
人工衛星からとらえた地球の北極地方の写真 -- 凍っていない水や凍って間もない氷は黒っぽく写っています。エウロパの写真と比べてみましょう。
エウロパ(解説(英文))
こちらは、1996年6月27日、156000kmから撮影されたエウロパの赤道部分の写真。右が北で、縦360km横770kmの範囲が写っています。暗いすじが数多く見られます。氷の板と板の間に、泥や石混じりの氷があり、暗く見えているのかもしれませせん。今後の詳しい観測が楽しみです。 エウロパは月と同じくらいの大きさです。(1996年8月12日発表; 「エウロパ」の字をクリックして出る写真は、1979年にボイジャー探査機が撮影したものです)
エウロパ(解説(英文))
これは1996年6月27日、156000kmから撮影された4枚の写真を 組み合わせたエウロパの映像で、北半球のかなり広い範囲がとらえられています。 (1996年8月13日発表)
エウロパのミノス・リネア地域(解説(英文))
これは1996年6月28日に撮影された3枚の映像を合成した写真です。地形の特徴を区別しやすくするよう特殊な色彩処理をほどこしているため、実際の色とは異なります。青い部分は氷原で、赤茶色の部分は、氷が汚れていることを示しています。写真の幅は約1260km。(1996年10月18日発表)
自然色と強調色のエウロパ(解説(英文))
1996年9月7日、ガリレオが677000kmから撮影した映像です。どちらも同じ面ですが、左は自然な色彩のもの。右の写真では、地形の特徴を区別しやすくするよう特殊な色彩処理をほどこしているため、実際の色とは異なります。茶色の部分は岩石が多いところです。(1996年11月12日発表)
エウロパのスジ状隆起(解説(英文))
1996年11月6日にガリレオ探査機が40973kmから撮った映像です。横238km縦225kmほどの範囲です。割れ目やスジ状隆起が多く見られる場所です。衝突クレーターがほとんど見られないことは、フレッシュな地域であることを示しています。スジ状隆起には、2本のスジからできているものもあります。氷や気体が噴出するような火山活動と関係した地形なのかもしれません。(1996年12月12日発表)
この画像には、弓形が連なったような地形が見られます。 「フレクスス」(Flexus)とよばれるこれらの地形は、1979年のボイジャー探査機の木星接近時で初めて確認されました。 いったいどのようなメカニズムでこのような地形ができたのでしょうか?
アリゾナ大学、月惑星研究所の研究者らは、木星による潮汐力がその原因ではないかというのです。 エウロパは、木星を約85時間で一周しています。その軌道は円に近いながらもわずかに楕円であり、木星からの距離がわずかに変動しています。 したがって、いつも同じ面を木星に向けているエウロパは、向きや大きさが微妙に変化する潮汐力を木星から受けることになります。 氷でできたエウロパの地殻の下には、広大な海があるとしますと、この海は、木星の潮汐力によって30mほど水面の上下動が起こるはずです。(海水の干満)
そうした潮汐の影響で、氷の地殻を裂くような張っぱる力が働き、その結果ひび割れたものが弓形地形ではないか、というのです。潮汐力は、エウロパが木星の周りを回りながら、85時間周期で変動するため、地殻に働く力も大きさと方向を変えていきます。 張っぱる力が弱まったところでひび割れがとまります。しばらくしてエウロパが軌道を一周すると、また張力が勢いをとりもどしひび割れが再スタートする、という理屈です。 (図参照) こうした弓形地形はいまも作られている可能性があります。
☆ 以上の弓形地形に関する資料源: http://pirlwww.lpl.arizona.edu/HIIPS/Publications/hoppa_abstracts/cycloid.html; http://pirlwww.lpl.arizona.edu/HIIPS/Publications/; Hoppa, G.V., and B.R. Tufts 1999. Formation of Cycloidal Features on Europa. LPSC XXX, cd-rom; http://pirlwww.lpl.arizona.edu/~hoppa/science.html
巨大な隕石衝突の痕跡(解説(英文))
1996年12月19日にガリレオ探査機が、11933kmの距離から撮影。縦48km横91kmの範囲が写っています。240mくらいのものまでが見分けられます。円形の地形が何重にもなっています。これは、巨大な隕石が衝突した跡とみられています。エウロパの表面は主に氷でできているため、岩石の表面にぶつかったときの跡とはかなり違います。(1997年1月17日発表)
氷の集積(解説(英文))
1997年2月20日にガリレオ探査機が、距離5340kmから撮影したエウロパの表面です。縦34km横42kmほどの範囲が写っています。多数の氷が折り重なっているような光景です。こうした氷の層の下には大量の水があったのかも(いまもあるのかも)しれません。(1997年4月9日発表)
若いクレーター「プゥイル」(解説(英文))
1996年12月19日にガリレオ探査機がとらえた、エウロパのクレーター「プゥイル」。 小天体の衝突によってできたもので、中心の丸く暗い部分の直径は約40km。 周囲にとびちった物質(細かい氷の粒のようです)によるスジ状模様は1000km以上におよんでいます。 このクレーターが周囲の地形の上にできていることから、このクレーターが周囲の地形より若いことがわかります。(1997年4月14日発表)
太古の衝突跡(解説(英文))
1997年4月7日撮影。エウロパ上の天体衝突跡です。直径は約140km。形状がわかりやすいように色を調整してあります。実際の色彩ではありません。(1997年7月28日発表)
ガリレオ探査機は、1996年12月19日15時53分にエウロパに 698kmまで接近しました。これは1979年のボイジャーの接近 距離のおよそ200分の1に相当します。(詳しくは こちら)
(12月19日エウロパ接近時のアニメーション(MPEG 582KB))さらに、1997年2月21日02時03分には、エウロパに587kmまで接近しました。(詳しくは こちら)
(2月21日エウロパ接近時のアニメーション(MPEG 609KB))☆ 1996年12月と1997年2月に、ガリレオ探査機がエウロパに接近した際、地球から見て、エウロパの背後に探査機がかくれる現象が6回観測されました。かくれる直前に、探査機の出す電波が微妙に屈折する現象がとらえられたため、エウロパには大気があり、その上方の電離層(大気の原子・分子から電子がとびだしている状態の層)が電波の進行方向を曲げたのと解釈されました。エウロパには大気があったのです。
木星の4大衛星のうち、イオには大気がみつかっています。残るガニメデとカリストにも大気があるかどうか今後の観測が楽しみです。(詳しくは こちら)
さまざまなエウロパの地形(解説(英文))
15枚の画像集です。1996年6月から1997年2月までにガリレオ探査機が撮影したエウロパの表面です。すべて北が上です。(1997年10月24日発表)
"エックス"地形(解説(英文))
6枚の画像から合成されました。平行に走るうねの帯2本が十字に交差してエックスの文字のようになっています。上が北で、約300km四方が示されています。中央の位置は北緯約10度,西経271度です。「エックス」の南に、下からの力で破壊されたような地域が広がっています。液体の水によるものかどうかはわかっていません。(1997年12月3日発表)
プウィル・クレーター(解説(英文))
エウロパの南緯26度、西経271度にある直径約26kmのクレーターです。この「プウィル・クレーター」は、クレーター周囲地形の高さと、クレーター内部の底面の高さはほとんど同じなのです。通常の衝突クレーターでは、周囲より底面が低くなっています。1997年12月16日に撮られたエウロパ画像にこのクレーターの位置が示されています。拡大画像は、1997年2月と12月の画像から合成されました。(1998年3月2日発表)
プウィル・クレーター(解説(英文))
エウロパの南緯26度、西経271度にある直径約26kmのクレーターです。この「プウィル・クレーター」は、クレーター周囲地形の高さと、クレーター内部の底面の高さはほとんど同じなのです。通常の衝突クレーターでは、周囲より底面が低くなっています。このコンピューター画像は、1997年2月と12月の画像からつくられました。地形の高さは4倍にのばし強調してあります。色は高さ別になっています。クレーターの中心に小山があります。これを「中央丘」(ちゅうおうきゅう)とよびますが、クレーターのふちよりも高くなっています。(底面から約600mの高さ) こうした特徴は、地下にやわらかめの氷があり、その影響でできたものかもしれません。(1998年3月2日発表)
うねの高解像度画像(解説(英文))
1997年12月16日に撮影されました。北が上で、縦横とも約20kmの範囲が写っています。場所は南緯14度、西経194度です。多くのうねが重なり合っています。ペアになっているものが多く、おもなものの幅はおよそ1km程度です。(1998年3月2日発表)
うねの高解像度画像(解説(英文))
1997年12月16日に撮影されました。北が上で、縦が約15km、横が約20kmの範囲が写っています。場所は南緯14度、西経194度です。右下の比較的なめらかなところは、下からやわらかめの氷が上がってきた場所かもしれません。重なり具合から、左から右上に走っているうね(幅約5km)は、左にあるうね(幅約2km)より新しいことがわかります。新しいほうのうねは、中央に谷が走っています。古いほうのうねは比較的平らです。(1998年3月2日発表)
色分けした地形(解説(英文))
1996年9月、12月、1997年2月に得られた画像を合成したもので、地形の特徴から3つの色に分けられています。写っている範囲は縦が約250km、横が約200kmで、中心部の位置は北緯10度、西経271度です。白くもやもやして見える部分は、この地域の南方(下方)約1000kmにある「プウィル・クレーター」から飛んできた噴出物です。
赤っぽいところは、氷ではない部分を示しています。「うね」やドーム状に盛り上がったところのちかくが赤くなっています。地殻に変動が見られる場所が赤く見えているようです。
青白くみえるところは、比較的古い氷の平原です。(1998年5月8日発表)
エウロパの暗班(解説(英文))
1998年3月29日に、エウロパから1940kmから撮影された画像です。上が北、右が東です。暗い物質が中央部分の地形を覆っています。その中にはいくつかのクレーターもありますが、そのクレーターには群をなしているようなものもあり、別の大きなクレーターができたときの放出物がつくった二次クレーターかもしれません。暗い物質の正体はなんでしょうか? 中心部の位置は、南緯1度、西経225度で、50mのものまで写っています。(1998年5月21日発表)
乱雑な印象の表面(解説(英文))
1997年2月と12月に撮影された画像を合成したもの。中心の位置は、北緯9度、西経274度付近です。縦約35km,横約50kmの範囲が写っています。(上が北)識別できる最も小さいものは約20m。地殻の運動によって、さまざまな形の氷の塊が、移動し、回転し、傾いたり、もぐりこんだりしています。地形の上に乗るようなかたちで、「若い割れ目」が見られます。表面の物質が再び固い氷に固まったせいでしょう。(1998年5月21日発表)
乱雑な印象の表面(解説(英文))
1998年3月29日に撮影された画像。中心は、南緯23度、西経179度付近です。(木星に面していない場所)215〜240kmほどの範囲が写っています。(上が北)識別できる最も小さい地形は約460m。エウロパの氷の地殻がこわれてできた地形です。長さ50km、幅20kmもある暗い帯のような部分は、地殻が割れて、そこに下からの暗い物質(汚れた軟らかい氷)が流れ込んだものとみられています。左下角には、直径15kmの衝突クレーターがあります。(1998年5月21日発表)
多重リング構造(解説(英文))
1998年5月27日に距離約18000kmから撮影された画像。中心は、北緯34度、西経144度付近です。縦約424km、横約456kmの範囲が写っています。(上が北)識別できる最も小さい地形は約170m。 この多重リング構造は、天体の衝突によってできたと考えられています。5本から7本のリングが認められます。全体の直径は約40km。
エウロパには大きなクレーターがほとんどなく、これは数少ないもののひとつです。衝突時、地下に水が存在していたため、多重クレーターができたのかもしれません。 (1998年10月13日発表)
野球のミット!?(解説(英文))
1998年5月31日に距離約23000kmから撮影された画像。中心は、北緯20度、西経80度付近です。縦横約180kmの範囲が写っています。(上が北)識別できる最も小さい地形は約235m。 このミットのような地形がどのようにしてできたか、議論がなされていますが、軟らかい氷が盛り上がってきたように見えます。 (1998年10月13日発表)
ガリレオ探査機に積まれている近赤外マッピング・スペクトロメーターという装置によって、エウロパの表面に、過酸化水素が見つかりました。木星磁気圏にとらえられた高速の電子や陽子が、エウロパ表面に衝突し、表面物質を分解し生じたものと見られています。(放射線分解という反応です)
過酸化水素は、地球上では工場で生産された製品として入手することはできますが、他の物質と反応しやすいため、そのままの形で存在しにくい物質です。
エウロパ上でも数週間くらいしか存在できないと考えられていますが、いっぽうで、放射線分解によってつくられているわけです。
詳しくはこちらをごらんください。
ガリレオ探査機は、1999年2月1日11時10分、エウロパに 1495kmまで接近します。(詳しくは こちら)
エウロパ接近時に、ガリレオ探査機で測定された磁場の結果から、エウロパの氷の地殻(0.8km〜10km程度と見られています)の下には、少なくとも7kmの深さをもつ海が広がっていると推測されています。(資料:1; 2)
同様な観測結果が、カリストにも出ています。エウロパの氷の地殻の下には、大量の水が存在している可能性が高いため、その存在を確認し調査するため、エウロパを周回する探査機によるレーダーなどを使った観測などが計画されています。(「エウロパ・オービター」は2006年1月に打ち上げられる予定)
★ エウロパについてのまとまった情報(英文)は こちら 。
☆ エウロパのクリッカブル・マップ(地図上のマークをクリックすると拡大画像がでます)
(http://www.jpl.nasa.gov/galileo/より)