はまぎんこども宇宙科学館/(財)横浜市青少年育成協会


宇宙・天文ニュース(つづき)

★ 神戸に隕石落下

1999年9月26日20時23分、神戸市北区筑紫が丘の民家に隕石が落下しました。2階の子供部屋の天井を破り、部屋から10個ほどの破片計136グラムが見つかったということです。

兵庫県の西はりま天文台では、この隕石落下のようすが偶然、目撃されていました。

司馬康生さん(日本流星研究会)によりますと、この隕石は、重さ約2.8kgの石質隕石で、岡山県北部上空約80kmで大気圏の突入したと推定されています。姫路市上空を通過した後、複数に分裂したもよう。そのうちのひとつが民家を直撃したようです。

落下した隕石の写真


中村昇さん(神戸大学)よる分析の結果、国内では初めて見つかった「炭素質コンドライト」という種類の石質隕石である可能性が高い、ということです。「神戸隕石」か「神戸北隕石」の名前で、国際隕石学会に登録されるみこみです。

日本で見つかった隕石は、1996年1月7日に落下した「つくば隕石」と今回の隕石を含め、合計46件が確認されています。(資料: 島正子「隕石〜宇宙からの贈り物」(東京化学同人 1998))
そのち37件が石質隕石、8件が鉄隕石(隕鉄)、1つが石鉄隕石です。(つくば隕石についてはこちらもごらんください)


☆ 隕石についての解説:

 はまぎんこども宇宙科学館に展示されている隕石の写真:

関連ページ

(資料:報道記事 



★ 地球上どこでも皆既日食!

最近、日本で日食が見られたのは、1998年8月22日でしたが、 これは九州、沖縄などに限られました。 全国的に見られるのは、2002年6月11日となります。 日本から皆既日食が見られるのは、2009年7月22日(奄美大島方面)になります。

1997年〜2020年までに皆既日食が見られる地域を世界地図に示したものが下の図です。

1997年〜2020年までに皆既日食が見られる地域Eclipse Zoneより)

2001年〜2025年までに皆既日食が見られる地域を世界地図に示したものが下の図です。

2001年〜2025年までに皆既日食が見られる地域NASAページより)


みなさんが、地球上の「ある場所」を選んで、そこに永住したとしましょう。どれくらい待てば、その場所から皆既日食が見られるのでしょう?

地球上の「ある場所」にいる観測者にとって、皆既日食が見られる確率はどれくらいなのでしょうか。

アメリカのヤングによりますと、皆既日食が起こる回数は18年間に約10回で、皆既日食として月の影が地球表面を覆う面積の割合は地球上のおよそ1/200だということです。

地球上全体としては、1年間に皆既日食が見られるのは10/18 回 という確率です。しかし、地球上の1/200しか皆既日食が見られないというのですから、「ある場所」から見えるのは、さらに1/200 の確率です。

したがって、10 / 18 x  1 / 200 = 1 / 360 となります。 ある場所にじっとして待っていても、360年に1度しか皆既日食が見 られないということになります。

(「黒い太陽を求めて」(地人書館 1982)pp. 4-11、秦 茂「日食の常識」より)

でも、この計算は、「平均するとそのような頻度になります」ということなので、現実にはそんな規則正しくはいきません。ニューギニアのある場所では、1983年〜1984年にかけての18カ月の間に2度も皆既日食が見られた、ということもあるのです。

地球上の「ある場所」を選んで、どれくらい待てば、その場所から皆既日食が見られるのでしょう? この問題をパソコンを使って丹念に調べた人がいます。ベルギーのアマチュア天文家、ジャン・メイアスさん(Jean Meeus 1928- )です。

過去から未来へ何千年ぶんも日食の計算を行っていき、上の図にあるような、皆既日食が見える帯で、地球が完全に塗りつぶされればよいわけです。でも、地図に記入したり、パソコン画面で確認すると、わずかなすきま領域を見逃したり、描画がはみ出たりして不正確になります。できるだけ正確な方法をとろうと、メイアスさんは工夫しました。地球上の緯度経度の網の目の一点一点から皆既日食が見られるまで日食計算を続けました。網の目をさらに細かくして同様な計算を行い結果を比較しました。

その結果、5千年くらいの期間を考えれば、地球上のどこにいても一度は皆既日食が経験できるようだ、という結論が得られました。(2千年間で、地球の99%以上で皆既日食が見られ、3千年間で99.9%以上から皆既日食が見られるということです)

もちろん、お天気は別にしての話です。


(資料: Jean Meeus, "Shadow Painting the Globe", Sky & Telescope, August 1999, pp. 69-71 )




関連ページ



★ 太古の火星磁場

マーズ・グローバル・サーベイヤー磁力計による観測から、火星の南半球の地殻に、幅約160km、長さ1000〜2000kmほどもある、東西にのびる長い帯のような磁場が見つかりました。(東京-小笠原間が約1000km)

火星の南半球の磁場Views of the Solar Systemより)

青と赤の色の違いにより、磁力の向きが逆になっていることを示しています。

地球にもこれとよく似た磁場のもようがあるのです。
太平洋や大西洋のような大きな海の中央付近に見られる海底山脈を中央海嶺(ちゅうおうかいれい)といいます。中央海嶺では、たえずマグマがふきだし、それが冷えて固まり、新しい海底が広がっていきます。(プレートとプレートが離れていく海嶺や、プレートどうしがぶつかりあう海溝(かいこう)など場所では地震が多く発生しています

新しい海底ができるとき、そのときの地球磁場の方向にならぶように、岩石中の小さな磁石が整列して冷えかたまります。つまり、岩石が固まったときの地球磁場の方向を海底の岩石が記録しているのです。(ちょうどカセットテープに記録された磁気情報のようなものです)海嶺から遠い海底の岩石ほど、昔の地球磁場を記録しているわけです。

磁気もようの発見から、太古の火星にも地球と同じようなことが起きていたといえるのかもしれません。つまり、太古の火星には、火星全体におよぶような強さの磁場があり(ということは火星内部には融けた金属の核があったはず)、そしてマグマが噴き出し固まった岩石がプレートの動きで広がっていったのではないでしょうか。

帯のようなもようが地球の中央海嶺の場合に比べ幅が広いのは、地殻の動きが地球より速かったか(同じ磁気パターンを記録した岩石がどんどんできて広がっていくわけです)、火星の磁場の向きは地球ほど頻繁に変化しなかった、といった理由からでしょう。

火星の北半球の地殻に磁気もようが見つからないのは、北半球に小惑星が衝突したり激しい火山活動がおこったりして、北半球の地殻を熱し、磁気の記録を消し去ったためかもしれません。(磁石はある温度になると、磁石の性質が失われます。この温度をキュリー温度とかキュリー点といいます)

地球の中央海嶺のような現象が太古の火星に起きていたと考えてよいかどうか、まだはっきりしません。 中央海嶺の両側では、磁気のもようが対称になっています。ところが、火星で見つかった磁気もようには、まだ対称性が確認されていないのです。今後のさらなる観測、研究が待たれます。

(資料: Magnetic Stripes Preserve Record of Ancient Mars; Plate Tectonics on Mars?



★ 地球接近天体の衝突危険度

地球に接近する小天体(たいていは小惑星)がつぎつぎに発見されていますが、それらの、地球に対する衝突の危険性がどの程度のものかを示すよい方法がありませんでした。

専門家以外のひとにもわかりやすい表現で、地球に接近する天体の危険度を示す方法が、1999年6月にイタリアのトリノで開かれた「小惑星・彗星の脅威に関する国際監視プログラム」で提案されました。国際天文学連合は、同年7月ウィーンで開かれた「宇宙開発と宇宙の平和利用に関する国連会議」で、この「トリノ衝突危険スケール」の採用を公式に発表しました

この「トリノスケール」というものは、天体の、地球への衝突確率と衝突時のエネルギーによって0〜10までの整数で示されます。また、危険度によって(以下の図のように)表示色も決められています。

トリノスケールNASA Space Science Newsより)
左縦軸に衝突時のエネルギー(天体の大きさ)、横軸に衝突確率が示されています。

世界的な惨事が確実となる場合が10になるわけですが、1999年7月現在知られている地球接近天体では、トリノスケール1を示すものすらありません。ある天体についての観測が集まるにつれ、その軌道がより正確に求まっていきますが、それにつれて危険度の評価が変更になり「トリノスケール」の値が変わることもあるわけです。(実際、トリノスケール1に該当する小惑星が発見されたことがありますが、その後の観測による正確な軌道で、トリノスケール0相当と変更された例があります)


トリノスケール各レベルの解説


資料:


関連ページ:
 2027年と2039年に地球に接近する小惑星
 小惑星情報のページ彗星情報のページ


☆ 今後33年間に地球に0.2天文単位(= 3千万km。地球-月間の約80倍)以内に接近する天体のリスト
☆ これまでに地球に接近した小惑星のリスト
☆ これまでに地球に接近した彗星のリスト
地球に接近する小惑星のリスト
地球に接近する小惑星の軌道要素リスト



★ 土星の衛星「チタン」の海


左は「スペックル干渉法」で得られたチタンの近赤外画像。右は通常の方法で得られたチタンの画像。
Credit: Lawrence Livermore National Laboratory


土星最大の衛星「チタン」(ティタンとも。英語読みではタイタン)は、直径が5150kmもあり、水星(直径4878km)よりすこし大きく、月の約1.5倍です。(太陽系最大の衛星は木星の衛星「ガニメデ」ですので、チタンは太陽系第2の巨大衛星です)

その大気はほとんど窒素からなり、表面の気圧は地球上の約1.5倍もあるのです。このような濃い大気をもつ衛星はほかにありません。表面の気温はマイナス180度と見られ、液体のメタンあるいはエタンの海が存在する可能性が指摘されています。

太陽からの紫外線がチタンの上層大気にあたると、メタンガスなどから濃い霧がつくられます。地球から可視光でチタンを観測しても、この濃い霧にさえぎられ、表面のようすはまったくわかりません。
可視光で見たチタンは、分厚い霧によって表面のようすがかくされていますが、可視光に近い近赤外で見るとモヤがすみが減ります。表面がかろうじて見えるような波長域が近赤外に存在するのです。こうした波長域をつかってチタンの観測が行われています。

ハワイ、マウナケア山頂に、口径10mの巨大望遠鏡2台をもつケック天文台で、その巨大なケック望遠鏡の1号機(Keck I)を使って、チタンの近赤外観測が行われました。(ケック天文台のドームの写真: 中央の2つに、うりふたつの巨大望遠鏡がおさめられています。右は日本の国立天文台のすばる望遠鏡ドーム。 Photo Credit: JPL/Caltech/NASA)

さらに、像を悪化させる大気のゆらぎの影響を減らすため、「スペックル干渉法」という方法が使われました。

望遠鏡で天体を観測したことのある人は経験があると思いますが、大気が安定していないために、像の細かい部分がゆらゆらと動いています。
動きのある被写体を高速シャッターで撮影すれば、被写体は止まって写ります。同様にして、大気のゆらぎの影響がでないほど短時間の露出で多数の撮像を行い、それらをコンピューターで処理するという方法が「スペックル干渉法」です。

上の画像(左)はそのようにして得られたもので、ハッブル・スペーステレスコープによる画像をもしのぐ鮮明さです。ケック望遠鏡の能力を使えば、13億kmもの彼方のチタン上、240kmくらいのものまで識別することができます。

画像の左下のほうに見える暗い部分は、液体のメタンやエタンの海の可能性があります。中央やや右上の明るい部分は、岩石と氷が混じった地域かもしれません。

その正体の解明は、2004年の「カッシーニ探査機」の土星到着を待たなければならないでしょう。カッシーニ本体から、チタンを調べる小型探査機が分離されます。


(資料: ローレンス・リヴァモア米国立研究所広報資料



Credit: Athena Coustenis (DESPA) et al, PUEO, CFHT

これは、1998年10月27日に、ハワイ、 マウナケア山頂にあるカナダ-フランス-ハワイ望遠鏡(口径3.58m)で、波面補償光学(アダプディヴ・オプティクス)という技術を使って撮像されたチタンです。
(波面補償光学について詳しくはこちら



チタンのスペクトル観測から、チタンに雲があるらしい、ということがいわれてきましたが、いったいチタンのどこに雲が発生しているのか手がかりがありませんでした。

1980年に土星に接近したボイジャー1号による観測や1981年に接近したボイジャー2号による観測でも、チタンは、のっぺりとしたようすしかとらえられていません。本当に雲などあるのでしょうか?

大口径望遠鏡に波面補償光学技術をもちいて、ようやくこの疑問に終止符が打たれました。次の画像は、南極付近に発生した雲の変化をとらえた画像です。並んだ3画像ともほぼ同じ面が写っています。

チタンの南極地方に発生した雲
(ケックIIによる観測。2001年12月〜2002年2月)
Credit: M.E. Brown, A.H. Bouchez, C.A. Griffith

2001年12月、2つのケック望遠鏡のひとつ、ケックIIと、同じマウナケア山頂(ハワイ)にあるジェミニ・ノース口径8m望遠鏡、それぞれに波面補償光学(アダプディヴ・オプティクス)という技術を使った 近赤外の観測で、チタンの南極地方に発生した雲がとらえられました。(上の画像)

何日も持続する雲もあれば、どんどん変化していき、数時間ほどで雲の濃さが変化したことがわかる場合もあります。
このころ、チタンの南半球は真夏を迎えており、南極付近には6年以上にわたり太陽光があたっている時期でした。太陽光であたためられた結果、上昇気流がおこり雲ができたのかもしれません。

チタンの300kmくらいのものが識別できる画像です。観測時の地球からチタンまで距離(約12億km)を考えると、100km先のナンバープレートが読めるくらいの識別能力です!

そのほか、ケックIIによる画像では、これまでにとられられたものと同様、明るい大陸サイズの模様も観測されています。(次の画像)

チタンの大陸?(ケックIIによる観測。2001年12月3日)
Credit: M.E. Brown, A.H. Bouchez, C.A. Griffith

この「大陸」は、氷でできた高地かもしれません。周囲には、暗い領域(エタンの海か、黒っぽい有機化合物におおわれた低地かもしれません)があります。

今後、チタンの季節と雲の関係などが観測でわかってくれば、雲発生のしくみも解明されてくるでしょう。

写真・資料とも http://www.gps.caltech.edu/~antonin/nature02.html より。




参考ページ

 年ごとにリングの見え方が変化している土星
☆ 土星探査機のニュース

★ 土星の衛星の位置を計算します。(日本時間マイナス9時間の時刻をいれます。衛星チタンは小型望遠鏡でも見えます

★ 土星の今夜の出没時や星空での位置を知りたい人のために→<オンライン天体暦>、や<お星さまとコンピュータ>。あるいは Windows ユーザーならこちらのプログラムで計算して調べることもできます。
★ 土星についてもっと詳しく知りたい人のために→<ザ・ナイン・プラネッツ - 土星のページ>



★ チェサピーク湾の衝突跡

チェサピーク湾の天体衝突跡(内側が直接の衝突域)
Credit: U.S. Geological Survey


1993年、アメリカ、ヴァージニア州にある、チェサピーク湾地域の地震データの解析から、天体が衝突したらしい構造が見つかり、その後の詳しい調査により、そのことが確認されました。

いまから約3千5百万年前、彗星か小惑星が大西洋に落下し、現在チェサピーク湾にあたる浅い海に直径90kmものクレーターをつくったと推定されています。

現在、そのクレーターは深さ120〜360mもの土砂に埋まっています。「チェサピーク湾衝突クレーター」は、海にできた衝突クレーターとして見つかっている少ない例のひとつであり、アメリカ国内で見つかっている衝突クレーターで最大のものとなります。

陸地からも近いため、調査が比較的行いやすく、当時の環境についても多くの情報が得られることでしょう。

クレーターの外側のふち(上図の外側のほう)の内側では、地下水の塩分が多くなっているということや、クレーター周辺での地震活動も注目されています。


(資料: explorezone.com NEWS; U.S. Geological Survey


関連情報:

NASA'S LANGLEY FIRST STOP IN BLAST TO LOOK AT IMPACT CRATER'S PAST
The Chesapeake Bay Bolide: A New View of Coastal Plain Evolution
Chesapeake Bay Crater


関連ページ:

バレンツ海の衝突跡
小惑星情報
彗星情報



★ ニュージーランド上空の大火球

1999年7月7日(七夕の日!)、日本時間13時15分(現地時間16時15分)、ニュージーランドの北島東岸のナピア(Napier)と西岸ニュープリマス(New Plymouth)の間の上空に、大流星が出現しました。

今回のように、昼間でも見えるような特別に明るい流星(はっきりした定義はないのですが、明るい流星をよく、火球(かきゅう)といいます)は、大きさも数cm以上、質量も100グラム、1kg、あるいはそれ以上と見られています。1m大のものでも毎週1個くらいの頻度で大気圏に突っ込んでくると言われていますが、今回ニュージーランド上空に現れた大火球は車ぐらいの大きさがあったかもしれないということです。

火球が現れたとき、爆発するような音がして、あとに煙のようなものが残りました。爆発によって破片が散らばり、地上に落下したものがあるかもしれません。この事件に関しては、けが人など直接の被害はでていないもようです。

多数の市民が明るい光や爆発音、あとに残った煙のようなものを目撃し、警察や天文台などに問い合わせ電話が殺到したということです。飛行機やレーダーからもとらえられ、 地震計にもソニックブームによる振動が記録されました。 (今回の大火球の爆発音と煙

ニューランド政府所有の研究所である、地質・核科学研究所の研究者は、9カ所の地震計に記録されたデータを分析した結果、今回の空中爆発の地点を算出しました。

サウス・タラナキ(地図参照)の北東約25km、地上約37kmのところで爆発が起こったということです。


(資料: ASTRONET; CNN News (1); CNN News (2); 地質・核科学研究所広報資料

1999年7月19日10時頃(現地時間早朝3時頃)、イタリアのローマ上空でも火球が現れ、警察や消防署に多数の電話が殺到しました。(CNN ニュースより)


関連ページ:

流星の音
昼間の大流星
アメリカの軍事衛星の赤外線センサーがとらえた火球の記録
しし座流星群ガイド
流星・隕石情報

ニュージーランドの情報



★ 銀河系中心の超巨大ブラックホール

オーストラリアで撮影された天の川
撮影:福島英雄

銀河系中心方向がほぼ天頂に見え、 南十字星(右上)と 北十字星(はくちょう座.左下)が同時に見えています。 夏の大三角形も左下付近に見えています。


 銀河系中心近くにある電離ガススペクトルを観測しますと、ドップラー効果によって、そのガスが、どのように運動しているかがわかります。

こうした電離ガスの運動は、銀河系中心に近づくにつれて急に速くなっていることがわかりました。また、星によっては、大量の一酸化炭素分子もつものがあり、この分子のスペクトルを調べれば銀河系中心近くの星の動きもわかります。

こうして得られたガスや星の運動から推定すると、銀河系中心から1〜2光年の空間に、太陽質量の数百万倍の質量があることになります。そのほかの観測事実からも銀河系中心に巨大ブラックホールがあるのではないかという見方が広まりました。

夏の宵、南の空に見られるいて座の方向に、銀河系の中心があります。( 銀河系中心方向が示された写真(Galactic Centerと示された十印。http://www.astr.ua.edu/gifimages/galcenter.htmlより))


チャンドラ・エックス線観測衛星がとらえた銀河系中心
1999年7月、スペースシャトルから軌道に放出されたチャンドラ・エックス線観測衛星が初めてとらえた、銀河系中心の超巨大ブラックホール近傍から出ていると見られるエックス線(真ん中の光点。小さな光点のすぐ左上)。
予想されていたよりもかなり暗く、それがなぜなのかが議論されています。(詳しくは こちらこちらをごらんください)



可視光で銀河系の中心を観測しようとしても、私たちと銀河系中心の間に散らばっている星間塵によって、見通しがききません。(コップ1ぱいなら透き通って見える池の水でも、池の底まではまったく見えないことがありますね)
ところが、赤外電波なら、星間塵の影響をそれほど受けずに銀河系中心の観測を行うことができます。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校天文学・天体物理学部門アンドレア・ゲズたちは、銀河系中心にせまる研究をしています。

彼女らは、ハワイ・マウナケア山頂の口径10mのケック望遠鏡で、天体からの赤外線観測を行いました。「スペックル干渉法」という方法で、細かい部分まで観測しました。

強力な点状電波源「いて座A*」(いて座Aスターと発音します)が、太陽質量の260万倍もある超巨大ブラックホールと考えられています。

ゲズたちは、いて座A*近くの星が、いて座A*のまわりを軌道をえがいてまわっているようすをつきとめました。


いて座A*の位置と、1995年から1999年までの周囲の星の位置
縦横は角度の1秒
http://www2.keck.hawaii.edu:3636/realpublic/gen_info/kiosk/news/andreaghez.htmlhttp://www.astro.ucla.edu/~ghez/gc_nat.htmlより)

2つの星(S0-1とS0-2)は、いて座A*から10光日(光年ではなく)しか離れていないということです。およそ、S0-1の軌道周期が63年、SO−2が17年の周期ということです。


(資料: Scientists look into Milky Way core; Stars at Center of Milky Way Accelerate by More Than 250 Miles per Hour per Year in Orbit Around Massive Black Hole; KeckAstronomers Observe Acceleration of Individual Stars at Center of MilkyWay Galaxy; The Accelerations of Stars Orbiting the Milky Way's Central Black Hole



 いて座A* の大きさ

銀河系中心から数光年以内にある星の運動から、銀河系の中心には、太陽の質量の約260万倍の質量があることがわかっています。

チャンドラ・エックス線観測衛星がとらえた銀河系中心の画像を見ると、予想されるよりもかなり暗く、本当に超巨大ブラックホールなのか、疑問ももたれています。

ところが、チャンドラ・エックス線観測衛星が2000年10月27日に いて座A* を観測した際、数時間にわたりエックス線の強さが変化しました。エックス線が、通常の45倍もの強さになり、しかも10分とかからないの短時間でエックス線の強さがかなり変動したのです!

ということは、いて座A* の大きさはせいぜい(上限)太陽-地球間くらいということになります。そのような小さな空間の中に、太陽の質量の260万倍の質量が入っている、というわけです。これは、超巨大ブラックホール説に有利な観測結果です。
さらに今後、同様な観測が集まるにつれて、より正確な「大きさの上限」が求められるでしょう。




 いて座A* の質量

いて座A*近傍の星「S2]の軌道
Credit: ESO    2光日(光年ではなく!)に相当する長さが 「←→」で示されています。

南米、チリ北部の ラ・シーヤにある 口径3.58m望遠鏡 NTTや、 同じくチリ北部のパラナル天文台にある、 4台の口径8.2m望遠鏡のひとつ、「イェプン望遠鏡」 (「イェプン」とは、現地マプーチェ族のことばで「金星」の意味)、 さらに、 ハワイ、マウナ・ケア山頂にある 口径10mの ケック望遠鏡など を用いた10年間 (1992年〜2002年)にわたる観測から、 いて座A* の最も近くに観測されている恒星「S2」の軌道運動(周期15.2年)が確認されました。 (上の画像参照.各観測時の「S2」の位置が、誤差を示す「十」とともに 示されています)

「S2」は2002年春、最も いて座A* に接近し、その距離は17光時 (光年ではなく!)、 これは太陽-冥王星間の3倍程度に相当します。そのときの「S2]の軌道速度は秒速5000km以上に達していたはずです。 これは光速の60分の1です!

「S2]の軌道はかなりの楕円軌道で、  いて座A* から最も遠ざかったときの距離は約10光日にもなります。

これらの観測から見積もられた いて座A* の質量は、 太陽質量の260万(±20万)倍 となっています。

資料: Surfing a Black Hole: Star Orbiting Massive Milky Way Centre Approaches to within 17 Light-Hours


その後の観測から、いて座A* の質量は、太陽質量の370万倍と求められています 資料:1 2 3




  「銀河系の主要な腕は2本」という、宇宙からの赤外観測による研究結果



関連ページ:

銀河系のすがた
宇宙の中の銀河系
いて座の写真
天の川写真集
360度の天の川パノラマ写真(1)
360度の天の川パノラマ写真(2)
全天・天の川パノラマ写真

アンドロメダ銀河
The Black Hole in the Galactic Center

The Structure of the Milky Way
The Milky Way Galaxy
Where is the Galactic Center?
Is Sgr A* a Super-massive Black Hole?
The Distance to the Center of the Milky Way
The Galactic Center
Sgr A rea radio map
The Galactic Center: A Wide-Field, Low-Frequency Imag
The Milky Way and the structure of our Galaxy
The Local Interstellar Cloud(太陽系周辺の恒星と星間雲の位置関係)

赤外線天文衛星「あかり」見た宇宙
銀河系の3次元地図を作成するプロジェクト「VERA」




★ 家庭や仕事場から参加できる宇宙人探し

この広大な宇宙で、知性をもつ生き物はわたしたちだけなのでしょうか?

科学上の大きな研究テーマに、「地球外知的生命探査」(Search for Extraterrestrial Intelligence: SETI セティ あるいは セチと略称されます)があります。

文明が十分発達すれば、電波を使って遠く離れた仲間たちと、情報のやりとりができるようになります。(わたしたち人類も、無線通信を使いはじめて百年くらいしかたっていません。無線通信における電波伝搬研究の歴史))

電波は、電磁波のなかでも波長がながいため、宇宙空間に浮かんでいるによって散らされることがなく、はるか遠方まで進んでいきます。太陽系外の知的生命体と連絡をとるには、電波が好都合と考えられます。こちらから、電波でメッセージを送る実験も行われたことがあります。


テレビの電波やFMラジオの電波は、電離層を突き抜けて宇宙空間に出ていきます。 テレビ放送がきまった時刻に放送されるようになったのは、1928年5月にアメリカ、ニューヨーク州でのことですが、そのとき以来、テレビの電波が宇宙に飛び出しているわけです。地球から半径約70光年の空間まで、地球のテレビ電波が届いていることになります。(地球に近い恒星のリスト / おそらくこちらが最新データ

逆に、地球外文明の出す電波がすでに地球にとどいてる可能性もあるわけです。


ある番組を見たいというとき、どのチャンネルで放送しているのかがわからないと困りますね。(最近は衛星放送もあり、チャンネルが増えました)

地球外文明からの電波信号をとらえようというとき、いったいどの周波数を調べたらよいのでしょう?

宇宙で最も豊富な元素は「水素」です。水素原子が出す周波数 1420 MHz (波長 21 cm)の電波は、宇宙の雑音の少ない周波数領域にあります。微弱な電波をとらえるには、雑音電波が少ないほうがよいのです。「宇宙に豊富」「雑音が少ない」ということで、未知の知的文明と交信しようという宇宙人は、この 1420 MHz の電波を使う可能性があります。

同じことが、やはり宇宙にありふれた水酸基の出す 1638 MHz (波長 18 cm)の電波についてもいえます。


SETIのほとんどが、この「ウォーターホール領域」の電波を対象に調査を行っています。そんなSETIプロジェクトのひとつに、「セレンディプ」(SERENDIP: Search for Extraterrestrial Radio Emissions from Nearby Developed Intelligent Populations)があります。(このことばに関係した SERENDIPITY には、「思いがけない発見」の意味があります。詳しくはこちら

ひとことでいえば、「便乗観測SETI」です。ほかの天文学者が、電波望遠鏡という巨大アンテナで何かの天体を観測しているとき、ついでに同じ巨大アンテナで電波を受信させてもらうのです。
ですから、どの方向が観測できるかわかりません。本来の観測者しだいであっちに向いたりこっちに向いたり。でもぜいたくはいえません。いつどこからくるかわからない宇宙人からの電波を待ち受けるのですから。

現在「セレンディプ」は、プエルトリコにあるアレシボ天文台直径305m電波望遠鏡で便乗観測が行われています。


アレシボの直径305m電波望遠鏡
(Photos Credit: David Parker / Science Photo Library / Arecibo Observatory)

単一の電波望遠鏡としては世界最大。カルスト地形の谷の地形を利用してつくられました。おわん型部分は固定なので、おわんの上につり上げられた受信器部分を、垂直位置から20度の範囲まで動かせるようにしています。(「セレンディプ」では、305mアンテナで受信した電波を、この写真の右にさおのようにのびているアンテナ(短い方)に集めています。

観測対象の電波は、水素の出す 1420 MHz (波長 21 cm) のあたり(幅2.5 MHz)で、24時間受信しています。(地球の自転や公転、銀河系内の太陽の動きなど、相手側とこちら側、相互の運動によって、受信する電波にドップラー効果が起こります。このため、観測する周波数には、いくぶんゆとりをもたせる必要があるのです。また、電波観測なので、天気がわるくても大丈夫! 24時間観測ができます)

受信した電波信号は、磁気テープに記録され、同時に、地球外知的文明から発信されているような人工的な信号が入っていないかを強力なコンピューターを使って高速に調べていますが、そのデータの量があまりに膨大(1日で約35GB)なため、丹念にチェックすることができません。そこで、世界中のパソコンにお手伝い願おうというのが「SETI@home」(セティ・アット・ホーム)計画です。そのための観測は1998年10月に始まり、2年かけて観測範囲(赤道座標の赤緯1度〜35度まで)を2回または3回観測します。

パソコンには、たいていスクリーンセイバーというソフトが入っています。マウスやキーボードなどを操作していない時間がしばらくつづくと、自動的に写真やアニメーションが表示されるソフトです。(マウスやキーボードを動かすと、もとの画面にちゃんと戻ります)

アレシボで受信した電波信号の膨大なデータ(磁気テープは、アレシボからアメリカ、カリフォルニア大学に郵送されています)を0.25MBずつ細切れにして(観測時刻、方向、その他の付加情報が加わり、実際には0.34MB)、協力してくれるボランティアの人のパソコンにインターネットを使って送ります。ボランティアのパソコンの電源が入っていて、マウスやキーボードをしばらく操作しないでいると、スクリーンセイバーとして、電波信号の分析プログラムが動きはじめます。(SETI@homeのスクリーンセイバーは、主なパソコン用が、1999年5月17日(アメリカ時間)から無料で公開されました)


SETI@homeのスクリーンセイバーが働いているときの画面例

右上の Data Info に、どの方向(赤道座標)をいつ観測したデータかなどが示されています。(Fromという行の hr min sec deg min sec の数字をメモして、このページに記入すると、どの方向を観測したかがわかります)
Recorded on に観測日時が世界時(+9時間で日本時)で表示されています。
Base Frequency に示されている周波数から、プラス約10 KHz の間の電波を分析しています。
右中央の User Info には、あなたが登録した名前や、あなたのパソコンでこれまでに分析した「細切れデータ」の数や使用したコンピューターの時間が示されています。
左には、データの分析が何%済んだかが、横になった赤い棒グラフで示されています。
(上の例では23.557%済んでいます)
下半分に示されている「ビル群」のようなグラフは、分析のようすを示したものです。 細切れデータは、周波数の幅が約10 kHzで、約107秒ぶんに切り出されたもので、グラフの横軸が周波数幅約10 kHzで、奥行きが観測時間の約107秒になっています。「ビルの高さ」が電波の強さにあたります。
さまざまなパターンをあてはめ、怪しい信号を探し出す膨大な計算が行われているのです。 スクリーンセイバー画面について詳しくはこちらをごらんください。


パソコンの使用頻度によりますが、数日から1ヶ月くらいで、データの分析が済むと、次のデータが0.25MB分送られてきます。これを繰り返すわけです。

インターネットを通じて世界中のボランティアのパソコンにデータを送り、パソコンのあき時間を利用して宇宙人探しをしてもらおうという、すばらしいアイデアです。(これまでに何人が参加しているか等

SETI@homeのスクリーンセイバーでは、どんな信号が探されているのでしょうか?

もし、あなたが、地球外文明に、水素原子や水酸基分子の出す電波の周波数でメッセージを送ろうとしたとき、広い周波数の範囲で出すのではなく、狭い周波数の範囲を使うことでしょう。狭い周波数域にエネルギーを集中させたほうが、無駄がなく、雑音より目立たせることができます。
受信する側で言えば、ひとつひとつのチャンネルの周波数の広がりが大きいほど、よけいな雑音も広くひろってしまう、ということです。

はるか遠方からの微弱な信号をとらえる上で、「雑音に埋もれないようにする」ことは重要なことです。

というわけで、SETI@homeでも、いろいろな周波数に広がった信号ではなく、狭い周波数域の信号を探します。

例えば、1 〜 10 GHz の周波数の範囲を調べるのに、1 GHz の幅でチャンネルを区切ると10チャンネル調べれば済みますが、1 MHz なら 10000チャンネル、1 KHzなら 10000000チャンネルも調べなければなりません。
つまり、細かい幅の周波数で調べるには、膨大な数のチャンネルを調べることになるのです。

「セレンディプ」では、1.7秒毎に、0.6 Hz 幅の1億6千8百万チャンネル分が処理されているのです!!


アレシボの巨大アンテナは、地面に固定されていますから、観測中は、頭上の特定方向を向きっぱなしです。いっぽう、地球がゆっくりと自転していますから、頭上の星々は、西のほうへすこしずつ位置を変えていきます。(この、「みかけの空の動き」を日周運動といいます)
したがって、頭上のある天体からの信号は、12秒ほどたつと、アンテナの受信方向から出てしまいます。つまり、受かりはじめてから12秒ほどで静かになってしまうような信号は、地球からではなく宇宙からやってきている信号と考えられます。(そのような信号の強さは、時間経過に対しガウス分布という曲線を当てはめることができます)

(スクリーンセイバーで分析するために送っている細切れデータは、周波数の幅が約10 kHzで、約107秒ぶんに相当します。分析画面の、立体グラフの横軸が周波数幅約10 kHzで、奥行きが観測時間の約107秒になっています )

信号も、意味のあるものにしようとすれば、だらだら続くものではなく、モールス信号のような、とぎれとぎれの信号、パルス状の信号のはずです。

相手側と地球側、それぞれの天体が自転や公転、銀河系内の運動をしているわけですから、受信される電波には、ドップラー効果が起こります。
このドップラー効果の影響を、データからすべて取り除くのはたいへんです。約5000通りのパターンを想定し、1750億回以上の計算が細切れデータについて行われます。

このような膨大な計算が、(少しの受信データについてですが)あなたのパソコン上で行われるのです。


SETI@home についてもっと詳しく知りたい、スクリーンセイバーを自分のパソコンにダウンロードしたい、というかたは、

こちらをごらんください。(インストールのメモ


(主な資料: ET, phone SETI@home!; SERENDIP; 「科学者たちのまじめな宇宙人探し」石原藤夫ほか共著 (立風書房))


関連ページ:

About SETI
SETI用語集
SETIの歴史
科学者たちが真面目に探す宇宙人--SETI計画
もし宇宙人が見つかったら?--IAUによる取り決め
映画「コンタクト」クロスレビュー
 以上6カ所は日本語ページ

Frequently Asked Questions
Frequently Asked Question About the Search for Extraterrestrial Intelligence
San Francisco State University Planet Search Project
Planets outside the Solar System found and searched for
The Extrasolar Planets Encyclopaedia
SETI at the University of California
The Search for Extraterrestrial Intelligence in the Optical Spectrum
他のSETI計画ページへのリンク
SETI's highlights
A Brief SETI Chronology
Looking for life Front Page
ABC News 〜 Are We Alone?
Sky and Telescope's SETI Page
Data Base for Nearby Stars
How to Respond to a SETI Detection
The SETI Protocol
After the Detection
地球に近い恒星のリストおそらくこちらが最新データ
 以上19カ所は英語ページ

アンドロメダ座ユプシロン惑星系(宇宙・天文ニュースから)

日本天文学会発行の月刊誌「天文月報」1999年12月号 pp. 628-633 にも 「SETI@home - 分散処理による地球外生命体探査」(立川崇之) という、今回の計画についての解説記事があります。


SETI@home継続きまる!

SETI@homeプログラムは2001年5月で終了する予定でしたが、 民間の太陽系探査・地球外知的生命探査推進団体である 惑星協会などの資金援助によって、計画の継続がきまりました。(2000年8月8日発表:

SETI@home の今後




★ 2027年と2039年に地球に接近する小惑星

1999年1月の報告によりますと、地球軌道近傍を通過する直径1km以上の小惑星が、最近では1カ月で約5個のペースで発見されているということです。

1999年1月13日に、アメリカ、ニューメキシコ州にある観測所マサチューセッツ工科大学リンカン研究所による地球接近小惑星研究計画「リニア」(Lincoln Near Earth Asteroid Research)の観測施設)の口径1m望遠鏡で発見された小惑星 1999 AN10 (直径は1〜2km程度)は、地球軌道にかなり接近するような軌道になっていることがわかりました。


視点をかえて見た、小惑星 1999 AN10 の軌道と地球の軌道 - xephem で作図


1999 AN10 は太陽を1.8年ほどで1周していますが、上図のように、地球軌道と2カ所(2月と8月に地球があるあたり)で接近しています。こうした場所で、その小惑星と地球がたまたま出くわせば、2天体の接近が起こるわけです。

そのような接近が2027年8月に起こります。どの程度地球に近づくのかは、今後、 1999 AN10 の位置観測が多数集まるにつれ、はっきりしてくるはずです。1999 AN10 の軌道を詳しく調べたイタリアの天文学者らは、2027年の接近がどの程度の接近になるかによって、その後の2039年8月の地球への接近の度合いが大きく左右されることを発表しました。

2039年に 1999 AN10 が地球に衝突する確率は10億分の1と見られており、心配するにはあたらないのですが、この小惑星は、今後600年くらいは地球軌道近くにある「あぶない小惑星」として目が離せない天体になりそうです。


1999 AN10 のその後の観測が集まり始めました。新しい観測データにより、1999 AN10 の軌道がより正確にわかってきます。
新たな観測を含めて改訂された計算では、2027年8月7日に、1999 AN10 は、地球の中心から3万7千km(地球の表面から2万4千km)まで接近する可能性がある、ということです。この接近時には、それ以上地球に近づくことはなく、衝突する可能性は事実上ゼロ、ということがわかりました。

この図は、1999 AN10 が、2027年8月7日に、どれくらい地球に接近しそうか、を示しています。中央の小さな点が地球で、1999 AN10 は、長い線(本当は幅1200km,長さ160万kmという極端に長細い楕円)のどこかを通過するようにして、この図の平面を貫いていくのです。この線と地球とが最も近づく距離が3万7千kmなのです。線の中心(細長い楕円の中心)が×で示してあり、ここがもっとも通過しそうな所(地球の中心から5万8千kmの所)になります。

2039年に、地球に衝突する確率はさきの見積もりよりは多くなりましたが、それでも約1000万分の1というわずかなものです。さらに、今後も観測が集まるにつれ、より確かな計算が可能になるでしょう。


その後、さらに集まった観測データ(130日分)により、再計算が行われた結果、 2027年8月7日の地球最接近時における、誤差楕円の中心は、地球からさらに離れ、約20万kmとなりました。 いずれにせよ地球の中心から約37000kmより接近することはありません。

2027年8月7日の地球最接近時に、の、地球の左を通過するようなら、小惑星軌道の公転周期は短くなり、右を通過するようなら、公転周期は長くなります。

もし、この細長い誤差楕円内の、 ある狭い範囲を通過する場合には、その後の地球ニアミスコースに入ることになります。2039年の衝突シナリオというのは、2027年のそうした狭い範囲と、2034年の狭い範囲を2重に通過したケースなのです。(したがって、いかに起こりにくい現象かがわかります)

今回の再計算によって、2027年の誤差楕円が移動したため、2039年の衝突はあり得ないこととなりました。

ただ、今度は、2044年8月6日と2046年8月7日の衝突の可能性が出てきてしまうました。いずれも、2027年の誤差楕円中、ある狭い範囲を通るだけでその可能性が出てくるのです。 とはいっても、衝突の確率は、2044年のケースで50万分の1程度。2046年のケースでは500万分の1程度です。

さらにその後、小惑星 1999 AN10 が写っている古い写真が発見されました!

1955年〜1957年にかけて、カリフォルニア州パロマー天文台口径1.2mのシュミットカメラ(写真専用の望遠鏡)を使って撮影された写真星図を、ドイツのアマチュア天文家2人が丹念に調べました。たいへんな作業の結果、1955年1月26日に撮影された写真に、問題の小惑星のかすかな像が写っているのを発見したのです。写真中央に小惑星が動いた軌跡が写っています)

この観測位置を計算に加えることにより、1999 AN10 の軌道が一層正確にもとまりました。

この新しい計算の結果、2027年の地球への接近も3万kmということにはならず、約39万kmという月までの距離に相当するほど離れることがわかり、2044年と2046年の衝突の可能性も事実上なくなったことがわかりました。
もし、1955年の観測がなかったら、何年かは、 1999 AN10 の衝突について心配が続いてきたかもしれません。この天体については、2076年の120万〜750万km程度の接近まで、しばらくは安心できそうです。


(資料: M.P.E.C. 1999-B03; 1999AN10; The Case of NEO 1999AN10; Published threat of possible asteroid impact stirs controversy; Research on Near Earth Objects; NEAR EARTH ASTEROID 1999 AN10; CLOSE EARTH APPROACHES OF ASTEROID 1999 AN10: RESONANT AND NON-RESONANT RETURNS; Asteroid Poses Little Danger to Earth in Near Future; Scientists say asteroid may tango with Earth; Earth set for close asteroid encounter; 40-Year Asteroid Warning; Asteroid's Path May Be disastrous; The Continuing Story Of Asteroid 1999 AN10; New Analyses Identify a Small Possibility that Asteroid 1999 AN10 Could Collide with Earth in 2044 or 2046; MPEC 1999-N21; Update On Asteroid 1999 AN10; Another asteroid threat defused; Near-Earth Asteroid No Longer A Collision Threat

★ 1999AN 10 の位置予報

関連ページ: 2028年に地球に接近する小惑星; 小惑星情報のページ


☆ 今後33年間に地球に0.2天文単位(= 3千万km。地球-月間の約80倍)以内に接近する天体のリスト
☆ これまでに地球に接近した小惑星のリスト
☆ これまでに地球に接近した彗星のリスト
地球に接近する小惑星のリスト
地球に接近する小惑星の軌道要素リスト



★ 流星の音

スペイン、アンダルシア上空に現れたマイナス10等の大火球
(1995年11月17日)
その数分後に聞こえたソニックブーム録音
(写真・音とも http://home.wxs.nl/%7eterkuile/leonids/1995/soundrec.htm より)

昼間でも見えそうな特別に明るい流星(はっきりした定義はないのですが、明るい流星をよく、火球(かきゅう)といいます)は、大きさも数cm以上、質量も100グラム、1kg、あるいはそれ以上と見られています。

そんな大火球では、ソニックブームが生じることがあります。火球が見えた数分後に、雷鳴のような音が聞こえることがあるのです。上に示した写真と音ファイルがその例です。

それとは別に、「大火球と同時に聞こえる音」が昔から報告されています。
火球と見えたと同時に、シュっというような音が聞こえた、というのです。

ただ、この現象はたいへんまれなようで、ベテランの流星観測者でも経験がないかもしれません。調査にもとづく見積りでは、毎夜屋外で過ごす人(あまりこのような人はいませんが)が生涯に1度「大火球出現と同時に聞こえる音」を経験するくらいだ、ということです。

そのようなたいへん珍しい音の録音に成功した研究者がいました!

1998年11月のしし座流星群を、モンゴルで観測した研究者は、火球と同時に聞こえる音の録音に成功したのです。(録音された音。2度カチっという音が聞こえますが、その間に聞こえるドサっという音が問題の音です。再生にはRealPlayerが必要です) )

光と音の速さは大きく異なるので、発生源が遠くなるほど音はかなり遅れて聞こえるようになります。

では、いったいどうして同時に音が聞こえるのでしょうか?

その原因がわからなかった1980年代までは、この現象は心理的なもので実際に音が聞こえるわけではない、ともいわれていました。
1980年に、その原因を解明した論文を発表したのが、オーストラリア、ニューカースル大学コリン・ケイ (Colin Keay)でした。

彼の考えでは:
ある程度の高度以下まで突入した大火球によって、プラズマの乱流ができます。この乱流プラズマは、地球磁気圏の磁力線にからみつき、ひきずります。直ちにプラズマが冷えるとともに、乱された状態の磁力線ももとにもどります。このときに極めて低い周波数の電磁波が発生し、光の速さで地上に達します。観測者の近くの物体がその電磁波に揺さぶられれば、同じ周波数の音がでる、というわけです。

電磁波が誘発する、観測者周囲の物体からの音、というものが、はたして聞こえるのかどうかについても、ケイは実験を行いました
その結果、髪の毛やめがねのふちなど、身のまわりのありふれたものが低い周波数の電磁波に反応すること、その音が聞こえる人と聞こえない人がいること、などがわかりました。

大火球から、たいへん低い周波数の電磁波がでることも観測で明らかになり、ケイの考えが支持されるようになってきました。どのようにして電磁波が発生するのかについては、まだ正確なことがわかっていません。

オーロラにともなう音、という現象もあり、同じメカニズムで音が発生しているのかもしれません。


(資料:Sonic boom recordings of the bright Taurid fireball over Andalucia, Spain on november 17, 1995; Fireball Sounds; Re:(meteorobs) Sound & feeling after -10 Leonid around 0220 EST.; Sound of shooting stars; Geophysical Electrophonics; Abnormal sounds produced by meteors; Are Auroral Sounds A Real Physical Effect?; Re:(meteorobs) Sound & feeling after -10 Leonid around 0220 EST. ; re:(meteorobs) Are meteors audible?; Sizzling skies; 福田 明「流星バースト通信」コロナ社 1997)

☆ 関連ページ: 流星・隕石情報のページ; 磁場とプラズマの運動


2000年3月18日以降、サービスを中止したイリジウム衛星は、軌道上の不用物体となり、じゃまなため、高度をさげて、大気圏に突入させる計画です。いつ頃、どの辺の上空に突入するかが、あらかじめ予測できるため、この「人工の流星」を観測すれば、「流星の音」に関する貴重なデータが得られるかもしれません。(資料イリジウムのその後のニュース

Sky & Telescope誌の2007年2月号12ページ目に掲載された、アメリカ、ネブラスカ州の読者からの手紙によりますと、数年前に 目撃した例では、雲を通して火球の閃光が見え、雷のような音が聞こえたということです。 このときは多くの目撃者があり、ニュースになっていたということです。投稿者の祖父が、その95年前に、同様の経験をしていたそうです。
さらに、投稿者の兄弟にあたる人物の、数年前の経験では、夕方すっかり暗くなった頃、 シューという音がしたので振り返ると、その方向の空に火球が見えたそうです。

流星の出す超低周波音について
Infrasonic Observations of Fireballs



★ アンドロメダ座ユプシロン惑星系

太陽系とアンドロメダ座ユプシロン惑星系の比較図
b, c, dと示したのが、アンドロメダ座ユプシロンをまわる3惑星。
赤丸の大きさは、惑星の大きさの比に合わせてあります。
点線の円は、内側から水星、金星、地球、火星の軌道の大きさを示しています。
1AU(エーユー)とは、1天文単位のこと。

ユプシロンはギリシャ文字 υ です。

アンドロメダ座ユプシロン星(地球からの距離 44光年、明るさ 4.09等、表面温度約6千度、質量 太陽の約1.3倍、明るさ 太陽の約3倍)の周囲に、3つの巨大惑星が存在するらしい、ということが突き止められました。

ユプシロン星の周囲に、ある程度の質量の天体がまわっていれば、ユプシロン星はわずかにふらつきます。(極端な図ですが、こんなイメージです)

アンドロメダ座ユプシロン星のスペクトルが詳しく観測され、ユプシロン星のふらつきが調べられました。(星のスペクトルから、その周囲に天体がまわっていることを知る方法については、こちらこちらをごらんください)

アンドロメダ座ユプシロン星のふらつきぐあいを、うまく説明するには、ひとつの惑星だけでは不十分で、3つの惑星を考えると良いことがわかったのです。

もっとも内側をまわる惑星は、ユプシロン星から0.059天文単位離れたところをまわっており、質量は木星の3/4以上。たった4.6日でユプシロン星を一周しています。この惑星の存在は1996年に検出されていました。さらに蓄積された観測データから他の2つの存在も明らかになったのです。

ユプシロン星から平均距離0.83天文単位離れたところをまわる惑星は、木星の2倍以上の質量をもち、ユプシロン星を242日の周期でまわっています。

もっとも外側、ユプシロン星から平均距離2.5天文単位のところを3.5〜4年でまわる惑星は、木星の4倍以上の質量をもちます。

今回新たに検出された2つの惑星は、いずれも軌道がやや楕円になっています。

ユプシロン星のこんな近くに、木星のような惑星ができることは、現在の理論では説明がつきません。水が氷になるくらいの距離(およそ4天文単位以遠)である必要があるのです。検出された3つの惑星はすべて4天文単位の範囲におさまってしまいます!

もともと3つの惑星たちは、もっと外側にできたのかもしれません。惑星になりきれなかった塵からなる円盤、あるいは第4の惑星と重力で引き合い、その結果軌道が内側に移動したのかもしれません。

地球のような質量の小さい惑星の存在を検出するのには、現在とられている方法では正確さが足りません。もしかすると、アンドロメダ座ユプシロン惑星系には、私たちの知らない小さな惑星がまだあるのかもしれません。

この研究発表以前に、少なくとも18個の惑星検出が発表されていましたが、私たちの太陽系のようないくつもの惑星からなるものが検出されたのは、これが初めてです。

アンドロメダ座ユプシロン惑星系軌道のシミュレーション
アンドロメダ座ユプシロン惑星系と太陽系との比較(JAVA animation)
go というボタンで惑星がまわりはじめます。


(資料:BBC ニュース; CNN ニュース; NASA Space Science News; The Lick Observatory Planet Search; Evidence for Multiple Companions Upsilon Andromedae; Multiple Planets discovered around Upsilon Andromedae

 ヒッパルコス衛星による精密な恒星位置測定により、アンドロメダ座ユプシロン星のふらつきが直接観測されました。最も外側の惑星の公転周期と同じ周期(1269日)で位置がふらついていたのです。この観測データから、最も外側の惑星の質量が、「木星質量の約10倍」で誤差は木星質量の5倍と求められました。(BBC ニュースより)

☆ 関連ニュース:


★ 火星の南極地方

1999年12月4日に、火星の南極地方に着陸するマーズ・ポーラー・ランダー。安全な着陸地点を選ぶためにも役立つような、火星地形の研究が行われています。



火星の南極


幅約3千km。白い場所は、ドライアイスの氷で常時覆われているところ。 枠内が、マーズ・ポーラー・ランダー着陸予定地域


白いところはドライアイス。起伏は実際の5倍に強調。


マーズ・ポーラー・ランダー着陸予定地域。この画像は火星南半球の春に撮られたもの。 白いのはドライアイスの霜。起伏は実際の2倍に強調。


マーズ・ポーラー・ランダー着陸予定地域。この画像は火星南半球の夏に撮られたもので、ドライアイスの霜がこの場所には見られません。起伏は実際の4倍に強調。


http://cass.jsc.nasa.gov/research/msp/msp.htmlより。


いずれも、1976年に火星をまわる軌道に入ったバイキング探査機の軌道周回機(オービター)から得られた画像によって作成されたものです。



★ スペースシャトルがとらえたUFOとは?

シャトルのカメラがとらえたUFO
(MPEG動画 1.79 MB  "NASA Shuttle video feed shows attack on UFO" より)

1991年9月に飛行を行ったSTS-48 ディスカバリーの貨物室後部におかれていたテレビカメラが、ふしぎな物体をとらえました

地球の地平線近くに見えていた光の点が、急に動きを急変させたのです。
この映像をよく見ますと、動きが急変する直前に、ぱっと画面のすみが明るくなります。また、地平線近くに見える光点の左下の光点も同じような動きをしています。

いったい、この物体の正体はなんでしょうか?

アメリカの議会でもこのビデオのことが取り上げられ、NASAでは、ビデオを調査を行いました。

スペースシャトルでは、水素と酸素を化学反応させてできる水と、その反応で発生する電力を使っています。(このような発電方式を「燃料電池」といいます)
その際、余った水は船外に捨てています。

余った水の船外放出場面(この再生にはRealPlayerが必要です)

また、宇宙飛行士の尿も汚水タンクがいっぱいになると宇宙空間にすてられます。こうした水分は、たちまち凍りついて、太陽の光でダイヤモンドのように光る粒に変身するのです。
エンジン付近についた氷がはがれ、シャトルの周囲に漂っていることもあります。

そして、ぴかっと光ったのは、シャトルの姿勢制御システムの噴射によるもので、噴射ガスが近くに浮かんでいた粒を押しのけたのです。STS-48の飛行記録によると、確かにこの現象にときに噴射が行われていました。

シャトルの推進システムの解説シャトル構造図
(Reation Control System によって姿勢の制御を行います)


でも、映像を見ると、シャトルは夜側を飛行しているのに、なぜ氷の粒が光っているのでしょうか?

この映像を記録したカメラは、シャトルの後方を向いているので、夜の地球を映しているのですが、シャトルそのものは昼側に出たところなのです。

シャトルのテレビカメラがとらえたUFOのなぞ。納得していただけましたか?


(資料: UFOs, or a Light Show?; NASA Shuttle video feed shows attack on UFO


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