位置がかわっていることを示しています。色は実際の色ではありません。
http://www.noao.edu/outreach/press/pr01/pr0110.html より。
Credit: Deep Ecliptic Survey Team/NOAO/AURA/NSF
2001年5月22日、南米チリにある、セロトロロ・アメリカ大陸天文台の口径4m望遠鏡で、巨大なカイパーベルト天体が発見されました。表面がどのような物質か不明ですが、「ヴァルナ」の反射率(7%)と同じと仮定しますと、直径は約960kmということになり、彗星の核並みに4%の反射率とした場合は直径約1270kmとなり、これまで発見された最も大きなカイパーベルト天体ということになります。
1801年に発見された小惑星第1号であり最大の小惑星「ケレス」(Ceres)ですら直径は1000km未満です。冥王星の衛星カロンの直径が約1200kmですから、 2001 KX76 の大きさがわかります。東京-小笠原・父島間が約1000kmです。 (他のカイパーベルト天体、冥王星とその衛星カロンの大きさ比べ)
(資料: Kuiper Belt Object Found Possibly As Large As Pluto's Moon )
過去の写真観測に、 2001 KX76 がとらえられていないかどうかの調査が丹念に行われ、1982年までさかのぼる記録が見つかりました。こうして、2001 KX76 の、20年近い期間の軌道運動の記録が得られたわけで、正確な軌道を計算することができました。
その結果、2001 KX76 は、これまで考えられていたより、少しだけ遠いことが判明しました。ということは、すこしサイズを大きく修正しないと観測されている明るさが説明できません。
「ヴァルナ」の反射率(7%)と同じと仮定しますと、直径は約1200kmということになり、彗星の核並みに4%の反射率とした場合は直径約1400kmとなり、冥王星(直径約2300km)のざっと半分の大きさということになります!
2001 KX76 の大きさ
http://www.eso.org/outreach/press-rel/pr-2001/phot-27-01.html より。
Credit: European Southern Observatory
(資料: New Data Show that "2001 KX76" Is Larger than Ceres; New object dethrones Ceres as largest minor planet; 国立天文台・天文ニュース )
さらにさらに巨大なカイパーベルト天体「クワホワー」の発見!
発見時のクワホワー
赤で示したクワホワーの軌道(アニメーション)
(大判。約288年で太陽を1周)
以上2点、http://www.gps.caltech.edu/~chad/quaoar/ より
クワホワーの想像画
Credit: NASA and G. Bacon (STScI)
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クワホワーの軌道
ハッブル・スペーステレスコープがとらえたクワホアー
Credit: NASA and M. Brown (Caltech)
2002年7月5日、へびつかい座の方向にあったクアホアー。このとき、地球からの距離は約43天文単位。29分間の間に、見える方向がこれだけ変わっています。110秒間の露出を16回行っています。
クワホアーの大きさ比較
Credit: NASA and A. Feild (STScI)
左から地球、月、冥王星、そしてクワホワーです。以上4点、
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/PR/2002/17/index.html より。
クワホワーの軌道(立体図)
「クワホワー」(発音についてはこのページの音声サービスをお聞きください)の名は、ロサンゼルス地域に住んでいた原住民の神話の神の名前からとられたもので、発見者たちが提案しています。正式な名前の決定は国際天文学連合で行われます。(それまでの正式な名称は仮符号である 2002 LM60 です)2003年6月4日、カリフォルニア州パロマー天文台の口径1.2mのシュミットカメラ(写真専用の望遠鏡)によって、当時へびつかい座の方向にあった18.5等(地上から肉眼で見える最も暗い星の1万分の1の明るさ)の「クワホワー」が発見されました。
過去に気づかれずに観測されていなかったかどうか、古い記録が調べられ、に1982年までの観測がいくつか見つかりました。これにより、軌道はかなり正確に求めることができました。地球の軌道に対して、それほど傾いた軌道ではなく、しかも円に近い安定した軌道をもっていることがわかりました。
その後、2002年7月5日と8月1日に、ハッブル・スペーステレスコープを使った観測も行われました。かげろうのように像を悪化させる大気の影響とは無縁のハッブル・スペーステレスコープです。2002年3月にスペースシャトルによる保守・機器交換作業で導入された高性能掃天カメラが威力を発揮し、「クワホワー」の大きさが角度の40秒であることが測定されました。
「クワホワー」までの距離が約43天文単位でしたから、実際の直径は約1300kmということになります。
スペイン南部、グラナダ近郊にある口径30mの「イラーム電波望遠鏡」
観測に使われたボロメーター「マンボ」(六角部分は直径約4cm)
以上2点、http://www.mpifr-bonn.mpg.de/staff/bertoldi/kbo/pr_kbo_e.html より ドイツのボンに本部をおき、電波と赤外線領域での観測と研究を行っているマックス・プランク電波天文学研究所の研究者らは、スペイン南部グラナダ近郊にある、「イラーム30m電波望遠鏡」を使って、4つのカイパーベルト天体の直径を測定することに成功しました。その中には、「クワホワー」も含まれています。
「ボロメーター」という、赤外線の電磁波エネルギーを熱エネルギーに変えて、電磁波エネルギーを測定する道具を電波望遠鏡にとりつけて、カイバーベルト天体からの赤外線を測定しました。赤外線で温められると物体の電気抵抗が変わります。この変化を利用して赤外線量を測定するのがボロメーターです。観測される赤外線の強さ・温度は、カイパーベルト天体までの距離とカイパーベルト天体の直径によって変わります。
こうして求められた「クワホワー」の直径は約1200km±200kmということで、ハッブル・スペーステレスコープによる観測結果とよく一致しました。(ボロメーターに関する資料: 1 2 3 4)
今回、1930年に発見された冥王星に続く、大きな天体が太陽系に見つかったわけです。全天の5%をさがしただけで「クワホワー」が見つかりました。今後は、同じくらいの、もしかすると、冥王星(直径約2300km)並みの大きさのカイバーベルト天体が見つかる可能性もあります。「クワホワー」は、他の小惑星すべての体積を合計したよりも大きな体積をもっていることになります。実際の大きさから、太陽光の約10%を反射していることもわかりました。冥王星は約60%を反射しています。「クワホワー」には明るさの変動が見られます。これは自転によるものと見られ、観測データが集まれば自転周期もわかるでしょう。
資料Hubble Spots an Icy World Far Beyond Pluto
Caltech planetary scientists find largest object in solar system since Pluto's 1930 discovery
Beyond Pluto: Max-Planck radioastronomers measure the sizes of distant minor planets
A Cold New World
「クワホワー」をこえる? 巨大なカイパーベルト天体「2004 DW」の発見!
2004 DWの発見時の画像(時間経過とともに移動して見えるのが 2004 DW)
Source: http://www.gps.caltech.edu/~chad/2004dw/クワホワーを発見した同じ研究者らによって、クワホワーよりも大きい可能性がある別の カイパーベルト天体 2004 DW が発見されました。2004年2月17日(その、ほぼ74年前の1930年2月18日、 トンボーさんは、1月23、29日に撮影した写真乾板から 冥王星を発見していました)、 カリフォルニア州パロマー天文台の口径1.2mのシュミットカメラ(写真専用の望遠鏡)によって、 クワホワーと同程度の明るさの天体が観測されました。クワホワーの場合と違って、あまり正確な大きさの測定がされていません。 他のカイパーベルト天体を参考に、太陽光の約9%を反射すると仮定した場合、2004 DW の直径は約1600kmとなります。 1200〜1300kmというクワホワーや、冥王星(直径約2300km)の衛星 カロン(直径約1200km)よりも大きいことに なります。
木星〜冥王星、そして2004 DWの軌道
Source: http://www.gps.caltech.edu/~chad/2004dw/その軌道は冥王星とよく似ており、太陽を約248年かけて1周しています。太陽にもっとも近づく場所も冥王星軌道とそっくりです。 また、海王星が3回公転する間に、2回公転する点も冥王星と同じです。
クワホワーや 2004 DW 発見までに観測した範囲は、空のごく一部でした。 したがって、今後も、同様な巨大なカイパーベルト天体が見つかる可能性があります。
資料
Frequently Asked Questions About 2004 DW
New world found far beyond Pluto
Planetary scientists find planetoid in Kuiper Belt; could be biggest yet discovered
2004 DW: The largest Kuiper Belt Object?IAUC 8291(2004 February 20)
MPEC 2004-D09 : 2004 DW(2004 Feb. 19)
MPEC 2004-D13 : 2004 DW(2004 Feb. 20)
冥王星をこえる巨大なカイパーベルト天体「2003 UB313」の発見!
2003 UB313の発見時の画像
2003年10月21日に撮影された、1時間半間隔の3枚の画像。○の中が 2003 UB313
Credit: Samuel Oschin Telescope, Palomar Observatory
内側から木星〜海王星の軌道.そして冥王星(Pluto)と 2003 UB313 の軌道
冥王星(黒)と 2003 UB313 を含む3つの大型カイパーベルト天体の軌道
Source: http://www.gps.caltech.edu/%7Embrown/planetlila/index.html
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木星(Jupiter)から冥王星(Pluto)までの惑星位置と新天体 2003 UB313 の軌道
(3D orbit visualization tool で作図)主な惑星の軌道面に対し、2003 UB313 の軌道面は約45度も傾いています。
クワホワーや2004 DW、そして セドナ を発見した同じ研究者らによって、冥王星以上の大きさの カイパーベルト天体 2003 UB313 が、 カリフォルニア州パロマー天文台の口径1.2mのシュミットカメラ(写真専用の望遠鏡)を 使った観測で発見されました。2003年10月21日の観測時には、星座を背景とした2003 UB313 の位置変化がわずかであったため、 その存在が気づかれませんでしたが、約15ヶ月後の2005年1月8日に同じ領域が再び観測され、ようやく発見されました。
軌道計算を行って、過去の観測記録と照らし合わせたところ、1989年のオーストラリアで観測された写真乾板に写っていたこともわかり、一層正確な軌道を 求めることができました。
冥王星の楕円軌道は、 太陽からおよそ30〜50天文単位の範囲におさまりますが、 2003 UB313の楕円軌道は、38〜98天文単位の かなたです。公転周期も、冥王星の約250年に対し、2003 UB313は約560年もあります。
現在、 2003 UB313 はその軌道上、太陽から最も離れたあたりにいます。 2257年には、太陽に最も接近しますが、それでも太陽から 38.2天文単位も離れています。
表面物質がどの程度の割合で太陽光を反射するか、を仮定すれば、観測される明るさに見合う直径が計算できます。 もし、100%反射するとすれば、直径はほぼ冥王星並み(冥王星の97%)で、2210km
地球上の新しい雪のように、90%反射するとすれば、直径は冥王星の102%で、2330km
冥王星のように、60%反射するとすれば、直径は冥王星の125%、2860km
冥王星の衛星「カロン」のように、38%反射するとすれば、直径は冥王星の156%で、3550km
となります。いっぽう、スピッツァー・スペース・テレスコープによる観測では、2003 UB313を検出できませんでした。 観測される赤外線の強さ・温度は、カイパーベルト 天体までの距離とカイパーベルト天体の直径によって変わります。(参考)
スピッツァー・スペース・テレスコープで検出できなかったことから、直径は約3550kmを こえないと見られています。こうして、2003 UB313は、冥王星とほぼ同じ大きさ〜5割増しくらいの大きさの天体であるといえます。
Sky & Telescope - Astro News Briefsなど によりますと、 先のスピッツァー・スペース・テレスコープによる観測では、 (人為的なミスで) 2003 UB313 の方向に望遠鏡が正しく向いていなかったことがわかりました。つまり、2003 UB313 は 実際には観測されていなかったのです!
2005年8月末に再度、スピッツァー・スペース・テレスコープで 2003 UB313 の観測が行われます。もし、検出に成功すれば、2003 UB313 の 直径は、約3550km以上という可能性も出てきます。
その後のスピッツァー・スペース・テレスコープによる観測によると、 2003 UB313 は冥王星より2割ほど大きい 2700kmくらいだということです。(冥王星の直径 2274km) (資料)
さらに、冥王星と2003 UB313の 赤外線領域の スペクトルを比較したところ、2003 UB313にも、 冥王星同様、凍ったメタンで表面がおおわれている特徴が見つかりました。
冥王星発見から75年目にして、 冥王星以上の大きさをもつ、太陽系天体の発見、ということで、これは第10番目の惑星になるかもしれないと注目されています。
冥王星が惑星といえるのなら、2003 UB313が惑星とよばれても不思議はなさそうですが、 「惑星」ということばの正確な定義が必要になってきています。
2006年8月14〜25日にプラハで予定されている国際天文学連合総会でも、惑星の定義や2003 UB313の位置づけが話題になるかもしれません。
19等というかすかな 2003 UB313 を、 くじら座方向にとらえた 西はりま天文台
アメリカ、テキサス大学の マクドナルド天文台は研究活動以外に、天文普及活動にも取り組んでいます。
2005年10月9日現地時間01時08分(日本時間15時08分)、 アマチュアの団体であるセントルイス天文協会のメンバーは、 同天文台の望遠鏡のひとつ、口径2.1mの望遠鏡を 直接のぞいて、19等の2003 UB313 を見ることに成功したということです。 (資料)
2003 UB313 の大きさについてのさらなる観測
冥王星をこえる巨大なカイパーベルト天体「2003 UB313」をまわる衛星発見!
2003 UB313の衛星〜 発見時の画像(中心にある 2003 UB313 の3時の方向にあるのが衛星)
Credit: W.M. Keck Observatory
クワホワーや2004 DW、そして セドナ を発見した同じ研究者らによって、冥王星以上の大きさの カイパーベルト天体 2003 UB313 が、 カリフォルニア州パロマー天文台の口径1.2mのシュミットカメラ(写真専用の望遠鏡)を 使った観測で発見されましたが、 同じ研究者チームと、 ケック望遠鏡の技術チームが協力して 2003 UB313 の観測を2005年9月10日に 行い、2003 UB313 周囲をまわる衛星(S/2005 (2003 UB313)1 という暫定符号が付けられました。 2003 UB313周囲をまわる衛星のうち、2005年に発見された 第1号 という意味です)が発見されました。2003 UB313 や S/2005 (2003 UB313)1 については、正式な名称が 国際天文学連合により、まだつけられていないため、 仮符号でいちいち 2003 UB313 や S/2005 (2003 UB313)1 というのは 不便でした。そこで発見者らは、、ニックネームとして「ゼナ」と「ガブリエル」という名をそれぞれに与えています。
「ゼナ」と「ガブリエル」は、アメリカのテレビ番組 「ゼナ:ウォリヤー・プリンセス」(Xena: Warrior Princess) からとられた、ということです。
「ゼナ」のきわめて近くに「ガブリエル」があるため、大型の望遠鏡で撮像しても、2つの天体を分離することがむずかしかったのです。 地球大気による像の乱れをできるだけなくす技術である 「波面補償光学」(アダプティヴ・オプティクス) をケック望遠鏡に使うことによって、今回の発見につながりました。
上の「発見時の画像」では、(恒星を背景とした)「ゼナ」の動きにあわせて、望遠鏡の向きを変えているため、背景にある恒星のほうが動いて写っています。 (画像の下のほうにすじになって写っているものが恒星が動いたあとです)衛星「ガブリエル」は、 「ゼナ」とともに 動いているため、恒星のようにすじにならず、点像として写っています。
「ゼナ」の質量を正確に求めるよい方法は、そのまわりをまわる「衛星の軌道の大きさ」(軌道半長径)と「まわる周期」(公転周期)を 観測で知ることです。そうすれば、ケプラーの第3法則 を使って中心天体(この場合は「ゼナ」の質量を求めることができます。
衛星「ガブリエル」の大きさはどれくらいでしょうか? 観測されている明るさでは、「ゼナ」の約60分の1の明かるさしかありません。 「ガブリエル」が、「ゼナ」の表面と似たような表面をもっている(同じ割合で太陽光を反射する)と仮定しますと、 「ガブリエル」の直径は「ゼナ」のざっと10分の1、ということになります。
資料
'10th planet' has moon companion
2003 UB313, the 10th planet, has a moon!
A Moon for the "10th Planet"
Xena: Warrior Princess
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2003 UB313 とその衛星の想像図(右の図には天体名の記入あり)
Credit: NASA, ESA, and A. Schaller (for STScI)
冥王星(Pluto)と大型のカイパーベルト天体の大きさ比較図
Credit: NASA, ESA, and A. Feild (STScI)地球大気の影響を受けず観測することができるハッブル・スペース・テレスコープによって、2003 UB313 の 大きさが、角度にして34.3±1.4ミリ秒(1度の1/3600が1秒角.その1/1000が1ミリ秒角)であることが測定されました。 2003 UB313 までの距離においてこの角度は 2400±100kmの大きさになります。すなわち、 2003 UB313 は冥王星(直径約2300km)の約5%増しの大きさであることがわかりました。
本当の大きさがわかりますと、観測される明るさから計算し、表面物質がどのくらいの割合で太陽光を反射しているのかもわかります。 なんと、太陽光の86±7%も反射していることになります。これほど太陽光をよく反射する天体は、太陽系においては 土星の衛星「エンケラドゥス しか知られていません。
2003 UB313 の表面が これほど明るいのは、表面が新しい氷で覆われているからでしょう。 スペクトルの観測からも表面に「凍ったメタン」が 含まれていることが示されています。( 冥王星や 海王星の衛星 「トリトン」の表面にも「凍ったメタンや窒素」が 含まれているようです。(資料:1 2)
長い年月、太陽からの紫外線や 宇宙線に さらされていますと、表面物質が化学変化を起こし、色が変わっていくはずですが、そのようすも認められません。 また、表面物質の明るさの大きなむらも観測されていません。比較的のっぺりとした一様な表面のようなのです。 これらのことから、軌道上、太陽に近い時に「凍ったメタンや窒素」が蒸発し、太陽から遠い時に、メタンや窒素の薄い大気が再び表面で凍る、 といった「季節変化」が繰り返され、 表面が常にフレッシュな氷に覆われていることが推定されます。
資料
The discovery of 2003 UB313, the 10th planet
Direct measurement of the size of 2003 UB313 from the Hubble
2003 UB313 と その衛星 S/2005 (2003 UB313)1 に正式な名称がつきました
正式な名称が付けられるまでの間、発見者らにより暫定的に「ゼナ」という ニックネームで呼ばれていた 2003UB313 ですが、 国際天文学連合に より、 2006年9月13日、「エリス」(Eris)という名称が正式に与えられました。
エリスは、 ギリシャ神話に登場する「不和・争いの女神」です。
ギリシャ神話によれば、女神エリスが トロイア戦争 の原因をつくったとされています。
天文学の世界では、(冥王星以上の大きさをもつ)天体「エリス」は、 惑星の定義をめぐって議論を巻き起こす原因にも なったということで、まさにぴったりの名前になりました。
また、エリスの衛星(これまで、「ガブリエル」というニックネームで呼ばれていました)は、 「ディスノミア」(Dysnomia.エリスの娘. 無法の女神)と名づけられました。
エリス、ディスノミア、いずれも、発見者らによって提案された名前です。
2003 UB313 や S/2005 (2003 UB313)1 に、まだ正式な名称が 国際天文学連合に よってつけられていない段階では、 仮符号でいちいち 2003 UB313 や S/2005 (2003 UB313)1 というのは不便でした。そこで発見者らは、、ニックネームとして「ゼナ」と「ガブリエル」という名をそれぞれに与えていました。
「ゼナ」と「ガブリエル」は、アメリカのテレビ番組 「ゼナ:ウォリヤー・プリンセス」(Xena: Warrior Princess) からとられた、ということです。
ギリシャ神話の「エリス」(Eris)に 対応するローマ神話での名が「ディスコルディア」(Discordia) ですが、 「ゼナ:ウォリヤー・プリンセス」 の中に、「報復の女神」ディスコード(Discord)として登場しています。 エリスは、ゼナゆかりの名でもあったわけです。
また、エリスをまわる衛星の「ディスノミア」(エリスの娘であり、「無法 lawlessness の女神」)は、 ゼナを演じた ルーシー・ローレスさん(Lucy Lawless) にちなんだ名前にもなっているのです。
さらに、「ディスノミア」の最初の音節は、 発見者チームのリーダーである マイケル・ブラウンさん の妻ディアンさん(Diane)の最初の音節にもなっています。
冥王星の衛星(カロン)の発見者の クリスティは、 カロンをシャロンと発音していましたが、彼の妻シャーリーン(Charlene)の 最初の音節に合わせて呼んでいたのです。今回の「ディスノミア」は、 クリスティ流の命名法にもならったわけで、 発見者らは、衛星「ディスノミア」を親しみを込めて「ディ」と呼ぶそうです。
Credit: NASA, ESA, and M. Brown (California Institute of Technology)エリスのまわりを約16日でまわっている衛星「ディスノミア」の軌道が、地球の大気の外から天体を観測している ハッブル・スペーステレスコープを使って、 詳しく調べられました。 衛星の軌道半径や周期が正確にわかりますと、 ケプラーの第3法則から、 エリスの質量を求めることができます。
ケプラーの第3法則を理解するための軌道シミュレーション
(中心天体の質量を変化させると、まわりをまわる天体は?)
こうして、エリスの質量は、冥王星の質量より27%±2%も重いことがわかりました。(1.66x1022 s. 地球の質量の0.0028倍) これは、発見されているカイパーベルト天体最大であり、準惑星でも最大の質量ということになります。エリスの平均密度が 冥王星と同じだと仮定すると、 エリスの直径は冥王星より8%大きいことになります。
ハッブル・スペーステレスコープを使った観測 によりますと、 およそ50km以上の衛星は、 ディスノミア以外、 エリスの周囲に存在しないようだ、ということです。ディスノミアの直径はおよそ 250kmと見積もられています。
上の写真において、エリスの右に出っぱった部分が写ってますが、 これは観測装置によるもので、実際に存在ものではありません。 (資料:1 2; David Tytell, 'It's Official: Eris Outweights Pluto, ' Sky & Telescope, September, 2007, p. 17)
2003 EL61も冥王星並みの大きさ2003年3月7日の観測から発見された 2003 EL61は、明るさの変化の観測から(天体表面の場所によって 明るさに大きなムラはないと仮定すれば)、 球形とは異なる「長くのびた形」をしていると考えられています。 最も長い差しわたしは、冥王星の直径以上もあり、 最も短い差しわたしは冥王星の半分もあります。
しかも、明るさの変化の周期から求められる自転周期はたった3.9時間しかありません。太陽系内では、100km以上の大きさの天体で これほど速い周期で自転する天体は他にはまだ発見されていません。2003 EL61 には2つの衛星も発見されています。これら2つの衛星ができたことも、速い自転や長くのびた形も、天体どうしの衝突の結果と 見られています。(参考:冥王星の衛星の誕生)
巨大な軌道をもつカイバーベルト天体の発見
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火星から冥王星までの惑星位置と新天体 2000 CR105 の軌道(の一部)
(3D orbit visualization tool で作図)
発見時の 2000 CR105
http://www.obs-nice.fr/gladman/cr105.htmlより。
Courtesy Brett Gladman, CNRS, France.
2000年2月6日に、キットピーク国立天文台の口径4m望遠鏡によって、24等級で発見された天体 2000 CR105 は、観測データが集まるにつれ、軌道がはっきりしてきました。軌道上、太陽に最も近づく所(1965年頃にそこを通過)で、太陽からの距離は約40天文単位、最も離れた所では約400天文単位(太陽-冥王星間のおよそ10倍)です。200kmほどもある巨大な彗星のようなものと見られるこの天体は約3300年で太陽を一周します。(1天文単位は、ほぼ太陽-地球間の距離です)
楕円軌道の「つぶれ具合」を示す離心率(円軌道では離心率ゼロ。1にちかづくほどつぶれた楕円)がたいへん大きく、長細い楕円軌道を描いて太陽をまわっています。上図では太陽に近い部分しか示されていません。
太陽に最も近いところでも、海王星軌道(半径約30天文単位)から十分離れているため、海王星の重力の影響はとても小さいはずです。いったい、なにが原因でこのような軌道になったのでしょうか? カイバーベルトにひそむ、未発見の天体の重力のせいかもしれません。
2000 CR105 Ephemeris Generator
(資料: MPEC2000F07; Evidence for an Extended Scattered Disk?; Sky & Telescope News - April 5, 2001 )
衛星をもつカイバーベルト天体の発見
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2000年12月22日〜23日に観測された 1998 WW31 の画像。
1998 WW31 が2つの天体から成ることがわかります。
http://cfht.hawaii.edu/~veillet/WW31.htmlより
1998 WW31 の軌道(木星から冥王星の位置とともに)
(3D orbit visualization tool で作図)
クリスティアン・ヴェイユさんらのチームが、ハワイ、 マウナケア山頂にあるカナダ-フランス-ハワイ望遠鏡(口径3.58m)で、2000年12月22日、23日に撮像した画像から、(1998年11月18日に発見された)カイパーベルト天体 1998 WW31 が2つに分かれて見えることに気づきました。(上の写真)
さらに、カナダ-フランス-ハワイ望遠鏡で撮影された過去の写真を調べてみると、その1年ほど前に撮影された画像にもこの天体が写っており、4枚の画像には2つに分かれて見えるものや長細く見えるものがあったのです。2つの像の配置は、2000年12月のときの配置とは違っていました。
以上の観測から、1998 WW31 は、最大4万km以上離れてまわりあう2つの天体から成っていると考えられます。明るい方は、暗い方より0.4等明るく、それぞれの大きさは200kmと150kmくらいではないかと見られています。衛星をもつカイパーベルト天体としては(カイバーベルト天体の王様ともいえべき 冥王星を除けば)これが初めてです。
1998 WW31 Ephemeris Generator
(資料: 1998 WW31 is a double TNO!...; Sky & Telescope News - April 20, 2001; 国立天文台・天文ニュース )★ 衛星をもつ、あるいは2つから成る他のカイパーベルト天体の例 / そうした天体のリスト
☆ 最初のカイパーベルト天体の発見については こちら。
☆ カイパーベルトについてさらに詳しく知りたい人のために→<ザ・ナイン・プラネッツ - カイパーベルトとオールト雲のページ>そのほかの関連ページ
☆ カイパーベルト ホームページ
☆ 太陽系外縁天体のページ
☆ 高校生チームが発見したカイパーベルト天体(天文学者が撮影した画像を調べている高校生たち)
☆ ヤン・オールトさん
☆ 海王星・冥王星情報
小惑星に接近する探査機
小惑星「エロス」に接近する NEAR探査機
(想像図) (本体サイズ横約1.7m, 重さ805kg, 燃料なしでは487kg)
All NEAR images Credit: NASA/JHUAPL
探査機の、 1996年2月18日05時43分(日本時間。以下同じ)に、アメリカ、フロリダ州ケープカナベラルから、地球に接近する小惑星を調べる探査機 NEAR(ニア: Near Earth Asteroid Rendezvous)が打ち上げられました。(動画 QuickTime 873KB)
打ち上げ前のNEAR探査機 観測機器位置図(観測機器詳細)
まもなく太陽電池パネルを開いたNEAR探査機(QuickTime動画 546KB)は、目標である小惑星「エロス」にいたる軌道の途中、1997年6月27日21時56分01秒、小惑星「マチルドゥ」に1212kmまで接近しました。 接近し遠ざかるマチルドゥ(アニメーションGIF 451KB コーネル大学による)NEAR探査機は「マチルドゥ」の高解像度画像を144枚撮像しました。 (画像の一部)
☆ 小惑星の大きさ比べ(図中、右がマチルドゥ。左の黄色く示したのがエロス。下に10kmの長さが示してあります。横浜市の大きさは東西24km南北31km)
☆ レーダーで調べたエロスの形(およそラグビーのボールのような形のようです)
1998年1月23日16時22分56.6秒には、地球上空(イラン南西部上空)539.8kmを秒速12.9kmで通過し、地球の重力で機体をひっぱらせ軌道を変更しました。15時25分〜49分に、探査機の太陽電池板の向きを調整して、太陽光をアメリカの方向に反射させる実験も行われ、アメリカの夜空に2〜3等級の光点が観測されました。(詳しくはこちら)☆ フランスのコートダジュール天文台で22日3時27分46秒から4時07分31秒にかけて撮像された19.2等の探査機(アニメーションGIF)。このときには地球から約94万km離れていました。今回の地球接近で最初にとらえられた映像でしょう。(地上からとらえたNEAR)
☆ 探査機がとらえた地球の映像(1998. 3/8更新)
1998年12月21日07時頃、12月29日、1999年1月4日に推進システムをふかして軌道修正を行い、1999年1月11日0時頃、エロスから約1000kmの距離で最終的な軌道修正をしてエロスとの相対速度を秒速8mまで落とし、エロスをまわる軌道(エロスからの距離14300km〜400kmの楕円軌道)に入る予定です。エロスをまわる軌道にはいる前の接近時には、エロスの周囲に衛星がないかどうかの観測も行われます。(参考: ガリレオ探査機が発見した小惑星の衛星の情報)
以後しだいに距離を縮めたり少し遠ざかったりしながら、エロスの周囲を回りながらおよそ1年にわたり詳しい観測を行います。2000年1月には、数km以内への接近も行われます。着陸を試みる可能性もあります。(QuickTime 動画 557KB)
12月21日07時に、予定されていた軌道修正中、通信が途絶えてしまいました。22日10時に通信が回復しましたが、なにが起こったのでしょう。軌道修正が不完全に終わったため、予定通りエロスにランデブーすることができなくなりました。
12月24日03時43分に、エロスから約4100kmのところを相対速度約1km/秒で通過しました。エロスの大きさや形、衛星や磁気の有無などが観測されました。この距離では、500mくらいのものまでしか識別できないと見られています。調査によりますと、軌道修正中に起こったトラブルの原因は、コンピューターのプログラムにあったようです。プログラムの修正がなされました。
0時44分〜02時44分の間に撮影された9コマの画像が発表されました。距離は11100km〜5300kmです。この間にエロスはほぼ半回転自転しています。(写真解説(英文))
03時44分と04時05分に撮影された画像も発表されました。距離は約3800kmと4100kmです。。太陽-エロス-探査機のつくる角度が約119度であるため、探査機からは太陽に照らされている部分が少ししか見えていません(写真解説(英文))すこし前になりますが、1998年12月15日11時〜17時頃、エロスの明るさの変化も観測されました。5時間17分の自転周期で、細長い形のエロスが回転しているため、明るさがかなり変動しています。エロスが最も明るく見えるときと、最も暗く見えるときの、エロスのだいたいの向きをしめした画像(最接近時に撮影されたもの)もいっしょに示されています。(写真解説(英文))
1998年12月の接近時には222枚の写真撮影のほか、スペクトル観測などが行われました。その結果、これまで地球上のレーダーで観測して求められた大きさ(40.5km x 14.5km x 14km)よりも、エロスはいくぶん小さい(33km x 13 km x 13km)ことがわかりました。
平均密度は 1.55g/cm3であり、地球の地殻部分の平均密度に近い値です。また、表面に、20kmほどの細長いもりあがり地形がみつかり、エロスの内部は(すかすかではない)一様に詰まった物質でできているようです。
エロスの表面には、それぞれ直径が8.5km、6.5kmという大きなクレーターが2つ見つかりました。小さなクレーターがすくないことは、エロスの表面が比較的新しいことを示しているようです。大きな衝突クレーターができて年月がたつほど、その上に小さな衝突クレーターもたくさんできていくはずだからです。(詳しくはこちら)
☆1998年12月24日のエロス接近画像(MPEG動画 2.33 MB 英文解説)12月24日0時44分(距離 11890km)から04時05分(最接近直後)までの画像。
この間に、探査機の視点は大きく変化しています。エロスは他の多くの小惑星と同様、一定の自転軸のまわりを回転しています。
1999年1月4日02時に行われた24分間の軌道修正によって、エロスの背後から次第に近づくことになり、2000年2月14日16時34分にはエロスに173kmまで接近するランデブーを行い、その衛星になる見込みです。(軌道図:1、2、3、ランデブー時のエロスまでの距離変化、ほか )
NEAR探査機打ち上げから小惑星エロスまでの道のり(QuickTime動画。8.64MB)
小惑星エロスへのランデブー経路 (画面左がエロス軌道面を上から見た図で、右が太陽から見た図。軌道上の区切りは10日毎。QuickTime動画。2.46MB)
初めて撮影された「エロスの自転」 (2000年1月12日に探査機が撮影した780枚の画像から作られたMPEG動画。エロスまではまだ約44000kmもありますが、形はわかります。画像内の時刻は世界時=日本時-9時。3.63MB)
クレーターも見える!「エロスの自転」 (2000年2月4日に探査機が撮影した画像から作られたアニメーションGIF。エロスまで約7700km。まるで、かじられたバナナのような形。348KB)
2000年2月6日に探査機が2種類の装置で測定したエロスの明るさ変化。長細い形の影響がでています。
「エロスの自転」 (2000年2月6日に探査機が撮影した720枚の画像から作られたMPEG動画。エロスまでは約6500kmあります。3.49MB。QuickTime版は 1.53MB)
「エロス」のハート
2000年2月11日、2590kmから撮影。5km ほどの大きさの「ハート型」陥没地形が矢印の先に見えています。影のいたずらでそのように見えるのかもしれません。(その正体はこちら!)
「エロス」とのランデブー2日前
2000年2月12日、約1800kmから撮影。「エロス」の北極上空から見おろした形。表面が小さなクレーターで覆われているのがわかります。
接近最終段階のエロス
2000年2月12日、780枚の画像から作られたMPEG動画。3.82MB。
カラーのエロス
2000年2月12日、約1800km から撮影。肉眼で見たときの色に近い画像です。
マチルドゥとエロスの大きさ比較
1997年6月27日に接近、撮影された小惑星マチルドゥと、2000年2月12日に撮影されたエロスの画像を、実際の大きさが比較できるように合成したものです。
マチルドゥのさしわたしは56kmで、エロスの長さは33km、幅13km です。マチルドゥは実際には「すす」のような暗い表面をしており、エロスの方が表面が6倍も明るいのです。
エロスは、S型小惑星という岩石に似たタイプですが、マチルドゥは、C型小惑星という、炭素化合物が多いと見られる暗い灰色のタイプです。(小惑星の分類)
「エロス」周回軌道からの最初の画像
2000年2月15日0時33分、エロス周回軌道に入り、その1時間後に撮影されたのがこの画像。表面から330km の高さ。
中央のクレーターは直径約5km。30mくらいのものまで写っています。
2000年2月15日0時33分、エロスの中心から約327kmのところで、主エンジンに点火し57秒間噴射を行いました。こうしてブレーキをかけ、エロスの重力に引かせて、その周囲をまわる軌道に入りました。(接近時のエロスとの距離変化)はじめの2カ月間ほどは、ゆっくりとエロスに接近していき半径500〜50kmほどの軌道から、表面の物質を調べます。8月末頃には軌道をあげていき半径50〜500kmほどの軌道から、エロスの撮像を行い、地図をつくるデータとします。12月下旬には再び接近していき、表面の詳しい調査を行います。 燃料が少なくなる、2001年2月頃にはエロス着陸が試みられるかもしれません。
木星に衝突したシューメーカー・レビー第9彗星 の発見者のひとりでもある、アメリカの地質学者であり天文学者のユージン・シューメーカーさん(1997年、交通事故で亡くなりました。69歳でした)は、小惑星や彗星、天体衝突クレーターの研究で天文学に貢献し、NEAR計画立案の重要なメンバーでもありました。そうしたシューメーカーさんの業績をたたえるため、2000年3月14日、NASAは、NEAR(ニア)探査機の名前を、「ニア・シューメーカー」(NEAR Shoemaker) と改名すると発表しました。
(関連ページ: シューメーカー・レビー第9彗星; シューメーカーさんの遺灰を積んでいた「ルーナー・プロスペクター」; シューメーカーさんの死去)
(NEAR探査機ホームページより)
エロス周回時の予定
2000年2月14日 エロス周回軌道へ
("The Second Coming of NEAR," Robert Farquhar and others, The Planetary Report, pp. 14-19, November/December, 1999 等より)
2月14日〜4月30日 軌道半径50〜500km
5月1日〜8月27日 軌道半径50km
8月28日〜12月13日 軌道半径50〜500km
12月14日〜2001年1月10日 軌道半径35〜50km
1月10日〜2月14日 最小軌道高度2〜5km
2001年2月14日 飛行計画終了
最新の軌道予定はこちらに。
NEAR探査計画概要(70 KB 英文: Adobe Acrobat file; 読むためのソフト)
NEAR探査計画(1.33 MB 英文: Adobe Acrobat file; 読むためのソフト)
NEAR探査機軌道計画(179 KB 英文: Adobe Acrobat file; 読むためのソフト)
☆ エロスの軌道
☆ エロスの軌道(立体図)
☆ 星空のなかのエロスの位置
☆ NEAR探査機から見たエロスまでの距離、明るさ、大きさなど
☆ エロスのデータ
☆ エロスに関する情報
☆ NEAR探査機の現在位置
☆ NEAR探査機の現況レポート
☆ NEAR探査機に積まれている観測装置
☆ NEAR探査機の予定(1)
☆ NEAR探査機の予定(2)
☆ 今回の探査計画に関する質問・答え集など
今回の探査計画に関係した簡単なクイズ(もちろん英語! でも挑戦してみてね)
今回の探査計画に関係したぬりえあそび(きれいな色でしあげてみましょう)
探査機の模型を作ろう!☆ NEAR探査機関連情報
(資料源: NEAR探査機ホームページ)
1998年4月2日01時20分頃(日本時間)、オーストラリアのアマチュア天文家ゴードン・ガラッドさんは、口径25cm望遠鏡とCCDカメラを使って、地球から3365万km(太陽-地球間の22%)の距離にあるNEAR探査機をとらえました。太陽電池板からの太陽反射光をとらえたものです。明るさは約19等。これは、映像で記録された人工物体としては、最も遠い距離の記録になりました。
1998年1月28日、同じくガラッドさんが口径25cm望遠鏡でとらえた、12等級の明るさのエロス。3時間半のうちに、背景の星空に対し位置を変えていることがよくわかります。1時間で、満月のみかけの大きさの15分の1近く動いています。
(http://www.ozemail.com.au/~loomberah/433.htmより。 Copyright: Gordon Garradd)
エロスのクレーターに名前をつけよう! エロスには百個以上のクレーターが見つかるかもしれません。NEAR計画チームでは、クレーターにつける名前の案を、惑星協会に頼んで募集することにしました。「エロス」の名は、ギリシャ神話の愛の神からとられたものです。そこで、「愛」に関係のある名前をクレーターにもつけましょう、ということになりました。名前を選んだ理由を英語で50語以内で書いて応募してくださいとのこと。応募してみませんか? くわしくはこちらを。★ 小惑星についてもっと詳しく知りたい人のために→<ザ・ナイン・プラネッツ - 小惑星のページ>
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地球にふりそそぐ巨大な雪の玉
雪の玉がつくった水蒸気雲
(Photo Credit: Goddard and the University of Iowa)アメリカが1996年2月24日に打ち上げた「ポーラー衛星」(1270kg)は、NASAの科学衛星で、太陽風と地球磁気圏の観測を行うものです。
この衛星の観測装置のひとつ(VIS)が、地球大気に降り注ぐ雪の玉をとらえました。家くらいの大きさの雪の玉が上層大気中につっこみ、約1000km以上の高さで分解しています。
上に示した写真(1996年4月6日撮影)では、酸素原子が(太陽光に照らされて)出す紫外線で、昼の地球上空が明るくなっています。
ところが、雪の玉が分解してできた水蒸気の雲がその紫外線を吸収するため、その部分が暗く写っています。小さな彗星ともいうべき、こうした雪の玉が数秒に1個の割合で上層大気に降り注いでいると見られています。
このような雪の玉には、有機物も含まれていると考えられ、地球上の生命進化にも影響を与えてきたかもしれません。
(資料源: アイオワ大学広報資料; ポーラー衛星ホームページ; NASA広報資料)
この発表については、反論も多く出されています。CDを再生していないステレオ装置のボリュームをあげていくと、装置が発生している雑音が聞こえてきます。このような雑音やノイズといったものが測定装置や観測装置にもあります。 VISがとられた信号は、ノイズではなかったのか、という研究者もいます。地上で実験したところ、似たような信号が発生したというのです。また、もしそのような雪玉が数秒に1個という頻度で降り注いでいるなら、そこによってもたらされる希ガスという気体が大気中に大量に含まれているはずだ、という反論や、そのような雪玉は月に小クレーターをたくさんつくっているはずだが、そのようなクレーターはみつかっていない、という反論が出されています。
もちろん、雪玉説の提唱者らも裏付け観測を続けており、その発表を行っています。より高い高度から撮影した画像には、水蒸気雲が小さく写るため、観測される個数が減ってしまうこと、流星のように夕方より明け方の上空に多く発生していることなどを報告しています。
(資料源: Comet rain debate continues; Arizona scientists highly skeptical of 'small comet' theory; UI's Louis Frank presents additional proof for "small comet" theory; Small Comet Images Pass the Ultimate Test, Proving the Reality of Atmospheric Holes)
アメリカ、サンディア国立研究所の研究者らは、1994年に 木星に衝突したシューメーカー・レビー第9彗星 の大気現象解析に用いられた計算を応用し、次のような解釈を提案しました。岩ほどもある大きな流星物質が地球大気に突入した場合、それは大気の低層まで達し、低層からその突入経路にそって酸素分子を含む大気柱が1000kmもの高さまで吹き上がる可能性があるということです。
紫外線のなかでも、より波長の短いものは酸素分子によって強く吸収されます。このため、そのような波長で観測する人工衛星からは、この現象が暗く見えはずだというのです。(詳しくはこちら)
1999年1月1日発行の the Journal of Geophysical Research では、雪玉説提唱者らが、測定上のノイズではないことを主張する論文を発表しています。
太陽系外に地球型惑星を探す「ダーウィン・プロジェクト」
宇宙赤外干渉計
16カ国からなる ヨーロッパ宇宙機関では、「ダーウィン宇宙赤外干渉計」 (Darwin Space Infrared Interferometer)という巨大宇宙望遠鏡計画を立案中です。
地球から50光年以内にある太陽に似た星300個に ついて、地球のような惑星がないかどうかを調べます。
惑星にくらべ、中心星(太陽系の太陽に相当)があまりにまぶしく、地球から惑星を直接見つけるのは困難です。それでも、 赤外線で見た場合、中心星のまぶしさはかなり抑えられるのです。
観測場所は、太陽だけでなく、強い赤外線源である地球や月から離れている必要があります。 また、地球周回軌道(人工衛星)では、天空の広い範囲を地球がおおっており、観測のじゃまになります。 このため、地球から、太陽と反対方向に約150万km離れた場所である ラグランジュ点 L2 (ラグランジュ・ポイントについて)に 「ダーウィン」を設置します。ここなら、いつも太陽・地球・月を背後にして観測をすることができます。
直径1.5mの鏡をもつ望遠鏡を4〜6台使用し、それぞれの望遠鏡で同じ天体からの赤外線を集め、中心ステーションに送り合成します。 こうして、あたかも直径 100mの鏡を使ったときと、同じ細かさで天体を観測できるのです。
2015年に打ち上げられる見込みです。
(資料源: 「ダーウィン」宇宙赤外干渉計プロジェクト ホームページ / ESA Science & Technology: Darwin )